いざダンジョンへ!!
~魔法使いルナリア・リーブス視点~
私はルナリア・リーブス。年齢は20歳。
ラーシア王国の騎士爵家の長女として生まれた。
ラーシア王国は獣人国で人口の7割が獣人である。
なぜ、獣人の国に私がいるかというと両親が宮廷魔術士としてラーシア王国に召し抱えられたためだ。
そこで功績が認められ、叙爵されたのだ。騎士爵は一代限りの貴族だが、私も宮廷魔術士として、採用され、功績を上げれば騎士爵を引き継げるかもしれない。
両親は優秀な魔法使いで、第一王女クラシアの魔法の師匠でもあったことからクラシアとは幼馴染で親友でもある。
そのおかげで従者枠で各国の貴族の子女が集うセントラルハイツ学園に入学することもできた。卒業後、宮廷魔術士の見習いをしていたが、クラシアに誘われて、同じく幼馴染のレイ兄と一緒に勇者パーティーを結成して冒険が始まった。
今回の勇者パーティーの活動で、それなりに活躍できれば、正式に宮廷魔術士として採用されるだろう。
なので、将来については特に心配していない。ただ気がかりなことと言えば、兄の件だ。
私には3歳上の魔道具職人をしている兄がいる。
兄は、魔法の才能があまりなかったが、魔道具作成については天才的な能力を発揮した。そ
のせいか、少し天狗になってしまったようで、大した修行もせずに、すぐ商業都市ダッカで工房を設立してしまった。
もちろん良い魔道具は作れる。しかし経営能力、販売等に関しては、全くの素人だった。当然上手くいくはずもなく、経営は火の車だ。
そこに救世主が現れた。ダッカの大商人トルキオさんだ。兄の能力を見抜き、援助を申し出てくれた。援助の条件のひとつに兄の魔道具を勇者パーティーのメンバーである私がしっかりとPRすることがある。
もちろん私は二つ返事で了承した。
ここまで話してきたが、私今回の旅の目的は2つ
・それなりの結果を出して宮廷魔術士に採用されること
・兄の魔道具をしっかりPRすること
である。世界を救おうなんて考えは、まあ・・・・ないことはないが、できたらいいなくらいだろうか。
現在は、王都ノビスランドの西に約1日の距離に位置するダンジョン「光の洞窟」に向かっている。
出発に際して、多くの取材を受けた。勇者パーティーがこんなにも注目されるなんて、夢に思わなかった。最初は緊張したがだんだんとコツが分かり、しっかりとでもさりげなく、兄が作った杖のアピールができたと思う。
「光の洞窟」での戦いは、魔道具で映像を配信されるそうだ。ここでもしっかりとアピールしよう。
杖を握る右手に自然と力が入った。