第127話 最後の練習?
本格的に演劇の練習が始まった。
もう何日間も練習してるけど、マジで慣れない。
難しい。
でも湊亜は優しく教えてくれる。
「――うん、だいぶよくなったと思うよ。じゃ、今日はこれで終わろっか」
台本を閉じて言う湊亜。
今日も練習頑張った……。
「これで文化祭は大丈夫そうだね。本番も頑張ろっか!」
そうだな……。
それよりなんか湊亜の言葉が気になる。
『もうこれが最後の練習』って感じがするよ?
一応訊いてみよう。
「あー、湊亜? 次の練習っていつ? 明日?」
「え? もう練習ないよ?」
……はい?
「明日文化祭だよ?」
……ほへ?
「え、知らなかったの!? 明日だよ!」
「そうなの!? ってか、俺たちまだ1回も全体で通してないよな! 大丈夫か!?」
「それなら大丈夫! ――って、委員長さんが言ってた」
委員長……。
なんも大丈夫じゃないと思うのは俺だけかな?
「天太くんなら大丈夫! 今まで頑張って練習したじゃん!」
「大丈夫だといいんだけどな……。……そういえば湊亜ってなんの役なんだ?」
「『アカネ』っていう女の子」
ああ、あいつか。
主人公と同じ年齢の霊で、主人公と一緒に学校徘徊するやつ。
結構な重要キャラクター。
「……もしかして天太くん、誰がどの役やるか知らない?」
「ああ……」
「…………」
いや、なんで黙る?
もしかして『え、天太のクズ、みんなのやつ覚えてもなかったの? バッカみたい』って思われた?
「ま、まぁ、頑張ろ!」
なにその反応……、本当に思ってた……?
「そういえば衣装ってどうなるんだ? まだ見てもないけど……」
「それならもうあるよ。でも『当日のお楽しみ』って委員長さんが見せてくれないの」
委員長……!
演劇失敗したら委員長のせいにしよ。
「一緒に頑張ろ!」
笑顔で手を差し伸べてくれる湊亜。
俺もできる限り笑って、湊亜と手を握った。
「――って! 木神先輩!」
講堂に響く声。
出入り口のところに言音がいた。
なんだよ……、こんな急に……。
「今日、部活ですけど!」
「……え?」
「いつまで経っても来ないからずっとさがしてました!」
今日部活なんてな――
――いや、あった!
今日部活だ!
「もう! 野尻先輩怒ってますよ!」
マジか……。
あの人怒ると怖そうなんだよな……。
「で、でも言音! 今明日の文化祭のことで――」
「もう大丈夫だよ、天太くん。ごめんね、部活あったんだね」
いや、湊亜が謝る必要は全然ない!
それよりどうしよう……、野尻先輩に怒られる……。
次回から文化祭か……。
作者も文化祭のことで色々頑張ってます(出し物のネタを考える係になりました)。