第104話 実璃へ相談
途中から三人称視点になります。
「これ、どうぞ」
実璃が俺の前の机の上にカップのアイスとスプーンを置く。
なんか見たことないヨーグルト味のアイスらしい。
「一緒に食べましょう!」
実璃も自分の前にそのアイスとスプーンを置いて食べ始める。
美味そうに食うな……。
「じゃあ……、いただきます……」
俺も実璃と同じようにアイスの蓋を開ける。
そして食べ始めた。
いつもならもっと遠慮してたと思うけど、今日はそうできない。
「ここでの会話は誰にも言いません。だから話してくれますか? そうすれば楽になりますよ?」
「そうだな、そうする」
俺はため息をついてから覚悟を決める。
そしてスマホを出して、ある写真を表示する。
そしてスマホには赤色のカラーコンタクトをしてて、満面の笑みを浮かべてる男子中学生が映った。
それを実璃に見せる。
「これ、俺だ」
「……? 弟さんですか?」
「いや、俺」
「ええぇぇぇ!?」
想像よりオーバーに反応する実璃。
そんなに驚くか……?
「これ、天太さんですか!?」
「ああ、中学時代の俺だ」
「え、本当に天太さん!?」
「ああ、もっかい言うけど、中学時代のやつだからな?」
「ま、まぁ……、そこはツッコまないでおきます」
うん、そうしてくれるとありがたい。
「中学時代の俺は調子に乗ってたんだ。『自分が好かれてるタイプ』って勝手に思ってた」
「いや、その通りです」
「……スルーしてオッケー?」
「オッケーです」
「それで、調子に乗ってみんなを笑わせた」
「いいことじゃないですか」
そうなんだよな。
そこだけ聞くといい人だと思うよな。
「違う。勝手に人を使って笑わせたんだ。その子はいつも静かで本を読んでて、あんまり友達をつくってない子だった。あんまり人と関わるのが好きじゃなかったみたいで。でも俺はその子を使ってみんなを笑わせた。それで、その子は学校にいるのがつらくなったみたいで、最後のほうは学校に来なくなった」
昔のことを思い出しながら喋る。
自分でもびっくりするくらい、ちゃんと喋れた。
そして実璃は最後まで俺の話を聞いてくれた。
「結局俺は、その子に謝れないまま卒業した。俺は少しでもその子の気持ちを味わうために、高校からその子と俺を同じにしたんだ」
「……話してくれてありがとうございます。ちょっと考えたいことがあるので、時間をもらえますか?」
考えること?
考えることなんてあるのか?
「――なるほど」
小さな機械を耳に近づけ、独り言をつぶやく名取真央。
「やはり調べた通りじゃないですか」
名取真央は今日屋上で天太のポケットにいれた、盗聴器の形をノートに書く。
「木神天太さんも不用心ですね――」
「――一度仕掛けられたのに、その対策をしないとは」
……なんか最近恋愛要素少なくてすみません……。