ハーレムパーティー
~勇者クラシア・ラーシア視点~
「お久しぶりです、クラシア王女。ご壮健でなによりです」
「こちらこそピアース王子」
本日はピアース王子と談笑している。
なんとピアース王子もダンジョン攻略に挑戦するらしい。魔国デリライトにもダンジョン攻略パーティーの派遣依頼をしたが、まさかピアース王子が来るとは思っていなかった。魔国デリライト伝統の修行の旅の途中で立ち寄ったとのことだった。
ピアース王子は人格者なのだが、自分の魅力には無自覚だ。パーティーメンバーはピアース王子以外は全員が女性で、オーガ族の大柄な女戦士、魔族の女魔法剣士、魔族の女神官、ダークエルフの女弓使いの構成なのだが、4人は恋する乙女のような目でピアース王子を見ている。
歓迎会のときもオーガの女戦士に「今日もありがとう。しっかり肉を食べてね」と笑顔でワイバーンのステーキ肉をよそったり、ダークエルフの弓使いには「甘めのカクテルを持ってきたよ。お酒の弱い君でも飲めると思うよ。一緒に飲まない?」と言って、カクテルを手渡していた。
二人ともメロメロになっていたし、魔法剣士と神官の女は二人をにらみつけている。
パーティー結成の経緯を聞いたら納得がいった。オーガの女戦士は落とした棍棒を拾ったことがきっかけで、仲間になったらしいし、女神官は「あなたを助けるようにと神のお告げがありました」と強引にパーティー加入したらしい。ほかの二人も偶然の出会いを装ったみたいだった。
このパーティーも実力者揃いだ。決戦の魔族チームの選考会でもいいところまで勝ち上がっていたみたいで、みんないいところのお嬢様らしい。パーティーが全滅するとすれば痴情のもつれだろう。
因みにパーティー名は「チームピアース」らしい。
ダンジョン攻略については、順調だった。私達や前回攻略したマリオネットソードのときのように難易度が上がることがなく、ボスはBランクのサボテンゴールドという植物系の魔物でだった。トゲを飛ばしたり、触手を伸ばして攻撃してくる。
大柄なオーガ族の女戦士が盾となり、連携して攻撃していく。ピアース王子は万能型の槍使いで、サポートもできるし、ローグさんよりも火力が高い。決戦のときに早めにピアース王子が退場してくれて本当によかったと今更ながら思う。
最後はピアース王子が串刺しにして、サボテンゴールドは消滅した。
例のごとく、チームピアースにもしばらく滞在してもらって、阿修羅&ゴブリンズの指導をしてもらった。シクスさんは
「強い奴がまた来たぞ!!」
と言って大喜びだった。実際ピアース王子やオーガ族の女戦士と模擬戦を楽しそうにしていた。しかし、少し問題も起きた。
冒険者ギルドもかなり儲かっていて、訓練所を増設したのだが、ピアース王子見たさに連日女性のファンが詰めかけていた。町としては儲かるのだからいいのだけど、喧嘩の仲裁などで多忙を極めた。
チームピアースのオーガの女戦士と押し掛けた阿修羅族の女性の喧嘩には勇者パーティーが出動した。
結局、二人で模擬戦を行うことになり、勝負がつかず、お互いを認め合う形で仲直りした。しばらくするとギルドに併設した酒場で二人が肩を組んで
「「ピアース王子を愛する同志として、一緒に頑張ろう!!」」
と言って飲んでいた。次の日、この阿修羅族の女性もチームピアースに加わることとなった。
この報告を聞いたとき、「忙しい私達の時間を返せ!!」と怒鳴りたくなったが、何とか自分を抑えた。自分で自分を褒めてあげたい。
ピアース王子の滞在で一番儲けたのは、魔族側のピクシー商会だろう。ピアース王子人形が飛ぶように売れていた。中にはピアース王子のサイン入りの人形もあり、信じられないくらいの高値で取引されていた。
また、ピアース王子の三叉槍の模造品も多く売れていた。これは地元のゴブリン達が多く購入していた。槍部隊を作ってもいいかもしれないと思うほどだ。
(ピアース王子みたいに、みんなカッコよく、槍を使えると思うよね。多分ほとんどが挫折するだろうけど)
弓使いのカリンさんはダークエルフの弓使いに指導を受けていた。かなりセンスがあるらしく、頑張ればアルテミス王女が率いる「魔道弓兵部隊に頑張れば入隊できるかも?」と言われてうれしがっていた。妹の魔術師コリンは、指導は受けず、ルナとレイ兄に引き続き指導を受けていた。
ゴブル管理官はというと早々に匙を投げられていた。
なので、トムさんにならった罠の設置方法をロイと一緒に復習したり、ララさんとリリちゃんに習ったダンジョン分析を行っていた。
これで、ダンジョン攻略パーティーは5組になった。
問題はゴブル管理官をどうするかだ。
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