新生!!阿修羅&ゴブリンズ3
~ゴブル管理官視点~
魔族チームと勇者パーティーが決戦を行うクロスポートに到着した。
着いてすぐにアンヌ大臣から呼び出され、個人的に話をされた。内容としては、阿修羅&ゴブリンズの活動で収益を上げるようにアドバイスをされたのだ。
「ゴブル管理官はもう気付いていると思うけど、魔勇者制度のおかげでノーザニア王国はかなり収益が見込めるの。魔国デリライトだって、将来の幹部候補の育成にもなるし、帰還してからのイベントなどですぐに回収できるわね。だからこの活動を通じてニューポートも利益が上げられるように頑張ってほしいのよ。これはクラシア王女やノーザニア王国、魔国デリライト両国の意向でもあるの」
「でもニューポートは今のところ順調で、このままいけば特に問題はないと思うのですが」
「それは甘いわね。ニューポートの収益はダンジョン関係と周辺の森、草原、海からの素材採取がメインよね。すぐには心配ないかもしれないけど、ダンジョンが無くなったり、主要な輸出品の燃える泥が枯渇するとどうなるの?」
「それは・・・新たな産業を興すことを考えます」
「そうね。でもそうなる前に収益化を図ることを模索することが大事だと思うわ。今すぐにどうこうしろとは言わないけど、この活動をそういった視点で参加してほしいのよ。戦闘面では期待できないのにあなたを阿修羅&ゴブリンズに加えたのはそういう意図もあるの」
「分かりました。収益が上がるように努力します」
「それとね。後は・・・・・」
最後の言葉は少し気になったが、この旅の目標がはっきりした。活動を通じて、ニューポートに利益をもたらすことだ。他のメンバーには言わないでおこう。戦闘や冒険に集中してもらいたいからだ。
クロスポートでは地元の冒険者選抜との模擬戦が予定されている。アンヌ大臣の紹介で、僕はクロスポートの首脳陣と面談をさせてもらった。なるほど、クロスポートは決戦でかなりの収益を上げていたみたいだ。それにどちらが勝つのかというギャンブルは、クロスポートの首脳陣が行っており、大きな収益になっている。
「阿修羅&ゴブリンズが冒険者選抜に負けるとは思いません。これでは賭けにならないのでは?」
「そのことですか。それは心配いりませんよ。キチンと対策を考えてます。その辺の調整は自信がありますからね」
それからは、イベントに引っ張りだこだった。決戦のときからアルテミス王女は人気が高かったが、シクスやアッシュ、それにカリンとコリンの人気も出て来た。各種族が応援するのだ。特にゴブリン族が戦闘で活躍するのはレアケースなので、ゴブリン族だけに留まらず、インプ族も応援してくれている。ポポル君のときとは逆のような感じだ。
いかに収益を上げているかという視点で見ると今まで見えなかったことが見えてくる。
懇意にしているピクシー商会のケケル会長はいい人そうに見えて、抜け目のない性格だとよく分かった。人形ビジネスでは、トルキオさんのネリス商会よりも一歩リードしているみたいで、シクスやアッシュ、カリンやコリンの人形も販売されている。
こういうところは見習わなければとも思う。
色々と考えたところ、ニューポートの利益になるのは、人を呼び込むことだと思った。なので、活動において、何かにつけてニューポートの良さを広めていこうと思うようになった。
そこでまず向かったのは冒険者ギルドだ。ダンジョンや森、草原で良い素材が取れることをアピールした。これには結構な冒険者が食い付いた。しかし
「私達、駆け出しのパーティーは厳しいですね」
「戦闘も自信がないので・・・」
と言う意見もあった。僕は諦めず、PRする。
「ニューポートのギルドには、元オルマン帝国の将軍が訓練を付けてくれるので、心配ないですよ」
「でも、クロスポートからニューポートまでの道中はかなり強い魔物が多く出没するので、行くには厳しいです」
これには困ってしまった。
「それなら、俺達が魔勇者パーティーの活動が終わってニューポートに戻るときに一緒に来るのはどうだい?」
シクスが提案してくれた。駆け出しの冒険者たちもそれならばと言って興味を示してくれた。シクスもこういった交渉ができるようになった。部下の成長を嬉しく思った。
一通り話した後に現地のギルマスに募集の案内を頼み僕達はギルドを後にした。
「どんどんと冒険者が増えて故郷が賑わうのは嬉しいわ」
「冒険者の先輩として私達も頑張らなくちゃ」
カリンとコリンも喜んでくれた。
次に訪れたのは商業ギルドだ。要件は市場の調査だ。何が売れ筋なのかをチェックしに来た。当然ピクシー商会やネリス商会が把握していることなので、特に目新しいものはなかった。しかし、今後の役に立つかもしれないので、一通りメモをして帰った。
そんな活動を続けながら、ニューポートの冒険者選抜との模擬戦の当日となった。
気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!