国王との謁見
~現在、ノビス王と勇者一行の謁見中~
ノビス王が告げる
「エルフの拳闘士ガイエル!!貴殿にはこのミスリルのガントレット(籠手)を送る。攻撃も防御も自在で、魔力伝導率も高い。素手での格闘を得意とする貴殿の戦闘スタイルに合わせて作ったものだ。」
屈強なガイエルは王の従者からガントレットを受け取ると
「ありがとよ。なかなかいいじゃねえか。」
と答えた。
獅子族(獣人)の女勇者クラシアは
「ちょっとガイエル。言葉遣いちゃんとして。謁見中よ!」
とたしなめる。
「気にするな。それでは、ドワーフの戦士グリエラ!!神官騎士レイモンド・ミッチェル!!貴殿達にはミスリルの盾を送る。防御力はもちろんのこと、耐久性が十分な上にその軽さに注目して欲しい」
従者から盾を受け取ったレイモンドは
「ありがとうございます。これはなかなかのものですね。」
と答え、グリエラは
「良い盾。職人の心意気と技術がよく見える」
と語った。
「そのとおりだ!!これは我が国のドワーフ族が精根込めて作ったものだ。皆、貴殿達に期待している。それと勇者よ。貴殿の装備は自分で用意して欲しい。それが習わしとなっている。魔法使いルナリア・リーブスはすでに商業都市ダッカより、魔法の杖が送られていると聞く。何かあれば遠慮なく申せ」
魔法使いルナリアは、右手に持った杖を掲げ
「お心遣い感謝いたします。すでにこの杖が手になじんできています。攻撃魔法、補助魔法ともにバランスよく使えるこの杖は素晴らしいですよ。しっかりと勇者をサポートしていきますので、ご安心ください」
と語った。
「本当に心強い!!これにて謁見は終了とする」
と言うとノビス王は謁見の間を退出した。
謁見の間に残された勇者一行に一人の女性が近付き声を掛ける。
「お初にお目にかかります。総務大臣のアンヌ・ロータスと申します。今回の勇者様のサポート責任者をさせていただいております。今後の活動等につきまして別室にて打ち合わせをさせていただきたいのです。」
クラシアは
「こちらこそ。何から何まですいません。」
と答え、一行も大臣に続いて、謁見の間を後にする。
~王の執務室にて、王と宰相の会話~
王「おいベルク。今回の謁見どうだった?」
宰相「はい。なかなか良かったと思います。ミスリル製品とドワーフの技術をアピールできたのが大きかったかと思います。」
王「そうか。ガントレットと盾の販売計画は順調か?」
宰相「はい。それは抜かりなく進めてます。販売だけで、白金貨1000枚は固いですね。ミスリル含有率を減らした劣化版も低価格で売り出せば、利益はさらに・・・」
王「ならばいい。しかし、杖のほうを商業都市ダッカに取られたのは腹が立つな。あれが取れていれば、もっと利益を取れていたのに・・・」
宰相「その件についてはダッカ側が一枚上手でしたね。しかも謁見で、さりげなくアピールされてしまいましたし。まあ我が国に入ってしまえば、利益はこちらで独占できますので」
王「まあかまわん。損して得を取れとの格言もある。利益を独占しすぎるのもあれだしな。あいつらにもほどほどに儲けさせてやろう。今後の計画はどうだ?」
宰相「そちらもお任せください。総務大臣とともに更なる利益をお約束いたします」
王「それはそうと宰相。お主もなかなかの悪よの~」
宰相「いえいえ、王様ほどではございません」
王「冗談はこれくらいにして、頼んだぞ。」
宰相「御意!!」
※貨幣価値
白金貨 100万円
金貨 10万円
銀貨 1万円
銅貨 千円
鉄貨 100円