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絶体絶命

~サポーター ロイ・カーン視点~


絶体絶命だ。


クラシアは、メインゴーレムと一騎打ちをしていたが倒され、馬乗りにされて殴られている。すぐに救援に向かいたいが、盾を持ったゴーレムと長槍を持ったゴーレムが連携して攻撃してくるし、アルテミス王女とボウガンゴーレムが矢をどんどんと撃ってくる。

ゴーレムにも矢が刺さっているが、気にすることはない。それぐらいではゴーレムは止まらない。

味方への誤射を気にすることなく矢を撃てるのは本当に厄介だ。

なので、救援にも行けない。こっちも何とか踏みとどまるだけで精一杯だ。


馬乗りにされたクラシアは何とか耐えているが、このままでは戦闘不能になるだろう。


落ち着け!!こういうときこそ冷静になろう。


まず、今まではこちらのペースで進んでいた。魔族チームの3人を戦闘不能にした。

しかし、ポポル君がゴーレムを大量に召喚してから形成が逆転した。本当に強力だ。


ではなぜ、最初からこの戦法を取らなかったのか?

取れない理由があったからではないだろうか。それが分かれば突破口が開けると思う。

それにマティアスコーチの話だとどんなに努力しても、すぐに動かせるゴーレムの数を増やすことはできないそうだ。

そこにも何かカラクリがありそうだ。


まずは観察しよう。

ポポル君は何かをガブ飲みしている。

多分魔力回復ポーションだ。かなり、魔力を消費するのだろうと予想はつく。何とか耐えれば先にポポル君が魔力切れになるかもしれない。しかし、闇雲に持久戦をするわけにはいかない。

先にこちらの体力が尽きてしまうことも十分あり得る。


サブゴーレムをよく観察してみると明らかに動きがおかしいゴーレムがいた。

そのゴーレムをよく観察する。

分かった!!そういうことか。


それとなぜ、クラシアを真っ先に仕留めにいったのか?


それらを繋ぎ合わせた結果、答えが見えてきた。

それが正しいかどうか、これから確かめる。


僕は、スリングショットで回りと少し動きの違うゴーレムの頭を吹っ飛ばした。

頭をつぶしたくらいでは、ゴーレムの動きは止まらない。真っ二つにしたり、原形がとどめないほど壊すしかない。


「ルナ!!あの頭をつぶしたゴーレムを魔法で壊して!!」


「了解!!こっちもかなり魔力が厳しいけどやってみるわ」


ルナが大きな岩を召喚してゴーレムの上から落とした。岩を落とされたゴーレムは潰された。それと同時にそのゴーレムの周囲にいたゴーレムが一斉に動きを止めた。

やはりそうか。

5~6体しかゴーレムの動きを制御できないのは間違いない。

しかし、周りのゴーレムを動かすだけのゴーレムを作れば理論上は、制御できるゴーレム5体×そのゴーレムが制御するゴーレム5体で25体のゴーレムを動かせる。


これがカラクリだ。クラシアを真っ先に潰そうとしたのも、観察眼に優れた指揮官ならいずれ気付くと思ったからだろう。

なので、この周囲のゴーレムを動かすだけのゴーレムを潰せば、サブゴーレムは何とかなるだろう。

僕は周囲のゴーレムを動かしているゴーレム(指揮官ゴーレムと呼ぶことにした)を選定し、それぞれの頭をスリングショットで壊した。


「みんな!!頭を潰したゴーレムを優先して壊してくれ!!そうすれば周りのゴーレムの動きも止まるぞ!!」


それから、クラシア以外のメンバーが僕が指定したゴーレムを壊していった。

僕のスリングショットではゴーレムを壊しきることはまず無理なので、みんなに任せることにした。

しばらくして、サブゴーレムは動きを止めた。


「クラシアの救援に向かいます!!」


そう指示をしたら、ガイエルとグリエラとレイが救援に向かってくれた。

3人が協力して、クラシアを回収してくれた。

かなり怪我を負っているが、無事のようだ。


「今日は厄日ね。短時間で何度も大怪我するなんて初めてだわ」


クラシアが冗談めかして話した。


それから、ポポル君が新たにゴーレムを召喚したら、動きを止めていたゴーレムがまた動き出した。

しかし、こちらは対処法が分かったので、今までとは違って余裕を持って戦える。

まず、僕とクラシアで指揮官ゴーレムを見つけ出す。

それが出来たら、みんなに伝える。そして、指揮官ゴーレムを潰す。

すると周囲のゴーレムも動きを止めるので、ガイエルとグリエラが中心となって、動かなくなったゴーレムを破壊していく。


ポポル君を見ると、また魔力回復ポーションを飲んでいる。

魔力切れが近いのかもしれない。それにストックしているゴーレムにも限りがあるだろう。ポポル君は収納魔法が得意だけど、無限に収納できるわけではない。

あれから努力して、収納できる容量は増やしていると思うけど、せいぜい馬車5~6台分位だろう。

それを考えるともうすぐ、ゴーレムのストックも切れると思う。


このまま持久戦に持ち込めば、勝てると思う。

しかし、ポポル君があれだけ短期間に魔力回復ポーションをガブ飲みしていることを考えると少し心配だ。なるべく早く決着を付けてあげたい。


どうしようかな・・・・



~ポポル視点~


相手に僕の弱点が露呈してしまった。

よく観察すれば、いつか気付くことは予想できていた。なので、真っ先に指揮官の勇者を潰しに行った。それが間違いだった。今回の決戦においてはロイ君が指揮官だった。

今思えば、勇者ではなく、ロイ君を潰しておけば、結果は変わっていたかもしれない。


弱点が露呈してからは、一方的にゴーレムが削られていく。

でも僕は諦めない。魔力回復ポーションを無理やり飲み込む。

しかし吐き気がして、飲んだポーションを全部吐き出してしまった。短時間で大量のポーションを飲むと副作用があると教えられていたのを思い出した。

それでもなんとか、新しくポーションを出して無理やり飲み込んだ。


こっちも飲めて後2~3本だろう。


絶体絶命だ。

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