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ロイの覚醒

~勇者クラシア・ラーシア視点~


「私達も模擬戦に参加させてください」

「サポートスタッフとして、契約させてもらっている立場で、実力も足りなくて申し訳ないのですが、一戦だけでもさせてもらえないでしょうか」


ベッツ・スパクラブのノンさんが声を上げた。


私は構わないけど、監督はどうするんだろう。


「それじゃ、模擬戦に参加したい奴は集まってくれ。ベッツ・スパクラブにロイが指揮官として加入する。これは絶対条件だ。それと、相手チームはそうだな。休憩していたレオとヘラストとトルキオは絶対参加だな」


「師匠!!私はもうしんどいんですが・・・」


「ガタガタ言わずにやれったらやれよ!!」


トルキオさんが怒鳴られた。


「先程は不甲斐ないことをしてしまった。私も参加する」


「俺はまだまだいけるぜ!!」


グリエラとシクスさんも参加することになった。


結局、ベッツ・スパクラブにロイを指揮官として加えた5人とお父様、ヘラストさん、トルキオさん、シクスさんにグリエラの5人が戦うことになった。


個人の能力としては、絶対にグリエラ達5人に軍配があがるだろう。

ただ、全員が前衛の戦士タイプで、個性が強い脳筋集団だ。隙があるとすればそこしかない。


対して、ベッツ・スパクラブとロイは、個人能力では劣っているものの、バランスはいい。

剣士、狩人、魔法使い、回復術士にサポーターのロイがいる。

指揮官であるロイの出来にすべて掛かっている。


それぞれのチームで作戦会議が始まった。

お父様のチームは・・・ひどかった・・・


「よし、ドカーンと攻めて、怯んだところを一気にやるんだ」

「いや、それよりも最初からドーンと行けばいいと思う」

「俺が突撃するから、みんなはサポートに回ってくれ」


このチームではトルキオさんが指揮官をするのが一番いいとは思うけど、多分、このメンバーだと言うことを聞いてくれないだろう。


一方、ロイとベッツ・スパクラブは入念に打ち合わせをしていた。


そういうことか。監督は私に指揮官としての重要性を気付かせようとしているんだ。







~サポーター ロイ・カーン視点~




いきなり指揮官にされてしまった。でもやるしかない。

まずは、ベッツ・スパクラブの戦力を分析する。何度か一緒に訓練しているので、ある程度のことは分かる。

実力のある剣士のナールさん、土魔法が得意なニールさん、回復術士で結界魔法も得意なネネさん、リーダーで狩人のノンさんの4人だ。


パーティーとしては、防衛戦に特化している。相手が高ランクの前衛集団でも、守るだけなら、かなりの時間守り切れるだろう。

僕は、迷わず防衛戦を提案した。


「ロイさん。私達が防衛戦が得意なのは分かりますけど、守っているだけでは勝てないんじゃないでしょうか」


「普通の戦いならそうですね。でも今回の決戦のルールでは、それでも勝てますよ」


僕は詳細に作戦を説明した。


「なるほど、そういうことですか」


ノンさん達が納得した。



模擬戦が始まった。

予想通り、相手は突進してきた。


ナールさんが土壁を迷路のように、ジグザグに設置した。

そこを僕とノンさがスリングショットと弓で牽制する。


ナールさんとネネさんが迷路のように設置された壁や地面に罠を設置していく。

ベッツ・スパクラブはみんな罠設置ができる。これも強みのひとつだ。


決戦の勝利条件は3つ。


1相手陣地に設置してあるコアストーンを破壊したとき


2相手メンバー全員を戦闘不能状態にしたとき


3相手方が敗北宣言を出したとき


2番と3番は戦力的に考えて、まず無理だ。1番しかない。

圧倒的に火力が足りない。

防衛戦に徹して、隙ができたところを全力でコアストーンの破壊を目指す。



相手チームを観察したが、メンバー間で連携することはなさそうだった。

作戦も大声で話していたので、だいたい分かった。

お互いが邪魔にならない距離を取って、好き勝手に戦うみたいだった。


コアストーンはトルキオさんが一人で守らされている。


ニールさんが作った壁の隙間から僕のスリングショットとノンさんの弓で攻撃する。

決定打は与えられないが、足止め程度にはなっている。

罠もいい感じで効果が出ている。


グリエラが落とし穴に落ちた。

そこにナールさんが切り掛かる。

それをヘラストさんが盾で防いだ。連携する気はほとんどないが、長年の感なのか、仲間のピンチには自然と体が反応するようだ。


かなりの時間凌いでいる。相手は、すぐに勝てると思っていただろう。

しかし、土壁と罠、それを上手く使ったヒットアンドアウェイでの攻撃で、思うように戦えていない。

かなりフラストレーションが溜まっていることだろう。


「もう埒が明かねえ。壁ごと壊して、一気に勝負を決めるぞ!!」

「そうだ。多少のダメージは覚悟の上で進もう」


レオナルド王とシクスさんが叫んだ。


「俺とグリエラで攻撃は防いでやるからレオとシクスは壁の破壊を優先させてくれ」

「分かった。私は左を守る。反対は頼む」


ヘラストさんとグリエラが答える。

ここにきて、初めてこのチームは意思統一ができた。こうなったら、かなり強い。

凄い勢いで壁を壊して突き進んでくる。


この突進力は予想以上だが、突進してくること自体は想定内だ。


破壊された壁の先には、ロープを張り巡らした空間を用意していた。


「なんだこれは?また罠か?」


レオナルド王が声を出した。勢いよく、突き進んできた4人が立ち止まる。

罠なんて仕掛けてない。ただの張ったりだ。

不審に思って、止まってくれることを期待して、設置したものだが、上手く効いてくれた。


「今です!!ニールさん、ネネさん」


「「ウォールプロテクション」」


ニールさんとネネさんが叫ぶ。

二人が開発した合成魔法で、ニールさんの土壁にネネさんが結界魔法を掛けて、強度を高めるものだ。

強化された土壁が4人の四方に立ちはだかった。


これで、しばらくは足止めできるだろう。

後は、コアストーンを破壊するだけだ。



「ニールさん、ネネさん!!後は頼みます」

「ナールさん、ノンさん!!コアストーンの破壊に行きましょう」


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