第119話 みんなに父さんのこと話した
「え、今天太のお父さんいるの?」
登校中。
咲羅たちに、父さんが帰ってきてヤバいことになってるってことを話した。
ちなみにメンバーは咲羅、実璃、言音、湊亜。
総一朗はなんか具合悪いらしい。
「ああ、いるぞ」
「……今日天太の家に行っていい?」
え、なんで?
「あ、私も天太さんのお父さんに会いたいです」
「わ、私もいいかな?」
「それなら私も行きたいですよ! 見たいです、木神先輩のお父さん!」
なんで?
見てもつまんないよ?
損しかないよ?
あんな酒に酔ってる父親なんて見せられないよ。
別に酒に酔うのはいいと思うよ?
ただそれで娘の身体をジロジロ見たりするくらいだから、きっと咲羅たちの身体も……。
……想像するのよくないな。
「で、行っていい?」
「まぁ……、いいと思う。姉ちゃんに訊いてみる」
「お父さんじゃないんですね……」
「父さんに訊いても意味ない。それにYESしか言わない、絶対」
うん、そうだね、絶対YESしか言わない。
だって女子高生来るんだから。
メール送るのは学校についてからでいっか。
歩きスマホよくないし、だからって今止まるとみんなに迷惑になる。
「天太のお父さん、イケメンだろうな……」
いや、そうでもないと思うよ?
「どういう性格なんですか? 木神先輩のお父さんって」
「母さんと似てる。酒飲んだらヤバくなる」
「天太くんのお母さんってお酒飲んだら性格変わるタイプ……?」
「ああ、変わるタイプ」
あれは思い出したくないな……。
母さんが出張から帰ってきたとき。
あれはつらかったな……。
そういえばあの日からみんなに弁当つくってもらったんだな。
その日から大食いになったんだ。
学校に着いた。
姉ちゃんにメールするか。
『姉ちゃん、今日の咲羅たち家に入れていい?』
さ、どうせすぐに返信してこないし別のことしてよ――
『え、逆にいいの?』
……返信早すぎだろ。
そんな暇なの?
『咲羅ちゃんたち、変なことされない?』
『多分大丈夫だろ。昨日の父さんも酒飲んでああなったんだし』
『咲羅ちゃんたちって、4人でしょ?』
『そうだな』
『そんなに女子高生に囲まれたら興奮しない? お父さん』
『多分大丈夫。うん、きっと大丈夫』
『ヤバそうだったら避難させてね?』
『わかってる』
そんなに父さんのこと警戒してるのか、姉ちゃん。
ま、大丈夫だろ。
今回気に入ったフレーズ
『なんで? 見てもつまんないよ? 損しかないよ?』