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阿修羅&ゴブリンズ

~ゴブル管理官視点~



大変なことになってしまった。


今日はギルマスのパトリシア婦人の要請で秘書のシクスの母親と面談することになった。シクスの母親は龍神山のダンジョンを攻略したラブオブパワーのメンバーだという。

急遽、他のメンバーとも面談することになってしまった。


「ゴブル管理官。私がシクスの母のヤックです。息子が迷惑を掛けてばかりで申し訳ありません」


「そんなことはないですよ。シクスはよくやってますよ。私の大切な部下です」


そう言って、シクスを褒める。

実際にここに来てからの活躍を話した。まずはワイバーン襲撃事件で、勇者パーティーが救援に駆け付けるまで、一人で燃える泥採掘の作業員を庇って戦った話や建設中の宿泊所が倒壊したときに生き埋めになった作業員を救助した話をした。また、苦手ながらも文官としての仕事も頑張っていることも伝えた。

ヤックさんはかなり喜んでくれた。


「今回の上司はいい人で良かったわ。どこの部署でも厄介払いされてきたのに、ここではちゃんと仕事をさせてもらっているんだから」


「ほら私の言ったとおりだろ。それはそうと、ゴブル管理官。アルテミス王女についてどう思っているんだい?」


突然、ギルマスがアルテミス王女のことを聞いてきた。一体なぜそんなことを?

それでも僕は悪い気はしなかった。憧れのアルテミス王女について語れるのだから。

最近、飲み会などでアルテミス王女の話を部下にすると「管理官!!またその話ですか!!」なんてよく言われる。レミナ書記官なんて特にそうだ。


だから、僕はアルテミス王女について熱く語ることに飢えていたのだと思う。初対面の人の前で彼女のことを語るのは恥ずかしかったが、熱く語ることにした。


「私が彼女に初めてお会いしたのは一等書記官任命式のことでした。彼女の笑顔は眩しく・・・・凛とした佇まいから放たれる矢は・・・・」


そんな話をしていたら、ギルマスに止められた。


「本当にアイドルとファンみたいな感じね」

「でもなんか応援したくなっちゃうわ」

「種族を超えた愛ね。私達と一緒」


三姉妹が口々に賞賛の言葉を掛けてくれた。そんなとき、覆面をした女性の弓使いが文句を付けてきた。


「アルテミスにはもっとカッコよくて、強くて、頼りになって、仕事ができて、優しくて・・・そんな人と結婚するのよ。アンタみたいなのはダメ!!」


これには僕もカチンときた。


「王女を呼び捨てにするなんて不敬ですよ。僕は誰よりも王女のことを大切に思っているんです」


そして、僕はアルテミス王女の人形コレクションを見せてアピールした。


「アルテミス王女シリーズは全種類持っていて、これなんかは限定品で・・・・」


しかし、これは裏目に出てしまった。みんな引いている。

そうしたところ、覆面をした女性の弓使いは突然覆面を取ってこう言った。


「これでも同じようなことが言える?夫のディアスを通じてあなたにはそれ相応の処分をします」


「アグエラ王太子妃殿下!!なぜここに?」


それから、アグエラ王太子妃殿下は怒って出て行ってしまった。覆面の女剣士が付き添う。残されたのは、僕とギルマスと三姉妹だった。


「やっぱり面倒なことになったね。クラシアには報告だね」


ギルマスがそう言った。三姉妹は僕を慰めてくれた。




~勇者クラシア・ラーシア視点~



ゴブル管理官から報告を受ける。これは面倒なことになった。

会議室に移動する。

私、ゴブル管理官、レミナ書記官、ギルマス、シクスさん、それとラブオブパワーの三姉妹で今後について話し合うことにした。


「ゴブル管理官はディアス皇太子に実力が認められて、管理官になったのだから、よく分からない理由で、いきなり処分とかはさすがにないと思います」


私が言うとヤックさんが答える。


「アグエラは思い込みが激しくて、何を言っても効かない面倒くさい性格ですからね。ディアス王太子も苦労していると思います」


これは困った。対応策を考えていると意外な人物が現れた。ノーザニア王国のマーラ王妃だ。


「お困りのようね。聞こうかしら」


「急に来てなんだい?暇なのかい?」


ギルマスが軽口をたたく。


「これでも忙しい身なのよ」


マーラ王妃は今後、勇者パーティーと魔族チームの決戦を今後どういう風に運営していくかについて、魔国デリライトに交渉に来たようで、その途中にニューポートに立ち寄ってくれたみたいだった。


私は、ゴブル管理官とアグエラ王太子妃殿下のことについてマーラ王妃に説明した。


「もうあの娘ったら昔から変わってないんだから!!結局アルテミス王女の相手に求めるのはカッコよくて、強くて、頼りになって、仕事ができて、優しい人ってことよね?」


しばらく考えた後にこう発言した。


「ゴブル管理官がダンジョンを攻略すればいいんじゃない?」


どういうことだろうか?


「つまりね。ゴブル管理官は頼りになるし、仕事もできて優しいよね?」


それはそうだが。


「アグエラの出した条件で足りないのは強さね。カッコよさは個人の好みによるところが大きいから置いておいて、強さを示せば合格ということよ。だから手っ取り早く強さを示せるのはダンジョン攻略だと思うのよ」


なるほど理に適っている。


「でも私は剣も魔法もまるっきり駄目なので・・・」


「それは問題ないわ。何も明日すぐにダンジョンを攻略しろとかって話じゃないし。1年の猶予があるんだから、しっかり準備すれば大丈夫よ。だからまずはパーティーのメンバ―集めね」


不安を口にしたゴブル管理官にマーラ王妃が答える。


「じゃあ俺がメンバーに入りますよ。ボスの結婚が賭かっているんだ!!」


シクスさんがすぐに手を上げる。


「領主としても地元のパーティーが全く攻略できないというのはちょっと寂しいから、どうせなら地元から集めるってのはどうかしら?」


私も提案した。これにはみんなが賛成してくれた。

メンバーの選定に入る。


ゴブル管理官とシクスさんは決定だが後のメンバーは?



「ギルドからのおすすめはゴブリンのカリンとコリンとういう姉妹だ。姉のカリンは弓使いで、アルテミス王女が率いる魔道弓兵部隊にも実力が認められている。妹のコリンは魔術師で強力な魔法は撃てないが、回復魔法も使える器用な子で、ルナとレイに師事しているみたいだ。二人とも使い勝手がいいからいろんなパーティーに臨時加入して腕を磨いているよ」


「その二人はいいですね。でも火力が足りないような気もしますね」


ギルマスの推薦に私が答えた。


「それだったらうちの息子のアッシュを使ってくれませんか?」


二女のユックさんが声を上げる。アッシュの母親だったことにびっくりした。

それは置いておいて、アッシュさんは今ノーザニア王国に派遣されていると聞く。

これに対して、マーラ王妃が答える。


「アンヌ大臣が面倒を見ている阿修羅族の子ね。私から言っておくから、ダンジョン攻略の時期が決まれば。ニューポートに派遣するわ」


これに併せて、ギルマスがすでに部下をギルドに走らせてカリン、コリン姉妹の加入依頼を出していた。たまたまギルドにいたようで、二つ返事で了承したみたいだった。

(ギルマスは本当に仕事が早い)


何はともあれ、ここに伝説の冒険者パーティー「阿修羅&ゴブリンズ」が誕生したのであった・・・

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