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第134話 証言 〜1〜

 「じゃあ私から証言しますね! 面白そうなので! 私は言音です! 以上!」


 ……はい?

 え、それが証言?


 アリバイとか言うんじゃないの?


 いや、これも作戦か?

 これで俺たちを油断させたりしてるのか?


 ……そう思ったけど、違うみたい。

 言音以外の3人、みんなポカーンってしてる。


 『何言ってんの、こいつ』って顔してる。

 言音のアドリブか……。


 「……なんか反応悪くないですか!? せっかくボケてたのに!」


 え、ボケてたの?

 確かにボケ以外では考えられないけど。


 「……本当に空気悪くなってるじゃないですか! えっと……、すみません! なんかもう無駄に話したらヤバいことになりそうなのでちゃんとやりますね!」


 初めからちゃんとやってください。


 「先刻、この学校の屋上で休憩している43歳の『オオノカナコ』さんというオバサンが財布とスマホを盗まれたらしいです」


 すごい……、会話で『先刻』なんて使う人初めて見た。

 さすが言音。


 「では私たちに尋問をして犯人を導き出してください」


 尋問、か……。

 なんか楽しそう。


 「じゃあ質問! 好きなタイプはなんですか?」


 総一朗が最初に質問する。

 まったく関係ないことだと思う。


 「私ですか? 私はしょっぱい系のほうが好きですね!」


 しょっぱい……?


 「あ、でもさっぱり系も好きなんですよー」


 ……食べ物の話?

 好きな食べ物のタイプ?


 「……こいつのことは気にしないでください、いつもこうなので」


 『カズキ』って名札をつけた男子生徒が言う。

 言音のやつ、クラスでもそうなのか……。

 ま、これも言音の個性だ。


 「はい、では次の質問どうぞ!」


 あっさりと総一朗の質問を無視してる言音……。

 将来生きていけそうだな。


 「じゃあ……、質問いい……?」

 「はい、どうぞ! 夜泉先輩!」

 「その……、窃盗はいつ起こったのかな?」

 「午前1時ですね!」


 深夜……。

 そんな時間にこの学校の屋上に来る『オオノカナコ』さんが1番不審者な気がする。

 なんでそもそもなんで学校来るの? 43歳のオバサンが。


 俺からも質問しよ。


 「じゃあ、そのときみんなはなにしてた?」

 「私は勉強してましたね、キョウコと」

 「オイラはカズキと一緒にサッカーをしていた、近所の公園で」

 「翔琉の言う通り、俺はサッカーしてました」

 「私は言音と一緒に勉強してましたね」


 言音、翔琉、カズキ、キョウコの順番で喋る。

 誰も寝てないんだな……。

 それに、翔琉の一人称が『オイラ』ってこと忘れてたわ。


 ……それより、だんだんわかってきた。

 これならできそうだ。

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