新生!!阿修羅&ゴブリンズ1
~勇者クラシア・ラーシア視点~
「阿修羅&ゴブリンズを再結成して、そこにアルテミス王女が加わるということですか?それでアルテミス王女が魔勇者に?どういうことなんでしょうか?」
アンヌ大臣の説明を受けて、少し戸惑ってしまう。今は、水龍ダンジョンの記念式典に出席してくれたアンヌ大臣とアルテミス王女と協議している。
「私のほうから説明させていただきます。弟のピアースは魔勇者として務めを果たしたのですが、少々問題がありまして・・・・」
アルテミス王女が説明を続ける。魔勇者としての活動に問題はなく、立ち寄り先も魔族の若い貴族にとってはいい勉強になるとのことだったが、ピアース王子は何とパーティーメンバー全員と関係をもってしまったそうだ。それにそのうちの3名を妊娠させてしまったみたいだ。
「恥ずかしい話ですが・・・それで、両親はその火消しに追われており、式典に参加できず私が代理で出席することになったのです。ノーザニア王国には魔勇者として好意的に受け止められているのですが、魔国デリライトとしては、そんな状況なので魔勇者として認めるわけにはいかず・・・・」
申しわけなさそうに説明が続いた。パーティーメンバーもほとんどがいいところのお嬢さんなので、ピアース王子と釣り合うそうだ。現地でパーティーに加わったゴブリンは側室になることが決定した。しかし、誰が第一婦人になるかでもめているそうだ。我の強いメンバーなので、揉めるのは仕方ないだろう。因みにピアース王子はしばらく謹慎するみたいだ。
「提案した我々がいうのも何ですが、魔勇者制度自体はいい制度です。ノーザニア王国の国民のためにもなるし、魔族の教育にぴったりだと思います。それに収益も・・・・なので、少し話を変えることにしました。初代魔勇者はピアース王子ではなく、たまたま旅をしていたピアース王子が各地で功績を上げたことを端に発して、魔勇者制度ができたということにします。両国ともに正式発表していないので、この辺は大人の事情ということでなんとでもなります」
今、収益と言わなかった?多分結構な利益が上がるのだろう。以前なら聞き流していたが、領主となり、町を統治する立場になったのでよく分かる。両国とも魔勇者制度というか、このビジネスは手放したくないのだろう。
「分かりました。ピアース王子の活躍から魔勇者が誕生した。そういうことにしましょう。それとこの際なので魔勇者の認定についても詳細を決めましょうか?」
その後の話し合いで、認定方法は龍神ダンジョンでダンジョンボスを倒して攻略するか、水龍ダンジョンでギルドが認定したA級以上の素材を採取することが条件で、領主が問題ないと認めたら魔勇者として認定するということになった。ギルドからの報告では、水龍ダンジョンは探索すればいい素材が入手できることが判明しているし、S級の素材を採取したパーティーもいる。どっちみちこちらは儲かるので問題ないのだが。
もし素行の悪い攻略パーティーが現れたら、勇者パーティーが模擬戦でフルボッコにして認定しないことにした。
「最後にゴブル管理官もシクスさんも貴重な人材なので、活動期間は短めにお願いします」
「それは心得ております。アルテミス王女も大隊を率いており、多忙な身なので、短期コースを用意しています」
アンヌ大臣が答えてくれた。
それから、ゴブル管理官とシクスさんを呼び出して、事の次第を伝えた。
~ゴブル管理官視点~
アルテミス王女が魔勇者となって、阿修羅&ゴブリンズに加入する!!
これには驚いた。しかし、よく考えてみると僕がパーティーに入る必要はあるのだろうか。強力な前衛のアッシュとシクス、遠距離攻撃のカリン、コリン姉妹、そして魔国デリライトでもトップクラスの弓使いのアルテミス王女がいるのに僕がいる意味はあるのだろうか?
それに同じパーティーにはアルテミス王女とコリンがいる。どちらと交際するかまだはっきりさせていないのに、このメンバーで旅をするなんて気まず過ぎる。
「クラシア王女。自分は参加しなくてもいいのではと思います。なぜなら・・・・」
クラシア王女に遮られた。
「戦闘面は期待していないけど、活動のサポートをしっかりしてもらいたいの。魔勇者パーティーとして活動するわけだから、その辺は外交経験があるゴブル管理官が相応しいと思うの。それにいい機会だから、魔勇者パーティーの活動の後にどちらかを選んだらどう?」
そんなことを言われてしまったら、受けるしかない。やれることはしっかりとやろうと思う。
まずは、顔合わせ会を開くことにした。ギルドに併設されている「新風亭」で開催した。
アルテミス王女と食事なんて夢のようだ。でもコリンもいるし、気まずい。
「そ、それでは、アルテミス王女殿下をお迎えして・・・・」
「ゴブル管理官。これからはパーティーを組むんだから、名前で呼び合いましょう。よろしくねゴブル。私のことはアルテミスって呼んでね」
(アルテミス王女に名前を呼ばれた。ヤバイ・・・・)
「あ、あ、アルテミス・・・よろしく」
「ゴブルもね。よろしく」
幸せ過ぎる。そう思っていたら、意識が無くなっていた。嬉しすぎて気絶してしまったみたいだ。
気が付くと会は終わっていた。僕はコリンに膝枕をされていた。
「アルテミスのことになるといつもこれだから・・・私ならそんな気を使わなくていいのに・・・」
僕はこれからどうしたらいいのだろうか?
アルテミス王女が複雑な顔でこちらを見ている。
気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!