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ダンジョン攻略6

~神官騎士レイモンド・ミッチェル視点~


私はレイモンド・ミッチェル。年齢は22歳。ラーシア王国出身の神官騎士だ。

同じく神官騎士をしていた両親は神聖国ルキシア出身だが、布教のため、私が生まれる前にラーシア王国に移住した。


両親は優秀であったため、クラシア王女の教育係も兼ねていた。そのため、クラシアやルナとも幼馴染で、二人からはレイ兄と慕われている。

成長し、神聖国ルキシアの神学校とセントラルハイツ学園に留学して、神官騎士の資格を取った後、両親とともに聖母教会で仕事をしていたところ、ひょんなことから勇者パーティの一員となって、今に至っている。


現在私は、ダンジョン「光の洞窟」の9階層にあるゴブリンの集落に来ていた。

そこは周囲に罠が張り、巡らされ、城壁のようなものも設置されていて、ちょっとした城塞都市のようだった。ここで、ゴブリン達と一戦交えていたら、こちらも相当な被害が出ていただろう。


なぜそんな場所にいるかというとゴブリン達のリーダーゴブタンが、ミスリルリザードを討伐したお礼がしたいとのことで、集落に招いてくれたのだ。ダンジョン攻略で、しばらくまともに食事を取っていなかったので、これはありがたい。


宴が始まるまでの間、先の戦闘で傷ついたゴブリン達を回復魔法で治療していく。

別に頼まれたわけではないが、ただ飯をいただくのはどうも気が引ける。もちろんクラシアが助けた少女ゴブミの治療もした。

治療した後もゴブミが私の側から離れなかったのは意外だったが。


治療を続けていたところ、クラシアから声を掛けられた


「聖母教会なのに魔族と仲良くしていいの?」


「よく勘違いされるけど、人間以外は種族として認めない!!多種族は滅びるべきという教えは、そもそも聖母教会の教義ではないんだよ。一部の過激派が提唱していることなんだ。大部分の聖母教会の信徒はそんな考えを持っていない。聖母の教えに従い、正しく生きるならばどんな者にも聖母の加護があるというのが正しい教えなんだ。過激派の活動が凄いから、よく勘違いされるんだけど」


「へーそうなんだ」


ちょうど一通り治療が終わったころに、宴が始まると連絡を受けた。

会場に着くとグリエラとガイエルがすでにかなりの量の酒を飲んでいた。彼らにとってみれば、酒が飲めれば、何でもいいのだろう。


宴に出てくる料理は非常に美味しかった。単純な味付けだったが、素材がいいのだろう。聞いたところ、我々が討伐したワーウルフやロックバードをこっそりと回収していたらしい。しっかりしている。


酒は、この集落で作っているものもあるが、半分くらいは近くの町で買ったものらしい。

これも大きな声では言えない話だが、変装魔法で人族に擬態して、こっそりと買い出しに行っているそうだ。


周りを見渡すとルナがゴブリンメイジ達に囲まれていた。「魔法のコツを教えて欲しい」といった内容の会話が聞こえてきた。ルナはというと


「魔法のコツも大事ですが、自分に合った魔道具を使うことは非常に大事です。この杖なんかは・・・・」


といつもの調子で兄の魔道具を売り込んでいた。こんなところでもやるのかよ。


クラシアはさすが、王女といったところだろうか。

宴を楽しみつつも、ゴブタン達首脳陣とノーザニア王国との交渉条件についてまとめていた。


他に気になったことと言えば、人族のような青年と若い女性が集落にいたことだろうか。特に悪意を持っているようには見られなかった。

近くのゴブリンに聞いてみると、魔族のもので、少し前から住み着いているとのことで、色々と仕事を手伝ってくれて、すごく助かるのだそうだ。

魔族とはそんなものなのだろうと思い、それ以後は特に気にも止めなかった。


宴も終盤に差し掛かったところ、ゴブミとゴブミと同じくらいの少女が数人近付いてきた。


「助けてもらって本当にありがとうございました。助けてもらっておいて、図々しいですが一つお願いを聞いてください」


少しゴブミは頬を赤らめて、信じられないことを口にした。


「子種をください」


他の少女たちも口々に私も欲しいと言ってきた。聞いたところ、ゴブリン族にとってはごく当たり前のことらしい。気軽にそういうことをするそうだ。

私は聖職者でもあり、気軽にそのようなことはできないと答えたが、ゴブミ達少女は引き下がらない。

結局ゴブタンにとりなしてもらい、その場は収まった。


翌日、体力を回復できた我々はダンジョンを後にすこととなった。別れ際、ゴブタンからアダマンタイトという貴重な鉱石をもらった。クラシアが武器を壊すのを見て、これで新しい武器を作って欲しいとのことだった。正確にはグリエラの大斧だが。



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