プロローグ
「勇者よ。よく来てくれた!!」
ノーザニア王国王都ノビスランド
その都市の中央に位置するノビス城の謁見の間に壮年の王の声が響き渡る。
王の眼前には、
獅子族(獣人)の女を筆頭にそのお供と思われる妙齢の女ドワーフ、屈強な男エルフ、人間族の女魔法使い、同じく人間族の男神官
が跪く。更に王は言葉を続ける。
「我はノーザニア王ノビス・ノーザニアである。こ度は貴殿達が魔族との闘いに赴いてくれることを心から感謝する。ユリシア大陸のすべての人類を代表して礼を言う。」
それに対し、獅子族の女性は
「我は、ラーシア王国第1王女クラシア・ラーシア。今回は王女としてではなく、勇者として参りました。必ずや、使命を果たして見せます」
と答える。王は続ける。
「我がノーザニアは、魔族領と唯一接している国であるため、300年以上に渡り、戦乱が絶えなかった。
我が国も隣接の魔国デリライトも互いに疲弊した。そこで休戦協定を結ぶとともに勇者制度を設立したのだ。少数のパーティーによる代理戦争である。」
更に小声でクラシアに
(知ってると思うけど、魔道具で各地にリアルタイムで送信してるからそれなりにね。)
と語りかけると
〈はい。心得てます〉
とこちらもクラシアが小声で答える。
王は、お供にも目を向けて声を掛ける。
「皆の者も勇者をサポートしてもらいたい。そこでこちらで装備品を用意した。」