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いよいよ開幕

~勇者クラシア・ラーシア~


とうとう決戦が開幕した。

私達はこの日のためにやってきた。当然緊張している。


「本当に作戦通りいくのかな?心配になってきたわ。やっぱり魔族チームに情報を渡さなければ楽に勝てたと思うんだけど」


ルナが言い出した。

私達が仮想魔族チームまで作って対策していることをシクスさんを通じて、魔族チームに情報を与えた。

理由はこうだ。


そのままでは、こちらが圧倒的に勝ってしまう可能性が出てきた。

そうなれば、不正が疑われ、シクスさんやその上司も処分を受けてしまう可能性がある。

また、人族と魔族との間に禍根を残すことにもなる。

相手にも情報を与えておけば、私達に負けたとしても、自分達の実力がなかったと思ってくれるだろう。


そうはいっても、やはり不安だ。

前日のミーティングでは、相手も守備的に戦ってくると予想していた。対策をされていると考えれば、私が指揮官でもそうする。

相手に守り切られたら非常に厄介だ。冷静さを失って攻めてきてくれれば助かるんだけど無理そうね。


「相手に冷静さを失わせればいいんだろ。策はあるよ」


パトリシア監督が説明する。

本当に大丈夫だろうか。


「その作戦ならたぶん大丈夫です。なので、その作戦が成功する前提で次の手を打ちます。もちろん作戦が失敗したときのことも想定してます」


ロイが言う。

ロイがそう思うならたぶん大丈夫なんだろう。


ノビスおじさんとマーラ王妃、魔国デリライトの国王などがセレモニーを行った後に魔族チームの選手紹介があった。

メンバーに変更はない。気になるのはポポル君のゴーレムだ。

腕が8本あるゴーレムを用意している。武器はまだ装備していない。これは勘だが、何かを隠していると思う。


続いて勇者パーティーの紹介が始まった。


音楽が鳴り響く中、拡声の魔道具から大声がした。仮説ステージに人間の美しい女性とインプ族の男性が登場した。


「おいおいおい!!なんだその選手紹介は!!いつからそんな真面目ちゃんになったんだ?」

「お通夜でもやっていたのか?このリリック様が来たからには、そんなことにはならないぞ」


「リリック、司会はあなただけじゃないのよ。この大女優アンジェリーナもいるわよ!!」


「自分で大女優なんて言ってりゃ世話ねえぜ」


ロイが言うには、例年魔族チームの司会者をしていた人物をこちらに引き抜いたそうだ。

一緒に司会をするのはロイとルナに演技指導をした大女優らしい。


「凄く盛り上げてくれて、本当に面白いんですよ」


とロイが言う。会場も盛り上がっている。


「まずはサポートスタッフの紹介だ!!わざわざベッツから来てくれた、ベッツを陰から支えるみんなのヒーロー!!その名もベッツ・スパクラブだ!!」


歓声が上がる。打ち合わせ通り、ベッツ・スパクラブの4人が登場する。


「ベッツ・スパクラブはナールさん、ニールさん、ネネさん、ノンさんの4人パーティーで・・・」


アンジェリーナさんが詳しく説明を始めた。


「・・・ノンさんのご実家は、老舗中の老舗の温泉宿です。最高の露天風呂と取れたての山菜料理は本当に素晴らしいですよ。ベッツにお越しの際は是非お立ち寄りください」


ちゃっかり、実家の宣伝をしている。この4人は意外に抜け目がない。


「続いてはコーチの紹介だ!!魔族チームのメンバー発表会で多くの観客を救った英雄の一人、ポポルの師匠でもある。元祖ゴーレムマスターのマティアス・ブルーローズだ!!」


オルマン帝国の深紅のローブを纏ったマティアスコーチが登場した。

ララさんや村の子供達から歓声が上がる。


「マティアス様はオルマン帝国の名門ブルーローズ家のご子息で、この度、数々の功績が認められて、名誉上級宮廷魔術士となりました。身に付けている深紅のローブはその証であります」


アンジェリーナさんが補足する。ここでもオルマン帝国の威信を示したいらしい。


「さあ今度は監督だぜ!!知る人ぞ知る伝説の大商人、隠居中だったが今日のために復活だ!!狂犬パティ!!」


パトリシア監督が登場する。


「次がスタッフ紹介の最後となります。ノーザニア王国総務大臣、パーティーマネ―ジャーのアンヌ大臣です。その美貌と完璧な仕事ぶりから彼女のことをこう呼びます。クールビューティーアンヌ!!」


アンヌ大臣が登場する。

聞いた話だと、マネージャーは監督より立場が上のようだ。普段の扱いからは、そんなことを1ミリも思わなかったけど。



いよいよ私達の出番だ。

ここまで、みんなに二つ名を付けてもらっている。私達にどんな二つ名が付くか楽しみだ。

それに司会者が盛り上げてくれて、気分も乗ってきた。

司会者の選定はアンヌ大臣がしてくれたみたいだ。やっぱりできる女だ。


「来たぞ!!来たぞ!!来たぞ!!いよいよ選手紹介だ!!」

「最初に登場するのはこいつだ。オルマン帝国の深紅の軽鎧を身に付けたるは、魔物の解体から料理までなんでもできる、勇者パーティーを陰から支え続けた男!!その名はパーフェクトサポーターのロイ・カーン!!」


ロイが登場する。


「ロイ様にも功績が認められて、オルマン帝国より深紅の軽鎧が送られています」



「さあどんどん行くぞ!!続いては小さい体と可愛い顔からは想像できないそのパワー、どんな武器でも自在に使いこなすドワーフの姫!!キューティーパワー!!グリエラ!!」


グリエラが登場する。ドワーフ族が盛り上がる。

ロイもだが、グリエラも少し照れくさそうにしている。


「続いては、エルフの貴公子!!強靭な体躯から繰り出されるそのパワー、動きも早いぞ!!疾風剛腕のガイエル!!」


ガイエルが登場する。


「今大会屈指のイケメン!!回復魔法は一級品!!槍の技能も一級品!!はにかむ笑顔は特級品!!さあ女性の皆さんお待ちかねだよ!!アークプリーストナイトのレイモンド・ミッチェル」


レイ兄が登場する。女性の観客から黄色い悲鳴が上がる。


「次はお前の弟子だろ?紹介はお前がやれよ。アンジェリーナ!!」


「それじゃ、やらせてもらうわね」

「女優も顔負けの演技力。そして愛くるしいその仕草!!そして、見るものを魅了する攻撃魔法は圧巻よ!!みんなのアイドル!!ラブリーウィザード!!ルナリア・リーブス!!」


ルナが登場する。

演技指導を受けた女優さんから紹介された。女優のほうでも認められてうれしそうだった。

(女優ではないけど)


「いよいよ勇者様の登場だ!!」


「剣も魔法も得意な万能の戦士!!ラーシア王国の第一王女で獅子族の誇り!!強くて美人なその人は?そうだ!!ビューティーライオネス!!クラシア・ラーシアだ!!」


私も会場に姿を現した。

いよいよ決戦が始まる。

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