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ベッツ・スパクラブ

~勇者クラシア・ラーシア視点~


「お久しぶりです勇者様!!」


「ノンさんもお元気そうで何よりです。ところでAランクパーティーに昇格したと聞いておりますが?」


「そうなんですよ。私達もついにAランクパーティーかと思うと感慨深いものがあります」


本日領主館を訪れているのは、ベッツ・スパクラブのメンバーだ。ダンジョン攻略にわざわざニューポートまで来てくれた。ギルマスを通じてダンジョン攻略の打診をしていたからだ。


実は、最近のダンジョン攻略の状況は芳しくない。冒険者が増えてニューポートの収益は上がっているが、私達が攻略して以来、まだ攻略パーティーが出ていないのだ。

原因は色々とあるが、一番は難易度だと思う。最低でもBランクのパーティーでないと攻略が難しい。それに挑戦するパーティーの弱点をついたボスモンスターが出現するので、尖った構成のパーティーは分が悪い。この前シクスさんの伝手で阿修羅族の4人組が挑戦したが、鳥系の魔物で、氷のブレスを吐いてくるブリザードホークに為す術なくやられて撤退してしまった。

この後、「阿修羅族は馬鹿で使えない」と悪口を言われたことが原因で、阿修羅族のパーティーと悪口を言ってからかったパーティーとで大喧嘩になるという事件があった。

大暴れした阿修羅族のパーティーを止めるのに勇者パーティーとシクスさんが出動したのは記憶に新しい。

(ただでさえ忙しいのに余計な仕事を増やしやがって!!)


そんな状況なので、冒険者も無理にダンジョンボスには挑戦せず、豊富に取れる素材の採取をメインで活動するパーティーが増えた。飛行系エリア、植物系エリア、鉱山エリアの3つのエリアがあるが、どれか一つを選んで攻略して、素材を入手するという活動が多い。

エリアの選び方も直近の相場を見て、スパイスの値段が上がれば植物系エリア、鉱石の値段が上がれば鉱山エリアといった具合で、冒険者というよりはまるで商人のような感じだ。


「ロマンを求めてダンジョンボスを倒すという気概はないのか!!」


と怒鳴りたくはなるが、私も最近同じような考えになってきたところがあるので、何とも言えない。

無理にボスに挑むよりは、確実に素材を採取していったほうが、確実に資産は増える。

それほど、このダンジョンは質がいいのだ。それに燃える泥採掘の護衛依頼も多くあり、冒険者としてはいい稼ぎ場と思われているらしい。


まあ愚痴はこの辺にして・・・


「それではダンジョン攻略お願いしますね。できる限りサポートします。それと例の件もよろしくお願いします」


「それは大丈夫です。私達はダンジョン攻略がそれ程得意ではないので、臨時でトムさんに加入してもらってますからね」


それは心強い。トムさんは知る人ぞ知る腕利きの斥候スカウトで、初老のハーフリングの男性だ。

以前にベッツにできたダンジョンの関係でお世話になった。

それと例の件というのは「阿修羅&ゴブリンズ」の指導だ。阿修羅&ゴブリンズは、ゴブル管理官の個人的な理由と町おこしの一環で結成されたパーティーだ。みんな経験が浅いので、ベッツ・スパクラブはいい指導者となると思う。

こちらでの滞在費を負担することを条件に引き受けてもらった。


まずダンジョン攻略だが、3回目の挑戦で見事成功した。防衛戦に特化したベッツ・スパクラブらしい攻略方法だった。決して無理はせず、自分達が苦手なダンジョンボスが出現した場合は迷わず撤退する。

そうしたところ、ゴールデンブルという牛系の魔物が出現した。同系統のグレートブルよりも防御力が高い魔物で、攻撃力も高いのだが、しっかりと土壁や罠で動きを封じて、無理をせず時間をかけて仕留めた。

こういう堅実な戦い方は私達も学ばなければならないと思う。



阿修羅&ゴブリンズの指導については、評価としては70点位だろうか。

まず、弓使いのカリンさんはノンさんに指導を受けていた。ノンさん曰く、なかなかセンスがいいそうだ。

妹の魔術士のコリンさんは魔法使いのニールさんと回復術士のネネさんに結界魔法を教えてもらっていた。


「コリンさんはセンスがありますし、私達よりもこのままルナさんとレイモンドさんに教えてもらったほうがためになるかも?」


と言われていた。

シクスさんは指導を受けるというよりは・・・


「シクスさん!!もうやめてください。こっちが持ちません」


「ナール!!まだまだこれからだろ?楽しくなってきたのに」


「なんで俺はこういう役回りばっかりなんだ!!」


剣士のナールさんは、地獄を見させられていた。




ゴブル管理官は・・・絶望的だった。剣も魔法もダメだった。本人は努力しているようだったが。


「僕は弓使いになってアルテミス王女と肩を並べて戦うのです。どれだけアルテミス王女を見て来たと思っているのですか!!」


残念だが、弓も絶望的だった。最初はノンさんにカリンさんと一緒に教えてもらっていたのだが、匙を投げられた。ゴブル管理官は剣と魔法がダメと言われていた以上にショックを受けていた。妄想の中ではアルテミス王女とともにカッコよく戦っていたらしい・・・・


「これでは、アルテミス王女とともに戦えない・・・」


結局、トムさんに斥候スカウトとしてのノウハウと簡単な罠の設置方法を教えてもらうことになった。


現在攻略パーティーは4組。

果たして期限までに攻略パーティー10組を達成できるだろうか?

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

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