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幕間 ロイの特別任務

~サポーター ロイ・カーン視点~


今日は研修を一時中断して、特別任務に参加している。

作戦内容は、誘拐された獣人や魔族の子供達の奪還任務だ。決戦期間中は厳戒態勢で過激派も動きはなかったが、最近また誘拐事件が頻発しているらしい。

クロスポートは自治都市でノーザアニア王国と魔国デリライトのどちらの領土でもない。この町を守るのは自警団位しかないので、この誘拐事件に対応できていなかった。

そこで、クロスポートの首脳陣は援助を求めることにした。どちらか一方に援助を頼むと角が立つので、両方の国に依頼を出した。


そこでノーザニア王国からは第10軍団が派遣された。レイン団長とスナイパーさんの他に数名の隊員がいた。そこに交じってなぜかマティアスさんがいた。


「マティアスさんはなぜここに?」



僕が尋ねると


「今回の任務でどうしても必要と言われてね。手伝うことになったんだ」


と言った。


魔国デリライトからは、ローグさんが隊長を務める特殊部隊が参加するようだ。

「スペシャルブラックス」というらしい。ローグさん以外は黒服に黒い覆面を着けている。

ベッツ・スパクラブが好きそうな恰好だ。もちろんティアナ様もいた。

挨拶を交わした。


「ティア・・・お姉ちゃん。よろしくね」


「ロイ。今日も可愛いな・・・」


なぜか分からないが魔族女子の恰好で参加しろとのことなので、また女装させられている。

また、スペシャルブラックスの中に見知った人物を見付けた。

覆面で顔を隠しているが、すぐに分かった。


「ポポル君だよね。どうしたの?」


「ロイ君。僕はポポルじゃないよ。パペットマンだよ」

(何か事情があるのかもしれない。知らないふりをしよう)


「よろしくね。パペットマン」


それから、顔合わせと作戦の説明があった。

第10軍団の後にスペシャルブラックスの紹介があった。ローグさんが紹介する。


「俺が隊長のローグだ。そっちの女剣士はブラックゲイル、弓使いの女はハンター、そこの陰気な魔法使いがダーク、そこのゴーレム使いがパペットマンだ」


ローグさん以外は全員黒ずくめで、覆面をしている。多分全員が偽名なんだろう。



その後、レイン団長が作戦詳細の説明を始める。


「まず、ロイ君には悪いが、人形売りとして露店販売をしてもらう。誘拐事件が多発している地区なので、犯人グループがロイ君を誘拐するのを待つ。誘拐されたらすぐに捕縛せずに犯人グループのアジトまで捕捉して、一気に襲撃して、攫われた子供達を奪還する」


僕は囮なんですね。万一のことがあるといけないから、ノーザニア王国の職員である僕が選ばれたようだ。

細かい打ち合わせを終えた後に小型の通信用の魔道具を渡され装備し、町に出た。


路上に人形を並べて販売を始めた。

なぜ人形売りかというと人形の何体かはゴーレムだ。僕が攫われたときに追跡に使用するみたいだ。

人形はそこそこ高めの値段設定なのだが、かなり売れた。

マティアスさんとポポル君が作ったものなので、質はかなりいい。

普通に商売をしていたら突然、通信の魔道具から指令が来た。


「マティアスだ。怪しい集団がロイを観察している。一端商売を切り上げて、人気のない路地に移動しろ。作戦の地図でいうとB地点だ」


僕は角を2回撫でた。了解のサインだ。

商売を切り上げて路地裏に移動した。

そうしたところ、いきなり背中にナイフを突き付けられた。


「大人しく着いてこい。騒ぐと殺すぞ」


「やめて!!殺さないで。お金ならお渡しします」


「金じゃないんだ。お前が必要なんだよ」


僕は抵抗することなく、その集団に従った。猿ぐつわをされ、目隠しをされた。

そして馬車に乗せられた。

馬車には1時間位は乗っていたと思う。大きな建物に入れられ、目隠しと猿ぐつわを外された。


「ここはどこなんですか?私はこの先どうなるんですか?」


どこかの廃城だと思う。少しでも情報を引き出すために僕を攫った奴らに質問してみた。


「ここがどこかは言えないが、殺したりしないから安心しろ。明日には迎えが来て、別のところに移されるからな。それまで大人しくしてろ」


そうして、牢のようなところに入れられた。中には10人の魔族と獣人の子供達がいた。上は14歳位、下は7歳位だった。


「マティアスだ。明日に誘拐犯の別動隊が来たところを襲撃する。それまで我慢してくれ。それと勇者人形とアルテミス人形を牢の入口に置いてくれ」


通信の魔道具で、マティアスさんから指示があった。

ちゃんと捕捉してくれていたので、安心した。

そして指示どおりに2体の人形を牢の入口に置いた。そうしたら人形は動き出して、牢を出て行った。

マティアスさんとパペットマン(ポポル君?)が動かしているのだと思う。


次の日になった。


牢に入れられている僕達を移送するであろう馬車が到着した。

僕達は牢から出されて、馬車のほうまで連れていかれていた。そのとき、矢と魔法がどんどん飛んできた。犯人達に正確に刺さっていく。僕達を攫った犯人達はなすすべもなく捕縛されていった。

作戦は無事成功した。


「それではここでロイ君とマティアスさんはお別れだ。協力感謝する。第10軍団は俺とスナイパーと3分隊以外はここで後処理をしろ。俺達は引き続き追跡任務に移る」


レイン団長が指示を出す。意図的に何人かの犯人グループを逃がしていたのだ。


「俺達は全員で追跡任務に行く。パペットマン。現在地は?」


「ここから約1キロ離れたところを南進中です」


ローグさんも指示を出す。パペットマン(ポポル君?)のゴーレムが追跡しているらしい。

マティアスさんがパペットマンに声を掛ける。


「今回一緒に潜入任務を行ったが、十分一人でやっていけると思う。ここまでよく頑張ったな。私の一番弟子としてどこに出しても恥ずかしくない」


「ありがとうございます。師匠!!」

(やっぱりポポル君で間違いない)


そうして、ローグさんやレイン団長とはそこで別れた。

しばらくして、応援の部隊がやってきた。僕達はその部隊と一緒にクロスポートまで帰還した。

任務は大成功だった。


今回の活動を通じて、僕は勇者だけが平和を守っているわけじゃないと改めて思った。


表に出てこない人達の頑張りによって、国や町が守られている。僕達がこれから作る町ではそういった人達のことも大切にしていきたい。

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