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阿修羅&ゴブリンズの挑戦4

~勇者クラシア・ラーシア視点~


私は今、ゴブル管理官が提出した報告書に目を通していた。


ゴブリン中心の部隊でワイバーンを討伐したのか。

ダンカン将軍の訓練は予想以上に効果が出ている。阿修羅&ゴブリンズの強化も上々だ。しかし、気になることも書いてあった。自警団の大量増員と装備の充実、併せて訓練日も増やして欲しいとの要望だった。

この人達は何を目指しているのだろうか?軍事国家にでもするつもりだろうか?


「さすがに今の段階で自警団の大量増員は許可できないわね。それはそうとロイ。阿修羅&ゴブリンズはダンジョン攻略はできそうだと思う?」


「難易度が以前のレベルまで下がれば可能です。しかし、今のままレベルが高いと苦戦するかもしれませんね」


「私もそう思うわ。とりあえずもうすぐしたら、呼びつけている人が来るから一緒に話を聞いて、意見があったら言ってね」


「分かりました。呼びつけているのはあの方達ですか?」



そんな会話をしていると龍神様の秘書であるヘンリーさんとその助手のナタリーさんがやってきた。

ダンジョン攻略をしていた帝国軍部隊の作戦本部でスパイのようなことをした奴らだ。私も腹が立っていたので嫌味の一つでも言ってやろうと思っていた。


「よく私の前に顔を出せましたね。一体どういう神経をされているのでしょうか?」


「一体何の話をされているのか分かり兼ねますが」


「帝国軍部隊の作戦本部で情報を盗み取ったではありませんか?」


「一体何の証拠があってそのようなことをおっしゃられているのか分かりません。もし疑われるのであれば、この件で一番得をした人物を疑うべきかと愚考致しますが・・・・・」


得をした人物?

帝国軍部隊の滞在が伸びたおかげで、町全体の収益は上がった。それにダンカン将軍のおかげで自警団や阿修羅&ゴブリンズの強化も上手くいった。

(あれ?これって私が犯人ってこと?)

私は返答に困ってしまった。もし仮にヘンリーさん達が犯人として、一体何が目的なんだろうか?

そんなとき、ギルマスのパトリシア婦人が助け船を出してくれた。こんなこともあろうかと今日の謁見に来てもらっていたのだ。


「あんたらの目的が分からない以上、決定的な証拠もないし、こちらは追及できないってことか?それはそうと帝国とはどんな話になってるんだい?マルロ大臣と長いこと話してたろ?」


「さすがは狂犬のパティさんですね。いい話でまとまってますよ」


どういことだろうか?

今回で損害を受けたと言えば帝国だ。しかし金銭的にはむしろプラスなので、計画どおりにいかなかったくらいだろう。それでもプライドが傷付けられた、とあの国のことだから言うかもしれない。ニューポートとしては利益を得ているので、問題はない。つまり帝国が納得すれば丸く収まるというところだろう。

ヘンリーさんの説明によると帝国には龍神様から「ダンジョン始まって以来の実力者集団でその栄光を称える」旨の書状と龍の角(龍の牙よりもレア度は高い)が贈られた。帝国側も十分に威信を示せたし、帝国が優良ダンジョンとして指定することで話はついたようだ。当然今回の情報漏洩疑惑も不問とするみたいだ。

被害者がいない以上はこの件をこれ以上掘り下げる必要性はない。


「事情は分かりました。以後は疑われるような言動は慎んでください」


そう伝えて、ヘンリーさん達を下がらせた。

去り際にヘンリーさんは


「以後気を付けます。お詫びにダンジョン情報をお教えします。ダンジョンの難易度は今のままで下がることはないそうです」


と言って退出した。


「今回は相手が上手だったね。まあ曖昧な決着も領主には必要なことだ」


ギルマスが慰めてくれた。

エリートヘンリー・・・・学生時代につけられた二つ名だ。今回の件を含めて私の中では敵に回したくない人物となった。


「ロイ。ダンジョンの難易度が下がらない前提で、対策を立てましょう。そのことが分かっただけでも今回はいい交渉だったと思うことにします」


なんともスッキリしない解決となってしまった。



~ゴブル管理官視点~


アッシュと合流した。

これで阿修羅&ゴブリンズのメンバーがそろった。今日はパーティーメンバーとロイ君、新兵器開発のドワーフの技術スタッフ数名と南の草原に来ている。理由はダンジョンの難易度が下がらず、ダンジョンボスがミスリルワイバーンの可能性が高いからその対策で、ワンランク下のワイバーンで試運転しようということになったからだ。


「カリン、コリン!!ワイヤー弾発射!!」


僕が指示をするとワイヤーが付いた矢をカリンが撃ち出す。ワイバーンに近付いたところでコリンの魔力で鏃に特殊な弾丸を爆発させると罠が網状に広がってワイバーンに覆い被さる。


「シクス!!アッシュ!!引っ張って!!カリン、コリン遠距離射撃して!!」


ワイヤーを引っ張って、網に絡まったワイバーン地上に落とす。この作戦はゴブリン隊がワイバーンを討伐したときに使った作戦を応用したものだ。作戦に当たり、ワイヤー弾という新兵器を使っている。


「シクス!!アッシュ!!突撃だ!!」


「「よし任せろ!!」」


しばらく、攻撃していたが、一連の流れと連携を強化するため、一端シクスとアッシュの攻撃を中断させた。


「ボス!!もう仕留められますよ」


「これは訓練だから流れの確認だ。全力を出すのは本番だけにしてくれ!!」


それからは、ワイバーンを落とし、素早く接近して攻撃するを繰り返したが、5回目でワイバーンは息絶えた。近くで燃える泥の採掘をしていた作業員は、ワイバーンをいたぶって遊んでいるようにしか見えなかったみたいで、かなり異常な集団が来たと思われていた。

ロイ君に評価をもらった。


「ワイヤー弾はなかなかの出来です。攻略のほうもダンジョンボスがミスリルワイバーンなら大丈夫だと思います。ただミスリルワイバーンであればですが・・・」



ワイバーン討伐後、僕達は「新風亭」で今日参加したメンバーとアッシュと一緒に来ていたアンヌ大臣とレミナ書記官を加えて、歓迎会を開いていた。


「ワイバーンは初めて食べましたが、非常に美味しいですね。エールとも合いますし」


「旨めえ!!これはいくらでも食えるぞ」


アンヌ大臣もアッシュも大満足のようだ。

僕はロイ君と話していた。


「ロイ君は何か気掛かりなことでもあるの?」


「過去のデータ的にはダンジョンボスはミスリルワイバーンなのですが、相手は曲者ですから他のボスを出してくるかもしれないなと思っただけです。でも何を出してくるんだろう・・・」


そんな会話を続けていたらレミナ書記官が会話に入ってきた。結構出来上がっている。


「何を難しい話をしてるんですか!!楽しんで恋バナでもしましょうよ。ところで、ゴブル管理官はアルテミス王女と結婚を考えているんですか?」


そう言われてみればそうだ。勢いでダンジョン攻略が決まったけど、好きとか、愛しているとかいう感情は正直分からない。正直なところ、憧れの人過ぎて考えてもみなかった。


「正直、自分の気持ちが分からないです。なんというか女優さんや歌手を応援する感じに似てます。でもダンジョンは攻略したいと思います。このパーティーは好きなので、なんとか結果を残したい・・・」


「管理官は真面目なんだから!!じゃあ次はコリンちゃん」


「わ、私ですか?私は好きな人が身近にいるけど・・・その人には好きな人が・・・・」



そんな会話が続く。

アルテミス王女の素晴らしさでを語ろうとしたが、無視されてしまった。

そんなことよりも、ダンジョンボスのことだ。何か対策をしなくては・・・・


気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

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