第120話 みんなと父さん
「おお! 天太!? お前とうとう女で遊ぶようになったか!」
父さんの声が響く。
総一朗みたいでなんかムカつく。
それに言い方……。
『女遊び』って……。
父さんの口からじゃなかったらキレてたぞ……。
とりあえず咲羅たちをリビングに連れて行ったけど、これからどうしよう……。
イスは4つしかない。
そのうち一つは父さんが座ってる。
……よし、俺の部屋でいっか。
咲羅たちも俺の父さん見る前は『どんな人なんだろう?』って興味ある目してたけど、今は『え、なにこの人……』って顔してる。
「みんな、立たせてごめんな。俺の部屋に行こう」
そう言ってから2階に上がる。
みんな黙ってついてきてくれてる。
とりあえずみんなを部屋に入れて座らせてから、1階に降りて冷蔵庫から人数分アイスキャンディーを持って自分の部屋に戻った。
5個分のアイス持ったの初めてだな……。
ってか俺、よく持てるな……。
「みんな、ごめんな。いきなり変な人見せちゃって」
みんなにアイスを手渡しながら謝る。
「いや、天太のお父さん、面白いね」
「初めてみたから興奮してんだよ、俺が異性家に連れてきたことに」
「確かに、思春期ですもんね、木神先輩」
……うん、特にこのあとすることがない。
みんなの目的は『父さんを見ること』だけど、もう終わった。
でも帰るとしても、来たばっかだし。
本当にどうしよう……。
「でも予想通りかっこいい人でしたね、天太さんと似てて」
「確かに天太くんに似てたね、目とか」
そんな?
息子の立場から見たらそんなに似てないと思うけどな……。
「そういえば天太のクラスはもう企画とか考えた? 学園祭の」
咲羅がアイスを舐めながら訊く。
学園祭?
俺は湊亜を見る。
湊亜も俺を見てる。
「……その反応だと、なんも考えてないみたいだね」
「いや、そもそも学園祭ってあるんだ」
「そこからなんだ……。来月にあるよ」
来月って、今からやって間に合わないと思うんだけど。
ま、そのときはそのときだ。
「ちなみにみんなはどういうのにしたんだ?」
「私は『お化け屋敷』、定番だけど」
「私のクラスは『オセロ』らしいです。お客さんとオセロやるみたいですよ」
「先輩たちのやつ楽しそう! いいな! 私のクラスなんて『嘘破り』ってゲームですよ? お客さんに誰が嘘をついているか当ててもらう、よくわかんないゲームです」
……正直言音のやつめっちゃ面白そうだわ。
普通にやりたい。
「わ、私たちのクラスはきっと明日やるんだよね? ロングホームルームありますし」
「そうだな、きっと」
文化祭、か……。
なんか目立ちそうで怖いな……。
あんまり目立たないように頑張ろ。
皆さんは『文化祭』って言いますか? それとも『学園祭』って言いますか?




