歓迎パーティ~新規メンバー追加~
~勇者クラシア・ラーシア視点~
私はラーシア王国第一王女にして、勇者のクラシア・ラーシア。年齢は20歳。
獅子族の父(現ラーシア王国国王レオナルド・ラーシア)と猫族の母との間に生まれた。
5年前、双子の弟と妹が生まれるまでは、王となるべく英才教育を施された。
(弟が王となるかどうか少し揉めている)
剣術も魔法もそつなくこなせる。各国の貴族の子女が集うセントラルハイツ学園も優秀な成績で卒業した。
(勉強のほうは、少し苦手だったけど)
紆余曲折あって、幼馴染でセントラルハイツ学園の同級生の魔法使いルナリア・リーブスと同じく幼馴染で2つ年上の神官騎士レイモンド・ミッチェル(私とルナはレイ兄と呼んでいる)と3人でパーティーを組んで冒険がスタートした。
途中、傭兵国家ラクスの商業都市ダッカでドワーフの女戦士グリエラとエルフの拳闘士ガイエルと合流して現在に至る。大分連携も取れてきて、いいパーティーになったと思う。
今は歓迎パーティの真っ最中。私は王女だけあってこういったパーティーの立ち居振る舞いも身に着けている。
有力者への挨拶や根回し、そつなくこなしていると思う。
こういったパーティーでは、強引な売り込みや要求が多くあるのが普通だが、今回は全くない。さりげなく紳士的に会話の流れのなかでといったものは少しあったが、気分が悪くなるほどではない。
(ノビスおじさんがいいようにしてくれたのかな?)
周りを見渡すとルナとレイ兄は、こちらもそつなくこなしている。
若干ルナが「この杖すごくいいんですよ」と話していたのが気にかかるが。
グリエラとガイエルは・・・ あいつらめっちゃ飲んでるじゃん!!あの二人もいいところの出だと聞いてるのに・・・まあほっとこう。
そんなとき、ノビスおじさん(ノーザニア国王)が壇上に上がり、こう宣言した。
「勇者パーティーに新メンバーを追加する。ロイ・カーンこちらへ」
紹介されたロイ・カーンは年齢が17歳。まだまだ少年ぽさが残った感じで、少し小柄だ。身長175センチメートルの私より10センチほど低い。中性的な感じだ。
ロイが一言挨拶をした後、ノビスおじさんが
「なお、ロイはサポーターとして帯同する。直接の戦闘には加わらない。」
と言って壇上を降りた。
(せっかくいい感じでこのパーティーもまとまってきたのに。新メンバーなんて、ちょっと不安だわ)
しばらくして、ノビスおじさんとロイを伴ってやってきた。
ノビスおじさんは
「クラシアよ。いきなりで悪かったな。こっちも色々と事情があってな。でもロイは優秀な部下だ!!収納魔法が得意でかなり多くアイテムボックスに収納できるし、魔物の解体もお手の物だ。どうしても気に入らなければメンバーから外してもいい。だが、エルドワまでは帯同させて欲しい」
と頼んできた。
私は少し不安を覚えながらも、(国王自らのお願いなんて、断れるわけないでしょうに。)
「優秀なサポーターをお貸しいただき、ありがとうございます。」
とお礼を述べ、
「よろしくねロイ!!他のメンバーもいい人達だから」
とロイに声を掛けた。