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第103話 いじめ?

 「やっと二人きりになれましたね、木神天太さん」

 「訊くことだけ訊きたい。なぜお前がその名前を知っている?」

 「私はですね、結構調べ物が得意なんです」


 ヤバいな……、これじゃ名取になにされるかわからない。


 「なにがほしいんだ? 金か? 俺はそんなに持ってないぞ」

 「お金はいりませんよ。ただ木神天太さんに、私が最初に言ったことをしてほしいんです」

 「最初に言ったこと?」

 「結婚を前提に、付き合ってください」


 そういえばそんなこと言ってたな。

 そこから名取が絡んできたのか。


 「それで、詳しく聞きたいんです。木神天太さんは、どのようないじめをしたんですか?」

 「答えたくない。逆になんでお前は俺と付き合いたい?」

 「それは答えられません」


 名取が俺を好きになったとは考えにくい。

 じゃあ本当になんで俺なんかと付き合いたいんだ?


 もっといい男なんて他にたくさんいるし。


 「……もしかしてお前と付き合わないと、そのいじめのことを広めるつもりか?」

 「当たり前じゃないですか。こんないい材料がそろったのに、使わなきゃ損です」

 「なるほどね」


 とりあえずクールに言って考える。


 ……いや、なんも思いつかない。

 とりあえず『考えてる風』にしよう。

 少しは時間を稼げる。


 でも、時間稼いでも意味がない気がする。

 誰かが助けに来るわけでもないし――


 「――なにしてるんですか? お二人そろって」


 実璃の声がする。

 屋上の入り口のところに、実璃が立っていた。


 ……本当に助けにきてくれたのか?

 ……んなわけないか。


 「また話しましょう、天太くん」


 名取がそう言って屋上から出ていく。

 俺への呼び方が変わってる。


 「……なにか言われたんですか?」


 実璃が俺に近づいてくる。


 「……聞いてなかった?」

 「…………」


 黙り込む実璃。

 聞いちゃってたのかな?


 「……すみません、盗み聞きするつもりはなかったんです」

 「聞いてたのか……」

 「はい……。で、でも、何か理由があるんですよね? 天太さんが理由もなくそんなことするはずありませんし、天太さんのコミュ力的にそれはできませんよね」


 実璃……。

 残念だな……。


 「ごめん、実璃。全部本当のことだし、理由も特にない」

 「…………」


 また黙り込む実璃。


 失望……、されちゃったかな……?

 そりゃそうだよな。

 誰でもいじめてるやつとは友達とかになりたくないよな。


 「……天太さん、放課後空いてますか?」

 「急にどうした……?」

 「私の家に、行きましょう」


 実璃の家?

 なんで急にそんなところが……?

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