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そして海へ

~勇者クラシア・ラーシア視点~


阿修羅&ゴブリンズがダンジョンを攻略した。目標の10組目のパーティであるとともに地元のパーティーが攻略できたことは領主としても素直に嬉しい。後はアグエラ王太子妃がどう思うかだ。


「強さは・・・でも・・・なんか地味だし・・・」


そんなことを呟いて悩んでいるようだ。まあ、阿修羅&ゴブリンズが帰還したらお祝いの食事会をすることにしているので、その席で話をしてみよう。


阿修羅&ゴブリンズが帰還して、祝賀会が始まった。参加メンバーはニューポートからは私とロイ、レミナ書記官、ギルマスが、ノーザニア王国からはアンヌ大臣が参加し、それに加えて魔国デリライトの王太子夫妻、アルテミス王女、元5代目勇者パーティーのメンバーが参加していた。

会は盛り上がっていた。シクスの母親のヤックとアッシュの母親のユックが私のところに来てお礼を述べた。


「これで阿修羅族も肩身の狭い思いをしなくて済みますよ。ダンジョンも攻略できない馬鹿の集まりと陰で言われてましたからね。まあ見付けたらボコるんですけど」

「アッシュとシクスは仲が悪かったけど、今回は協力してくれてよかったです」


今回の攻略で阿修羅族も喜んでくれてよかった。今後の阿修羅族の移住者がニューポートに増えるかもしれない。

しばらくして、少し酔いが回ったレミナ書記官が暴走し始めた。


「じゃあここでゴブル管理官の告白タイムです!!準備はいいですか?」


「ちょっと・・・その・・・まだ心の準備が・・・」


ゴブル管理官は戸惑っている。

そんな中でコリンさんが唐突に声を上げた。


「すいません!!この際だから言いますけど、私はずっと前からゴブル君のことが好きだったんです。アルテミス王女よりもゴブル君の側で支えられる私のほうが相応しいと思います」


これは予想外の展開だ。一同驚いている。


「やっぱり本性を表したわね!!この破廉恥なゴブリンめ!!女なら誰でもいいのね。そんな奴にアルテミスは任せられないわ。処刑よ!!」


「アグエラ!!ちょっと落ち着きなさい」


キレたアグエラ王太子妃にディアス王太子が止めに入る。


「とりあえず落ち着きましょう。まずはそれぞれの気持ちを聞いていきましょう」


アンヌ大臣が落ち着いて話をまとめようとしてくれた。


「私はその・・・ゴブル管理官のことが好きかどうかまだ分かりません。いい人だとは思いますけど、話したのも数回しかありませんし・・・その・・・いきなり結婚と言われても・・・」


アルテミス王女が答える。


「あれ?なんか二人は付き合っていて、結婚間近じゃなかった?」

「お互い愛し合ってるとか言ってなかった?」

「アグエラはそう言ってたけど・・・」


三姉妹が口々に言った。それを受けて、ギルマスのパトリシア婦人が言った。


「多分あれだ。アグエラの悪い癖だ。恋愛の話になると現実と想像がごっちゃになるあれだ」


「「「ああ。いつものあれね。私達も早とちりしたわ」」」


よくよく聞いてみると、アグエラ王太子妃の勘違いというか思い込みみたいなのを早とちりして、こうなったらしい。つまり、ダンジョンなんか攻略する必要がなかったみたいだ。少し微妙な雰囲気になったので、私がまとめることにした。


「とりあえず友達から始めてみましょう。それでいいですね?」


何とかその場は収まった。



それから、3日後ゴブル管理官はコリンさんとアルテミス王女とそれぞれデートをしたみたいだった。今の段階ではどちらも選ぶことができないそうだ。モテモテだね。

それと阿修羅&ゴブリンズだが、解散が決まった。アッシュさんはアンヌ大臣の元で研修を続けることになったし、カリン、コリン姉妹はアルテミス王女の部隊にスカウトされたからだ。中隊から大隊に昇格し、部隊員が増員となり、弓兵だけでなく魔術士の部隊も編制することになったのがその理由だ。

阿修羅&ゴブリンズは、ゴブル管理官とシクスさんだけになったので、活動が続けられなくなってしまった。


色々とあったけど結果的にはいい方向に向かっている。

そして今日は龍神様からダンジョン攻略パーティー10組達成のご褒美をもらう日だ。こちらがもらう側なのにロイの料理で接待させられるのは少し納得がいかないことところではあるが・・・・


「クラシアよ、ご苦労であった。東の海の開発や航路の確保について助けてやろうと思うが、こちらにも事情があってな。まずは妻の話を聞いてくれ」


龍神様の奥様のリバイア様が話始める。


「東の海のクラーケンと呼ばれる魔物は、私の妹なのです」


(えっ!!どういうことですか?)


「妹のリバイネは私と同じウォータードラゴンでした。それはもう可愛くて、魔力も強く将来を期待されていました。私も可愛がり、リバイネも私に懐いていました。しかし、あることがきっかけで今のような醜い姿になったのです・・・」


リバイア様の説明は続く。


「ウォータードラゴンは成人に達すると群れから離れるのですが、私が成人して群れから離れる話を妹にしたところ、『私もお姉ちゃんに着いて行く』と言って聞かなかったのです。私は軽い気持ちで『じゃあリバイネが大きくなったら一緒に行こうね』と言ったのですが、それがいけなかったのです」


ドラゴンの成長は人族とは違い、ある一定の年齢に達して、魔力が溜まれば、自分の意志で変異するのだそうだ。その変異に失敗したらしい。それで醜い姿になったそうだ。


「リバイネの年齢では普通は変異すらできないのですが、妹は才能があり、魔力も強かったので、変異できてしまったのです。しかし、やはり年齢も魔力も足りず、魔力が暴発してしまって今のような姿になってしまったのです。それから一族でリバイネの処遇をどうするかという話になったのですが、醜い姿のままで群れにいることはできないとのことだったので、私と一緒に群れを出ることになり、こちらに移り済んだのです。ここからでも見える東の海に浮かぶ小さな島がありますよね。そこに妹と暮らしていたのです。今でも妹はそこに住んでいます」


「ここからは我が話そう。我は元々この山に住んでいたのだが、リバイアの美しさに一目ぼれしてしまい求婚したのだ。リバイアも受け入れてくれたのだが、リバイネはそれを許さなかったのだ・・・」


「『お姉ちゃんもみんなと一緒で私を捨てるんだ!!』そう言って、聞く耳を持ってくれませんでした。そして海に潜ってしまったのです。世界最強クラスの主人でも海ではどうしようもありません。なんとかリバイネを治す方法を探っていたところ、こちらのヘンリーが解決策を示してくれました」


ヘンリーさんが説明を始める。


「私どもで調査した結果、暴走した魔力を吸い取れば、元に戻る可能性が高いということが分かりました。魔力を吸い取るには1時間は必要でその間大人しくしていただけたらいいのですが、今の状態では難しいと思います。ドライスタ様でも水の中ではリバイネ様を抑えることはできない状況なのです。せめて陸に上がってくれれば何とかなるとは思うのですが・・・」


難しい問題だ。


「つまり、リバイネ様を基の龍の姿に戻すことができれば、海の開発ができるということですね」


「そうだ。そのためには我らも協力は惜しまない」


なんとかして、リバイア様の妹のリバイネ様を元の龍の姿に戻さなくては・・・・


「すぐに対策は思い浮かびません。協議を重ねながら実行していこうと思います」


一難去ってまた一難。

平穏な日々はいつ訪れるのだろうか?

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