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幕間 5代目勇者の物語4

~5代目勇者アグエラ視点~


パティさんとの旅も楽しかった。

たまに盗賊や魔物の襲撃はあったが、難なく撃退した。


そして、夜には恋バナが始まる。

パティさんも加わってきた。この人は趣味で勇者パーティーの研究をしているうようだった。

初代勇者とも親交があるみたいだ。


「実はね。初代勇者は魔族チームに勝利したときに何て言ったと思う?『マーラ王女を妻として娶る』って言ったのよ。マーラ王女っていうのは、魔国デリライトの王女で、魔族なんだけどね。そして、その二人は結ばれたのよ」


「種族を超えた愛って、なんかロマンチックね」

「私達も決戦でそんなことがあればいいなあ」

「でも私達の第一の目的は師匠にひどいことをした魔族の男をぶっ殺すことだよ。それは忘れないでね」


と三姉妹が答えた。

話題が私とディアスの話になった。

ディアスに捨てられたことをパティさんにも話した。そして勇者になったのも、復讐のためだと話した。


「話を聞く限り、アグエラはまだディアスのことが好きなんだろ。それにディアスはいい男だと思うよ。きっと何か事情があって迎えに来れてないんだと思うけどね」


そんなことをパティさんに言われた。

自分でも、自分の気持ちが分からなくなってきた。

ディアスを憎んでいるのか、それとも愛しているのか・・・・


そんな思いを抱えながらノーザニア王国の王都に到着した。

そこで、パティさんとは別れた。ノビスランドという新しくできた開拓地に向かうそうだ。

決戦のときは応援にきてくれると言っていた。


王都では、国王との謁見の後に私だけ別室に案内された。

そこには魔族の美しい女性が待っていた。

その女性と面談したが正直よく覚えていない。


私の精神状態もヤバかったし、魔族がどうのこうのという話だったけど、正直どうでもよかった。

適当に受け答えしていたら、魔族の女性が怒ってしまって、


「そんな嫉妬深い性格をしてるから捨てられるのです」


なんて言ってきた。私はキレてしまった。

気が付いたら取っ組み合いの喧嘩になった。


しばらくして、近くの者に止められて、私達は引き離された。


何とか落ち着きを取り戻し、話合いを続けた。

分かったのはディアスは、この魔族の女性の弟で、今回の決戦に魔族チームとして出場するとのことだった。


もう訳が分からなくなった。私は結局ディアスをどうしたいのだろう。

殺したいほど憎んでいるのか?

もうパニックになってしまった。

そして、ディアスを殺して、私も死んでやると思ってしまった。


気が付いたら部屋を飛び出していた。



その日は三姉妹とミランダに慰められた。

結局どのような答えを出すにしても、まずはちゃんと話し合いをするべきだとアドバイスをもらった。

何とか落ち着いてきた。


魔族の女性との話し合いについては、ミランダに任せた。

内容としては、私達が決戦に勝利した場合、クロスポートという町の領有権を主張しない代わりに何か別の報酬を用意するといったものだった。

まあどうでもいいけど。

私はディアスとちゃんと話をさせて欲しいと要求した。


三姉妹は魔族領でお婿さんを用意してくれることで手を打ったみたいだ。


「師匠!!死んでも勝ちましょう」

「姉さん。死んだら結婚できないわよ」


かなり、やる気になっていた。


ミランダは、ノーザニア王国で発見されているダンジョンをすべて探索できる権利を要求したらしい。

生粋のダンジョンマニアだ。


要求はすべて通り、私達はダンジョン都市のテトラシティに向かった。

ここでダンジョンを攻略して、初めて勇者パーティーとして認められる。


ダンジョン探索は順調だった。ミランダのおかげで、苦労することなく攻略することができた。

攻略後にミランダは、何やら書面をまとめているようだった。

特に興味がないので、そのままにしておいた。


そして、いよいよ決戦の地クロスポートにやってきた。


ここにきて思ったのだが、魔族チームがどんなチームか全く分かっていなかった。

ノーザニア王国の担当者に魔族チームのメンバーについて教えて欲しいと言ったところ、魔族チームのメンバー発表会に連れて行ってくれることになった。


メンバー発表会の会場は大いに盛り上がっていた。屋台も多く出ていて、三姉妹は喜んで、買い食いしていた。なんかお祭りのような感じだった。

ここの人達は魔族とか人族とか関係なく、単純に決戦を楽しもうとしているようだった。


そして、メンバーが発表された。


最初は「闘魂三兄弟」と言われる阿修羅族の三人兄弟で、三姉妹より体が大きく、腕が6本あった。

司会者の説明では、見た目通りのパワーファイターだった。


「姉さん。あの人たちなら私達をお姫様抱っこできるかも?」

「腕が6本あるから抱っこされながら、モフモフとかされちゃうかもね」

「ちょっと!!今回の対戦相手よ。まず勝つことを考えなさい。でもちょっといいかもね」


三姉妹が言った。こちらも呑気なもんだ。


次に紹介されたのはローグという魔法剣士だった。

一家に一台、安心安定という触れ込みだった。何かミランダと似ている気がする。


ミランダはローグのことを知っているらしい。詳しいことは教えてくれなかったが、同じ魔法剣術の流派だそうだ。


そして会場が大歓声に包まれた。

三又槍を担いで、イケメンの魔族が登場した。

間違いないディアスだ。


「さあ、今回の魔族チームのリーダーはもちろんこの方です。ディアス王子!!」


特に女性の声援が大きかった。


「王族の参加は今回が初めてです。今回は僭越ながらこのように名付けさせていただきました」

「アルティメットマジックランサー!!ディアス!!」


また、大歓声が上がった。


ディアスは王子だったんだ・・・

私なんかじゃ釣り合わないよね。


そういうことか!!

やっぱり遊びだったんだ。


絶対に許さない。決戦でディアスの息の根を止めてやる。












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