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王都への帰還、それぞれの休日

~勇者クラシア・ラーシア視点~


「光の洞窟」でのミスリルリザード討伐を終え、私達は王都ノビスランドに帰還した。すでに一報がなされていたので、盛大にもてなされた。


しかし、手放しで喜べない。ゴブリンの件があるからだ。

討伐記念式典もそこそこにアンヌ大臣にゴブリンの件を伝えたところ、大きすぎる案件とのことで、すぐに宰相が呼ばれた。


宰相も頭を悩ませているようだった。私が宰相の立場でもそうなるだろう。

私は報告書の作成を願い出た。ロイが「後は自分がやっておきます」と申し出てくれたが、私が作成すると断った。

王女で、勇者でもある私が、サポーターに丸投げすることなんてできない。


それから徹夜で報告書を作成する。内容はこんな感じだ。


・ミスリルリザードの討伐にあたって、ゴブリン達の多大な貢献があった。

・ゴブリン達、特にリーダーのゴブタンは知能が高い。

・ゴブリン達は組織だった軍事行動ができ、バリスタや投石器も保有している。

・拠点も罠が張り巡らされており、城塞都市さながらの城壁もあるので、討伐は難しい。

・ゴブリン達は平和な種族で、ダンジョンの5階層から上の階層には特段の事情がない限りは立ち入らないことにしている。

・ゴブリン側の要求として、可能な限り6階層以下の階層には立ち入らないで欲しい。

・友好の証として、今回討伐したミスリルリザードの素材はすべてノーザニア王国に譲り渡す。

・また、貴重鉱石のアダマンタイトも少量ではあるが譲り渡す。

(これは事前にゴブタン達と擦り合わせたものだ)


報告書を書き終え、周りを見回すとロイは、アンヌ大臣とダンジョン攻略の映像を編集していた。

ゴブリンの件については、一般には秘匿にしておくとのことで、ゴブリンの登場シーンを全カットするのにで苦労していた。


宰相は、執務室と私達がいる会議室とを忙しそうに行ったり来たりしていた。

アンヌ大臣と話したところ、ゴブリンの件が片付くまで、しばらく王都に滞在してほしいとのことだった。私はこの件があるので、休めないが他のメンバーはゆっくりと休んでもらおう。






~総務大臣アンヌ・ロータス視点~


ミスリルリザードの討伐が上手くいき、ほっと一安心と思っていたが、勇者クラシアからの報告を受けて、青ざめた。事が事だけにすぐに宰相に話を通した。宰相も、顔をしかめていた。


「アンヌ大臣。分かると思うけどしばらく休みの予定だったけど、キャンセルして欲しい」


と言われた。当然そうなりますよね。


そこからは、記録映像の編集や各部署との調整に追われた。ゴブリンの件は完全に秘匿にするので、他の部下には頼めず、ロイと二人で仕事を進めた。

もう何日休んでないんだろう。



~宰相ベルク・スターレス視点~


アンヌ大臣からの報告を受け、勇者クラシアの報告書を読み、対策を考える。今後どのように転ぶか分からないが、確実なことが一つだけある。

私もアンヌもしばらくは家に帰れないだろう・・・




~魔法使いルナリア・リーブス視点~


しばらく、私達は休みとのことだった。

クラシアはゴブリンの件でしばらく王城に缶詰らしい。王都から出なければ自由にしていいとのことだった。ただし、ゴブリンの件は口外しないように念を押された。


今日はレイ兄と朝から王都観光に出かけた。クラシアには悪いと思いながらも。昼食を一緒に食べ、午後からはレイ兄が教会関係の用事があるとのことだったので、夕食を一緒に取る約束をしてレイ兄と別れた。

ちなみにグリエラとガイエルは飲み行っている。


レイ兄と別れた後、私は商業ギルドに向かった。兄の事業を確認するためだ。


商業ギルドに入り、要件を伝えるとすぐに応接室に案内され、商業ギルドの支部長さん自ら応対してくれた。支部長さん曰く、もうすでにかなりの売れ行きだそうだ。ダンジョン攻略の映像が公開されたようで、その反響が大きいみたいだ。


今後は杖以外の魔道具についても使用して欲しいとのことで、方針等の打ち合わせのため、訪れた街では必ず商業ギルドに立ち寄って欲しいと言われた。


なお帰り際に活動資金として金貨10枚を渡された。思いのほか、兄の事業は上手くいっているようだ。





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