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新規事業

~勇者クラシア・ラーシア視点~



なるほど、ピアース王子はそんな事情があったのか・・・。それにテトラシティにモフモフ天国があるのか・・・近いうちに行ってみようかな?


私は今、阿修羅&ゴブリンズの活動報告を読んでいる。ゴブル管理官が作成してくれたので、よくまとまって分かりやすい。今回の活動で魔国デリライトもノーザニア王国もかなり収益を上げていると記載されている。ゴブル管理官の概算なので正確ではないが、それでも大きくは外れてはいないだろう。

それに併せて、ニューポートとしても魔勇者制度で利益を上げる方策も記載されている。ゴブル管理官はそういった面を中心に研修をしたようだった。忙しく、人材も不足しているのに無理をして派遣した甲斐があった。

それと最後に提案がなされている。具体的には以下の3つだ。


1 「光の洞窟」のゴブリンとの人事交流

2 クロスポートと提携したイベント

3 新規事業の立ち上げ


一つ目の「光の洞窟」のゴブリンとの交流だが、みんな感銘を受けたみたいだった。私達勇者パーティーも驚いたくらいなので、当然だと思う。ノーザニア王国が了承してくれれば問題なく進むと思う。こちらも勉強になることも多いが、相手のほうも外との交流が持ちたいようだった。


二つ目のクロスポートとのイベント提携だが、これは勇者パーティーと魔族チームの決戦の関係だ。今回も魔勇者パーティーとクロスポートの冒険者選抜で模擬戦をしたみたいだが、全く相手にならず、イベントとしては失敗と言っていいくらいだそうだ。

なので、決戦の方針が決まるまでは色々とイベントを企画してお茶を濁す感じで凌ぐみたいだ。今議題に上がっているのは、セントラルハイツ学園と魔王学園の学生による交流戦だ。これは調整が難航しているらしい。

いずれにしても私達に決定権はなく、早めに情報を取りながら対策を練り、大きな収益が上げられそうなら、ねじ込んでいくくらいだろうか・・・


そして、三つ目の新規事業だが、ゴブル管理官がグリエラとドワーフの少女を連れて来た。何でも私に提案があるそうだ。少女はグリエラと同じくらいの年の頃で、グリエラよりも背が低くく、ずんぐりとしていた。


「こいつは私の幼馴染のバッカンテだ。こいつの家系は代々酒造りをしていて、こいつの家が有名な火酒、スピリットファイヤーを作っているんだ。ゴブル管理官とこの前飲んだときに新規事業の話になってな。それならと思ってこいつを連れて来たんだ。話を聞いてやってくれ」


「お初にお目にかかります。バッカンテと申します。領主様には是非、私達の酒造りにご支援をお願い致します・・・・」


バッカンテの話によると、酒造りのために放浪の旅に出ていたところ、ニューポートが開発中でグリエラもいることからこちらにやって来たそうだ。そして、こちらで飲んだブランに感銘を受けたそうだ。

ブランは火酒と同じくらい強い酒で、果物などを蒸留して作る。バッカンテが言うには火酒の技術を生かせるそうだ。


「魔族領ではいい果物が取れません。いい果物があれば誰にも負けないブランを作れます!!」


バッカンテは熱弁する。


「最初は話半分で聞いていたのですが、実際に彼女が作ったお酒を飲んだところ、大変美味しく、これは投資する価値があるのではと思ったのです。それで私からの提案なのですが・・・・」


ゴブル管理官の提案のというのは、私の母国であるラーシア王国との海路による直接交易だ。現在のところ、ラーシア王国と直接交易することはない。こちらに来る場合でも陸伝いに一端ダッカを経由してからになってしまう。そのためラーシア王国の特産品である果物は鮮度も落ちてしまうし、いい品はダッカに買い占められてしまう。

なので、直接ニューポートとラーシア王国との航路が確立できれば、かなり有利だ。ラーシア王国にしても得意先が二つになるので、ダッカに買い叩かれることもなくなるだろう。


「分かりました。とりあえず実現可能かどうか検討していきましょう。2日後に会議をするから関係者を集めておいて」



そして2日後、会議が始まった。


「ニューポートとラーシア王国が得をするのは分かったけど、トルキオ達ダッカの奴らに何か旨味はあるのかい?無いなら、表立って妨害はしないとは思うけど、よくは思われないよ」


ギルマスが言う。


「とりあえず、こちらを飲んでください。ラーシア王国の果実で作ったブランです」


私は会議参加者にバッカンテが作ったブランを振舞う。


「これは旨い!!」


ギルマスだけでなく会議出席者はブランの美味しさに放心状態となっていた。私も初めて飲んだときにはびっくりした。


「この味ですから、間違いなく高値が付くと思います。それにブランは魔力で熟成させる関係で専門の技能がある者しか作れないですし、何より魔族領の気候がブランづくりに最適です。なのでブランは魔族領でしか、まず作れません」


そこで話を一端切る。そしてブランを一口飲みこむ。やっぱり美味しいわ!!


「それとダッカの利益についてですが、まずトルキオさんには決まった量を低価格で、定期的に納品しようと思います。それと航路が確立するとなれば、ヘラストさんのところから護衛の傭兵や船員を雇おうと思っています」


「この味ならあいつらが文句をいうことはないと思うよ。後はどれ位の量と価格で納入するかで少し揉めるかもしれないが、その辺は私とケケル会長に任せときな」


「ピクシー商会としても賛成ですね。魔族領については私どもがほぼ独占状態なので。できればネリス商会と同じ価格と量を定期的に納品してもらいたいくらいですよ」


更にギルマスが頼もしく言う。


「善は急げだ。用意が出来次第ダッカに乗り込もう!!」




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