幕間 地獄の食事会
~ポポル視点~
残念ながら勇者パーティーとの決戦は負けてしまった。
しかし、町に出ると魔族からは労いの言葉をよく掛けられた。特にインプ族やゴブリン族の最弱種族からは称賛する言葉を掛けてもらった。
「最後までよく頑張った。感動したよ」
「いいゴーレムね。私も欲しいわ」
残念な結果にはなったけど、決戦に出てよかったと思う。
それと今後の進路について、僕はローグさんからローグさんが隊長を務める魔国デリライトの特殊部隊に勧誘されていた。その部隊にはティアナさんもいるみたいだった。
僕が迷っているとローグさんは、体験入隊を提案してきた。
近々、過激派に攫われた子供達の奪還任務があるみたいで、それに参加して欲しいとのことだった。ゴーレムを使った運用を考えているとのことだった。
僕は特にやることもなかったので、この話を受けることにした。
まず、他のメンバーを紹介され、活動するときに着るコスチュームを渡された。
全身黒ずくめで、覆面もある。
「今日から君はポポルではなく、パペットマンだ。もし本名を知られるようなことになったら、命はないと思ってくれ」
ティアナさんに言われた。そんな・・・体験入隊なのに名前が知られただけで殺されるなんて・・・
僕がショックを受けているとティアナさんは言った。
「ポポル君冗談だ。でもこう謎が謎を呼んで楽しくならないか?小さい時はこういう、ごっこ遊びが好きだったんだ。いつの頃からかやらなくなったがな」
「ティアナ!!ちょっとふざけ過ぎだ。真面目に頼む」
「ローグ!!仕事中はブラックゲイルだ。その辺はキチンとしてくれ。家に帰ったらいいけど・・・」
なんかティアナさんは雰囲気が変わったな。結婚したからだろうか?冗談を言うような人ではなかったと思うけど。
次の日、ローグさんとティアナさんに食事に誘われた。
息子のレレ君とも一緒にレストランに行ったら、師匠とララさん一家がいた。
気まず過ぎる。もう帰りたい。
食事会が始まっても気まずい雰囲気は続いた。
子供達ははしゃいでいる。僕はリリちゃんと会話が弾んでいた。
「ポポル君カッコよかったよ。最後まで頑張って男らしかった」
「ありがとう。リリちゃんの応援で頑張れたよ」
そんな話をしていたらローグさんが話しかけてきた。気まずさに耐えきれなくなったのだろう。
「ポポル。君はリリのことをどう思っているんだ?父親としてはっきりさせておきたい」
「ローグ!!父親と言ってもお前は出て行ったじゃないか!!父親はマティだ」
ララさんがローグさんに噛み付く。
「ララさん。ローグだって事情があったのよ。ララさんだってレレ君の母親じゃないって言われたら嫌でしょ。だから、ローグにもリリちゃんの父親でいさせてあげて」
ティアナさんが割って入る。そんな中で末っ子のロロちゃんが言った。
「わあ凄い!!パパが二人とママが二人いる!!いっぱいいてうれしい」
と言い出した。これにはティアナさんが食い付いた
「ロロちゃんは私もママと呼んでくれるのか!!よし!!レレ、今日から私のことをママと呼べ」
「離れて暮らしているとはいえ、ララやローグ殿は子供を愛していることには変わりはないと思う。それに私やティアナだって、血は繋がっていないけど同じくらい子供達を愛しているよ。だからそれでいいじゃないか」
師匠が収めてくれた。
それからは少しは空気が良くなったと思う。みんな色々な話をして盛り上がった。
そうしたところ、ララさんが突然叫び出した。
「ヤバい!!生まれるかもしれない。なんとかしてくれ」
ララさんが産気づいた。いつも冷静な師匠が焦っていた。ローグさんはさすがに落ち着いた様子で対処していた。
次の日、ララさんは元気な女の子を出産した。獣人の特徴がよく出ており、名前はラマと名付けられた。
その後、応援に来ていた村の子供達は村に帰っていった。行きは師匠が道中の護衛をしていたのだが、ララさんが落ち着くまで滞在することになり、どうしようかと悩んでいたところ、ケケル伯父さんの商隊が村に立ち寄ってくれると言ってくれたので、商隊と合流して帰えることになった。
僕はというと特殊部隊の訓練などで、意外と忙しかった。
今回の任務はノーザニア王国の特殊部隊と合同でやるみたいだったので、その人達とも訓練をした。
また、時間ができた師匠とともに潜入用の小型ゴーレムを開発した。
実戦ではまだ使用していないけど、テストを繰り返したところ、上手くいくのではないかと思っている。
決戦を通じて、僕は新たな道を見付けた。
しばらくは、ローグさんのもとで困っている人を助けていきたいと思う。
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