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阿修羅&ゴブリンズの挑戦2

~ゴブル管理官視点~


ポポル君に指導された訓練を続けていたら、かなりアルテミス人形が動かせるようになった。ある日ギルドの訓練所に行くと等身大のアルテミス王女像が置かれていた。そこにはポポル君、マティアスさん、ピクシー商会のケケル会長がいた。


「管理官にはいつもお世話になっていますからね。感謝の気持ちを込めてこの像をプレゼントします」


聞いたところによると人形制作事業の要はポポル君とマティアスさんらしい。ピクシー商会は決戦で使ったポポル君のゴーレムの制作にも尽力したみたいだ。実際に動かしてみると多少ぎこちないが、動かすことができた。


「それでは、軽く模擬戦をしてみましょう」


ポポル君が言うとシクスが相手になってくれた。最初は軽く相手をしてくれたシクスだったが、


「なかなかパワーがありますね。ちょっとこっちもパワーをあげますよ」


と言ってシクスがアルテミス王女像の腕を掴んで力を込めたところ、腕が折れてしまった。ショックだった。ショックのあまり気絶してしまった。

意識を取り戻すと像の腕は修復されていて、模擬戦を再度始めた。しかし、アルテミス王女像を傷つけたくなかったので、像が攻撃されそうになると走って像の前に出て盾で防いでしまった。これでは、訓練にならないということでその日はそれで終わった。


次の日は建設現場に連れていかれた。ポポル君が言うには実際に工事現場の作業を手伝うことで、ゴーレム操作を学ぶことができるそうだ。実際にやってみると力仕事も細かい作業もあって操作が難しかった。しばらくすると慣れてきて、現場の作業員からも一目置かれるようになった。作業員とも打ち解けたが、これがいけなかった。


「人形の割にはいい仕事するな!!お尻や胸はどうなってんだ?」


そう言った作業員はあろうことかアルテミス王女像のお尻や胸を触り始めた。これには我慢の限界だった。結局訓練は中断し、ダンジョンガイドのララさんとリリちゃんにサポート要領を習うことになった。


色々あったけど、訓練や阿修羅&ゴブリンズの活動は概ね楽しかった。子供の頃はよく、カリン、コリン姉妹と遊んでいたので懐かしかったし、シクスも姉妹とは仲良くしてくれている。今日も訓練後にギルド併設の酒場「新風亭」でみんなで飲んでいた。


「ごめんよ。みんな実力を付けているけど、なんか僕が一番ダメなみたいだ」


「気にしなくていいわよ。ゴブル君は管理官の仕事もあるし、大変そうだし・・・」


そんな話をしていたら、ロイ君が料理を持ってきてくれた。今日は新メニューの評判をチェックしに来たそうだ。


「はい、こっちはサービスですよ。先ほど小耳にはさんだんですが、ゴブル管理官は無理に戦闘力を高めるより、パーティーの指揮やサポートの部分を伸ばしていけばいいと思います。ダンジョンの難易度が上がらなければ、このパーティーでも十分に攻略可能ですよ。パーティーのサポートなら僕でも力になれますから」


そう言ってくれた。

それからは、体力強化も最低限にして、ロイ君を中心に罠の解除や設置方法、戦力分析やダンジョン分析などを中心に学ぶことにした。パーティーのみんなも応援してくれていた。

充実していた。適度な運動と仲間との何気ない会話、仕事にも張りが出てきており、この生活は結構いいなと思い始めていた。しかし、現実はそう甘くはなかった。


帝国軍部隊がやってきた。部隊長は猛将と恐れられるトーマス・ダンカン将軍だ。阿修羅&ゴブリンズは将軍直々に指導してもらえるとのことだった。ダンカン将軍はヤバい位に強かった。素手でシクスと互角に渡り合い、ロイ君を一捻りにしていた。

こんな人に訓練指導されたら、体がいくつあっても足りない。ロイ君も上手いこと言って作戦本部の研修に回してもらっていた。僕は軽いランニングを終えた後は、いつもどおり、訓練所に来た冒険者や自警団員の戦力分析などを行っていた。これは、ロイ君とトムさんに指導された訓練方法で、素早く分析してその者の特性を見抜いたり、戦うとしたらどういう戦術が有効なのかを考察して、ノートに書き留める。パーティーリーダーとして、必要な能力を鍛えるためだ。


目の前ではダンカン将軍とスペシャルブラックスのブラックゲイルが模擬戦を行っている。一目見て、僕では全く歯が立たないことは分かるが、しっかりと分析をする。ダンカン将軍はパワーに特化した剣術で、使用しいるのは大剣だ。一方のブラックゲイルは細身の剣でスピードとテクニック重視だ。

予想通り、互角の戦いだ。模擬戦なのでお互い命にかかわるような技は出していない。僕の予想としては引き分けだ。

しばらくして、双方とも剣を納めた。


「そのような恰好をしているということは、何か事情があるのだろう?腕を上げたな」


(この二人は知り合いなのだろうか?)


「あの頃に比べたらそれなりには。今でも走り込みと素振りは欠かしてませんよ。あの時は殺意を覚えましたが、今になってみれば基礎基本の大切さがよく分かります」


「その通りだ。もう数分打ち合っていれば、我が体力負けしていただろうな。年齢には勝てんよ」


「御冗談を。まだまだ大丈夫でしょう」


そんな会話が続く。そのとき、僕に話しかけてきた人物がいた。オルマン帝国軍部隊のマルロ大臣だ。


「よく書けてますね。的確な分析だ」


「ありがとうございます。自分は戦闘は全くなので、パーティーの足を引っ張らないようにサポート要領を勉強しているんですよ・・・」


マルロ大臣は話しやすい人で、僕も色々と話をしてしまった。


「なるほど。ダンジョン攻略をされるんですね」


そんな会話を続けていたらダンカン将軍がやってきた。

マルロ大臣が僕のことを紹介してくれている。


「領主殿から話は聞いておるぞ。ではそのノートを見せてみよ」


ダンカン将軍にノートを手渡す。ここからが地獄の始まりだった。

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