第126話 台本、完成
数日経った。
そして今日、演劇の台本が完成したらしい。
終礼で先生に何かをコピーされた紙を渡された。
小説が書いてあるのかな?
家に帰ったら読も。
――感想、なんかすごい。
この主人公すごすぎる。
『本当にインドア陰キャか?』って思うくらい運動神経いい。
だって4メートルの壁を跳んで超えてるんだよ?
もはや世界記録レベルじゃない?
ジャンプだけで4メートル。
これを俺がやるの……?
脚を改造しなきゃできないよ?
「天太ー! 実璃ちゃん来たよ!」
下から姉ちゃんの声がする。
実璃?
玄関まで行ってみると実璃が立っていた。
「実璃? どうした?」
「いえ、その……、会いたかったので」
あ、どうも。
……そういえば前もこんなことあったな。
「じゃあ……、俺の部屋に行こうぜ。……あ、もう父さん帰ったから安全だよ?」
「じゃあ……、お邪魔します……」
申し訳無さそうに家に上がる実璃。
俺の部屋まで連れて行った。
「……あ、アイス出し忘れてた。ちょっと待ってて」
「いえ、大丈夫です。いつももらってるので……」
「でもせっかくここまで来てくれまたんだし、暑かっただろ? 飲み物――」
「フッフッフッ!」
ドアの外から姉ちゃんの声がする。
そしたら姉ちゃんがドアを乱暴に開けた。
手にコップ二つ持ってるから、多分脚で開けたんだろうな……。
「はい、麦茶! 暑かったでしょ?」
「あ、えっと……」
「麦茶にはミネラルがいっぱい入ってるんだよ! ……って、本に書いてあった! 飲まないと熱中症になっちゃうし!」
「では……、いただきます……」
姉ちゃんが実璃にコップを渡す。
俺にも渡してくれた。
用意早いな……。
「じゃ、なんかあったら言ってね?」
そう言って姉ちゃんは出ていった。
それより実璃となに話そう……。
実璃も特に用があって来たわけじゃなさそうだし。
「天太さん……」
「ど、どうした……?」
「私……、なんかしたかな……? 湊亜さんに」
? なんで急に湊亜?
「なんか湊亜さんから避けられてる感じがあって……」
「確かに最近の湊亜、変だよな。で、『避けられてる』っていうのは?」
「私と話してても楽しくなさそうで……。いつも暗い顔してるから、嫌われたのかなって……」
「大丈夫だ、俺もそうされてるから」
「なら安心だね」
そうはならないと思うけど……。
「そんな気にする必要はないと思うぞ?」
「でも……、自信がないの……、自分に……。……あ、突然お邪魔しちゃってごめんね! 帰る! お邪魔しました!」
実璃はすぐに立ち上がって階段を降りていった。
俺の部屋に3分もいなかったぞ……。
それより、今気づいた。
実璃の口調変わってた!