ポポルの逆襲
~ポポル視点~
アルテミス王子もローグさんもティアナさんもアッシュさんも討ち取られてしまった。
残っているのは僕とアルテミス王女だけだ。
正直、二人だけでは勝つ確率は低い。でも僕は最後まで諦めない。
それを過激派襲撃事件のときのロイ君に教えてもらった。
僕は、奥の手を出すことにした。
まずはボウガンゴーレムを4体召喚して、アルテミス王女に任せた。
そして、重装歩兵ゴーレムと長槍ゴーレムを8体ずつ召喚した。
重装歩兵ゴーレムと長槍ゴーレムをペアにして、数で圧倒する作戦だ。
重装歩兵ゴーレムがしっかりと守備をして、長槍ゴーレムが中距離から攻撃する。
勇者パーティーの戦闘記録から、勇者パーティーの近接武器は勇者が大剣、グリエラが斧かハンマー、ガイエルが素手、レイモンドが槍の武器を使う。
(ルナリアが杖に剣を仕込んでいるとは予想外だったが)
つまりレイモンドの槍よりも長めの槍で攻撃すればこちらが有利と判断したので、みんなの協力を得てゴーレムを作成していった。
作戦は上手くいっていた。僕達が押し込んでいる。
1体1体は相手に敵わなくても、数の力でなんとか押しきれている。
それにアルテミス王女とボウガンゴーレムが上手く遠距離から援護してくれているのが大きかった。
不安要素は2つある。
1つは僕の魔力がもつかどうかだ。これについては、魔力回復ポーションをがぶ飲みしてなんとかする。
2つ目は、普段5~6体のゴーレムしか操れない僕が、ここまで大量のゴーレムを操っているカラクリを相手が気付くかどうかだ。
相手はマティアス師匠から僕は5~6体のゴーレムしか操れないと聞いていると思う。
それなのに、こんなに多くのゴーレムを操っているのを不思議に思うかもしれない。
指揮官の勇者を重点的に攻撃して、このカラクリがバレないようにしなければ。
勇者以外のメンバーの足止めはできた。
僕のメインゴーレムで勇者を仕留めてやる。
僕は搭乗しているメインゴーレムを勇者に向かって進めた。
~勇者クラシア・ラーシア視点~
どうなっているの?
ローグと覆面の女剣士を戦闘不能にしたことで、こちらが有利と思っていたけど、ポポル君が大量のゴーレムを召喚した。
マティアスコーチの話では、せいぜい5~6体程度しか召喚してこないだろうとのことだった。
また、多くのゴーレムを召喚してきたとしても単純な動きしかできないと言っていた。
しかし、現在20体のサブゴーレムと1体のメインゴーレムを召喚している。
それに大きな盾を持ったゴーレムと長めの槍を持ったゴーレムがペアになって攻撃してきている。
動きこそ早くはないが、連携の良さとこちらの攻撃の届かない位置から嫌らしく攻撃してきていて、私達は押し込まれていた。
魔法で一気に片を付けたいが、ルナも魔力が回復しきっていないし、ロイのスリングショットでは、ゴーレムにほとんどダメージを与えられない。
それに遠距離からもアルテミス王女とボウガンを持ったゴーレムが攻撃してくる。
そして何体かゴーレムを倒しても、すぐに召喚して補充されるので、こちらの体力が削られていく。
こんな攻撃がずっと続けばこちらの敗北は確実だ。
何か策はあるのか?
そのようなことを考えながら目の前のゴーレムと対峙していたら、ポポル君の乗ったメインゴーレムが接近してきた。
そのゴーレムはかなり大きく3メートル位の高さがあり、腕が8本ある。攻撃は、アッシュと同じような感じで素手での殴打だった。
スピードや技能はアッシュが上だが、パワーは互角。
そして腕が8本あるので、どちらかというとこのゴーレムのほうがやりにくいかもしれない。
私は大剣で間合いを取って、戦うことにした。
攻撃を当てるというよりも近付けさせないことをメインとした戦術だ。
シクスさんの模擬戦から拳が届く間合いで戦うとどうしてもスピードで負けてしまうのでこの戦術を取った。
無理に相手が近付いてきたらカウンターで攻撃するつもりでいた。
ポポル君は無理に近付けないと分かったのか、長槍4本を装備して攻撃してきた。
今度は私のほうが間合いが狭く、相手のほうが有利になった。
しかし、槍の扱いはそこまで上手くない。素手に比べてスピードも落ちている。
私は、難なく槍の攻撃を躱している。
そうしたところ、ポポル君のゴーレムは槍を投げ付けてきた。槍では勝てないと判断したのだろう。
私は、投げられた槍を大剣で難なく払った。
このままいけば勝てると思ったが、そうは行かなかった。
槍は囮だった。本命はボウガンによる攻撃だった。ボウガンの矢が私の両足を貫いた。
激痛が走った。一瞬膝を着いてしまった。
その時ポポル君が急接近して、私の両手を2本ずつの腕で掴んで動けなくさせた。
シクスさんとアッシュの必殺技だ。
でも私はこの技の抜けだし方を知っている。
アッシュにしたように力を抜いて仰向けに倒れ込んだ。前のめりになったところを下から蹴り上げて、投げる。足にダメージがあるけど、そこは根性でカバーする。
そのとき予想外のことが起きた。私を掴んでいた4本の腕が、本体からはずれた。
私は仰向けに倒れただけになった。
すかさず、ポポル君のゴーレムは私に馬乗りになった。
アッシュとの戦いで私がこの技を使ってくると予想して、対処していたのだろう。完全にやられてしまった。
絶体絶命のピンチだ。
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