エンジェルライフMirai⑧60年前の微笑ましいく、寂しく、残酷な真実。エライザとカルロを導いた人たちの物語。
違うところから見つかった3枚の写真。亡くなったミサ婆ちゃんはカルメンの行方知れずだった母と分かった。ミサとナカが姉妹。春とカルメンは従妹。カルロは、覚えられないが、エライザとカルロは、また従妹だった!!みんな親戚だった!!ミサが、娘、カルメンを残してイタリアを離れた理由が明かされる。
父:アントニオ 母:ミサを引き裂いた国際結婚の深い溝!勘違いで二人の新婚生活は引き裂かれた!
⑧
亡くなった、ミサ婆ちゃんの家を片付けたエライザとカルロ。300万円の香木、伽羅が出てきた。古いアルバムの1枚の写真。同じ写真をエライザの母、春が持っていた。春の母、中の写真だという。春の持っていた写真は、春の所だけ切り取ってある。春も昔、この町に住んでいたので、有名人の写真にミサと春が、偶然収まったのかもしれない。
エライザ:春さんのお母さん、中さんも日出の人だから、きっとこの髭の日本人と白人が日出に来て、珍しくて一緒に写真に入ったんじゃない。
春:お腹すいたね。
カルロ:僕も・・・
春が来るので、カルメンが張り切って料理を準備している。特性玉ねぎ、トマトソースに寸胴で取ったスープストックにレンズ豆の代りに大豆を入れたスープ。カルメンの得意なトルコ料理だ。日本人向けにコンソメスープもいれて飲みやすくなっている。冷蔵庫で寝かしたシシケバブもオーブンで焼きあがるところだ。エライザは、カルメンの横でサモサを巻いて揚げている。つわりは終わったのか揚げ物の匂いも気にならない様子。
カルメン:エライザ揚げ終ったらすわりましょ。
カルメンが車いすでダイニングテーブルに着いた。
エライザ:ちょと飲んじゃお!春さんも飲めるのかな?
春:頂きます。最初はビールで、
エライザ:最初は、ビールか、飲める口だな!
みんなのビールをエライザが注いで、カルロが運ぶみんな揃って
エライザ:明けまして!おめでとうございます。
カルロ: ( ^ω^)・・・⊡・・ ざいます。
みんなで乾杯しエライザも久ぶりに飲んだ。つわりは終わったらしい。
カルメン:春さんどうぞ、食べてください。
春:色鮮やかですね。
カルメン:トルコ料理です。サラダはヨーグルトとオリーブオイルのドレッシングです。
エライザ:私も結構、トルコ料理覚えてきたよ。トマト、ヨーグルトが決め手だね。
カルメン:そう、それに玉ねぎ、ジャガイモも多いです。トルコ人は日本人のコメの代りにジャガイモを食べます。ここにあるマッシュドポテトが主食です。若い人は、ピラウと言って、ピラフのようなコメの料理も好きです。語源も日本語と同じかもせれませんね。
春:このハンバーグみたいなのは、・・おいしいです。
カルロ:キョフテと、言ってハンバーグ見たいでしょ。一口サイズだから肉団子の方が近いかな・・・
エライザ:キョフテもシシケバブもソースがいろいろあるのがトルコ風です。
春:シシケバブ?聞いたことある。
エライザ:日本では大きな肉の塊を回しながら焼いているのを想像すると思うけどシシは串の意味で串焼きがシシケバブ。大きな肉を回して焼いてるのがドネルケバブで、あれは、ドイツの料理が世界中に広まった。トルコにも入ってきてトルコ人も大好きです。
春:エライザ、ワイン貰っていい?
カルロ:春さん、白、赤?
春:白でお願いします。
エライザ:春さん飲めそうですね。
春:エライザは?私結構強いよ。今でもワイン1本は余裕。
カルロ:エライザは、大酒のみです。でも今は飲まないようにしています。
春:そうだね。赤ちゃんに悪いからなって、言いながら私はエライザがお腹にいる時、がんがん飲んでた!!
エライザ:それで、私が、こうなっちゃった。つわりが終わったらお酒もおいしー。
カルメン:エライザ!ほどほどにね。
カルロ:ホント、同じ写真だよ。あれっ取れちゃった。
カルロがアントニオの遺品のアルバムやミサばあちゃんの家から持ってきたアルバムを見比べていた。すると、張り付けられていた写真が剥がれ落ちた。
エライザ:カルロ!破いちゃだめだよ。
カルロ:破いてないよ。アルバムから剥がれたよ。
エライザ: ん ・・裏になんか書いてあるね。・・わかんないな・・なんて書いてあるか分かる?
エライザは、写真の裏側をカルロやカルメンに見せた。カルメンが、写真を手に取り。
カルメン:母とミサの父Masaaki・Kokuboを訪問 1962/5/5 irago とあります。
この人は、小久保正明って言うみたい。
エライザ:えっ!じゃこの左端の人は、カルメンのお父さんアントニオでしょ。アントニオの横の高齢のこの白人女性が、ガブリエルか・・・
エライザは、ミサの持っていたほかのアルバムと、三つの写真をもう一度見比べる。
これが、ミサばあちゃん。こっちの写真にもある右の人がナカさん。真ん中にいる男が小久保正明・・・・
・・・伊良湖岬だから日本人?ミサ婆ちゃんのお父さんで・・・
カルロ:こっちのアルバムにも正明の写真あるよ横の人は、エレナ・ベニーニ 奥さんみたい。
エライザ:見せて!書いてある!父と母エレナ・ベニーニだって! これ見て、ナカさんじゃない
あっつ、こっちの写真にもナカさん写ってる。ミサとナカ姉妹だよ!ミサ婆ちゃんのアルバムにはナカの写真いっぱいだよ!
カルメンが、ミサ婆ちゃんの他のアルバムを見て・・・・
カルメン:・・・こ・・れ・・きっと・・わたし・・
と写真を見て泣き出した。
カルメン:女性の顔も場所も分からないけど・・・このぬいぐるみは今も自宅にあります。こどものころから好きで持ってました。きっとこの女性は、ミサは、私のお母さんです。
カルメンは、ミサ婆ちゃんが母だと確信し写真を見つめ泣いている。本人は確信しているが、カルロやエライザは、何が起こっているのか理解できない。春は、不思議そうに泣いているカルメンを見て心配しているが、酒のグラスは、離さない。カルメンが、気を取り直して、涙をぬぐって言った。
カルメン:父のアントニオはミサとの結婚の報告に母のガブリエルと行ったのです。アントニオとガブリエルの服は、大切な時にしか着ないイタリアの古い正装です。なぜミサが結婚相手かというとミサの手に花束が有ります。ナカは普通の服です。小久保正明は写真の裏書でミサの父と分かりましたね。
エライザ:ミサのアルバムからミサとナカは姉妹。この写真は、家族写真だ。
カルメン:そうですね。私も、春さんもミサの写真を持っていて当然です。
エライザ:場所は、どこかな伊良湖岬でしょ。自宅だよね・・・おっ? この木と・・向こうに少し海が写ってるよね。
あーつ、わかった!!ミサ婆ちゃんの家の庭だよこの木、ほら、今は大きくなってる。
カルロ:ミサは、僕のお婆ちゃん! ママのママですか!! ママーn ママーnn
カルロとカルメンは、抱き合って泣いた。エライザも静かに見つめて泣いた。春は、静かにワインを注いで静かに飲んだ。
エライザ:それって、、春さんのお母さんがナカさんでしょ。この写真からするとナカさんのお父さんが正明。お母さん!春さんは、カルメンのいとこじゃん!!
春:??はあ・・正明はナカのお父さんに決まってるじゃん私の爺ちゃんの写真なんだから・・・
それで、わたしとカルメンがいとこ!!?ってか・・・そう言われても・・・
酔っ払ってる春は、みんなの話に付いて行けず話が分からない。
春がカルメンを見て、カルメンも春を見た・・・・泣くほどではないらしくカルメンは、
カルメン:そうらしいね。
と、言って笑った。
エライザ:カルロ!私とカルロも親戚!またいとこだ!!
カルロ:また いいとこ? それは、いい ところ ですか?
エライザ:(ま、いいか)(そうだと・眉を上げた)
春:私たち親戚?親戚が集まってんの?日本の正月みたいだね!飲もう!
春は一人で、空にしたワインをエライザに見せて、ワインを催促した。
エライザ:春さん・・大丈夫?・・そのくらいにしといたら?
春:えっ・・もうちょっと・・
翌朝、エライザとカルメンが、朝食の準備をしている。今日は、春を伊良湖神社に連れて行き、高級ホテルの月の渚で昼食の予定だ。カルロは、春に飲めない酒をしかり飲まされまだ、爆睡中。
エライザ:カルメン・・なんでお父さんはカルメンの名字をビアンキ(Bianchi)にしたんだろう。
カルメン:わかりませんビアンキ(Bianchi)という性は、親族にはいません。
エライザ:そうなんだ・・
カルメン:それに・・母は、なんで私を置いて日本に帰ってしまったのかも・・・分かりません。
春:昨日は、結婚したお婿さんの家にあいさつに来たつもりだったのに、朝起きて、よく考えたらみんな親戚ってことだよね・・私酔ってて、あまりことの重みが分かってなくて、テレビのドラマ見てるみたいで自分の身に起きた事と感じてなかった。酔いがさめて話は全部覚えてて、カルメンが私のいとこ、いとこの息子と私の娘が結婚して、カルメンのお母さんは、ミサ婆ちゃんで、私の叔母さん!中さんから聞いた事ない・・?
なんでだろう。
エライザ:いまさら驚いてるの!みんなで行ってみよ!ミサさんの家。
4人は、エライザの運転で、伊良湖神社に初詣に行った。車は伊良湖小学校の前に置いて歩いて5分ほどの本宮へ向かう鳥居を抜けてしばらく行くと手水やがあり春が作法を教える。お清めが住みさらに進むと馬の置物が有った。
カルロ:この写真ありました。お爺ちゃんのアルバムにママが抱かれて馬を怖がってる写真。
カルメンは何となくこの馬を見た気がしたが場所は覚えていない。写真が有るならたぶんここなのだろう、と思った。本宮で参拝をする。ここでも春が参拝の仕方をやって見せた。
春:お賽銭はね、穴の開いた硬貨がいいの・・これとか、これ
5円玉や50円硬貨を見せた。
春:中にはね、1年かけて、5円、50円を貯めて初詣に持ってくる人もいるよ。
カルロ:変な習慣だね。
春:穴が開いてるから穴から先が見える。未来が見える。って意味があるんだって
カルロ:なんで穴から見ないといけない・・見にくいナ・・
参拝を終えて、ミサの家へ行く。中に入るとエライザは物置部屋へ行き残っているものを調べ始める。
カルロは、春やカルメンを案内しここが旅館だったことを話しながら部屋を見て回った。。エライザは、小さな鏡台の物入に数枚の写真と手紙を見つける。イタリア語であろう文字やアントニオとカルメンと思われる写真が何枚かあった。
エライザ:アントニオの写真だ。抱かれているのはカルメンね。3人の写真も・・・
エライザは持っていたエコバッグに手紙と写真を入れて持って帰った。
景色の良い海沿いのホテル、月の渚で昼食を予約している。12時の予約だが、11時ごろに到着した。ここでもカルロのアクセサリーを販売している。みんなで、周りの海岸を散策し、春は恋人ができるという鐘を鳴らしてはしゃいだ。ここから見る伊良湖ビューホテルを望む景色も絶景だ。さっき走ってきた道からの景色を思い出し、今は、恋路が浜に立ち東に幾重にもつづく打ち寄せる波。西風に舞い上がった潮の霧が南に突き出た丘を霞ませている。少し寒くなった。
月の渚に入った。
エライザ:予約の小久保ですが、少し早いのでショーケース見させて下さい。
店員にそう告げるとカルロのショーケースを探した。地元の見上げ物がたくさん置いてある。陶芸品や子供おもちゃなど・・・奥の一画に、高級そうなガラスのショーケースがあり。照明でライトアップされている。Carlo・Bianchi・Kokuboのコーナーだ。
綺麗に展示された指輪やネックレスが置かれている。以前に見た時よりも随分豪華なショーケースになった。宝石店のようだ。飾り付けられたネックレスの横にはそのネックレスを付けたFendy鈴の写真。ブレスレットの横にはエライザが豊橋で撮った写真がすでに飾られていた。地元企業どうしで使いまわしているようだ、肖像権の侵害だと文句も言ずらい。
春:すごい素敵ね。これみんなカルロが作ったの? それもごみから?
カルロ:そうですよ。すごく時間が掛かるけど楽しいです。
カルメン:ベネチアの時より腕を上げたわね。
カルロ:エライザが、上質な物を作る環境と時間を与えてくれる。ママのリハビリもエライザのチームに任せて、僕は自分の技術を磨くことが出来た。この作品は、みんなで作った物です。
エライザ:カルロにちゃんと褒められたの・・
始めてかもしれないな。うれしっ!!
カルロ:いつもほめ・・・・
エライザ: 好き、とか、おいしい!、きれい!
どんなふうに好きとか・・
どこが綺麗だよ、とか言って欲しいんだな・・・
春:カルロ!女性は褒められて綺麗になるのよ・・・
店員が食事の準備ができたと知らせてきた。一階の食事処に行くと多くの家族が来ていて、席はほぼ埋まるっていた。案内された席に着く。コースを予約しているのでメニュー選びは無い。エライザが運転するので、お酒は無い。和食の懐石料理がテーブルいっぱいに並んでいる。真ん中に大きな船盛が置かれ、大きな伊勢海老やカワハギ、鰆、太刀魚サザエにアワビなど、地元の新鮮な刺身が盛り付けられている。その周りにも食べきれないほどの料理が並べられている。
エライザ:それじゃあ、お茶で、カンパイ
春:いただきまーす!。
カルロ:これ?なんですか?
春:シャコ。エビの仲間。
カルロ:ムシみたいです。
エライザ:頭食べなくてもいいから・・そこの背中の身だけ・・
とれるようにしてくれてるから・・
カルロが、恐る恐る食べる。
カルロ:んgeee ん・・おいしいカモ・・一個で、もういらない。
ココイチのカレーを怒涛の速さで平らげた春もこういった場所ではのんびりと食べる。ゆっくりよく噛んで食べるのは良いことだが、少ない量で、お腹がいっぱいになる。食べきれない料理は、ホテル側で綺麗に飾り箱に詰めてくれた。
伊良湖港のクリスタルポルト、白谷海浜公園、蔵王山展望台などを回り、カルロの工房にも寄ってアクセサリー作りの工程を春に説明した。
春:この家電から、こんな少ししか金属が取れないの!
カルロ:だから、ゴミがたくさん要ります。
春:この金属の塊が、ショーケースの80万円!
カルロ:1か月ぐらい掛かりますね。
モトズラウンジに戻り夕食の準備を始める。今日は、春が京都風の味付けで料理を作る。月の渚で詰めてもらった食材も使えるものがたくさんある。
春:みんな座って、食材がいいから楽しみにしてね。
船盛の刺身は、最高級のネタがそろっている。春が最初に出したのは、太刀魚の炙りバーナで炙って皮目を焦がす。柚子胡椒と白麹を合わせた薬味が塗ってある。
春:どうぞ、太刀魚の炙りです。日本酒のスパークリング濁り酒と一緒がおすすめです。
エライザ:いただきまーす!。ん、うまい!昼間の刺身と全然違う。
太刀魚の味が濃いね!
カルメン:んほんとだ、おいしい、私は刺身よりこっちのほうが好きです。
エライザ:このお酒も飲みやすいね。日本酒と言われると・・・
カルロ:太刀魚ですか?・・えーちょっと味が薄いかな・・
エライザ:ちょっと、しょうゆ、かけてあげる。
カルロ:ん!これのほうがおいしいね。
エライザ:この辺の三河地方は、味付けが濃いものが多いから
カルロは濃い味になってるよね。
カルメン:私は、濃い味が苦手だから味噌カツとかわ食べられません。
春さんの味付けが,ちょうど良いわ。
春が次に出したのは、伊勢海老とアワビ、にエリンギを合わせたマリネ。
あさこにもらった秘密のスパイスが聞いている。
春:伊勢海老、アワビ、・あとなんでしょう。それから緑色のスパイス!
カルロ:どれが、えび? nnすっぱいね。
カルメン:あーっ おいしい・・アワビと、キノコですね。
マリネがこの日本酒と合いますね。
エライザ:エリンギとアワビか・・面白いね。触感は似てるけど味が違う。
考えたね。緑のスパイスは、私は知ってる。
カルロ!ピラウにかけたりしてるよ。
カルロ:わかった。あさこさんの山椒の葉の粉!
ママ、ちょっと、その粉ピリッとするでしょ。
カルメン:ん そうね・・少しさわやかな・・・
エライザ:カルロ! これにはしょうゆ!かけないで食べて!
春は、高級食材を手に入れて楽しく調理している。北海道産ウニのいちご煮、キスのつみれ入り。カワハギの煮つけ、鰆の西京焼きと京都風に料理した。春も座って飲みだした。
春:この鰆の西京焼きは自分ながら最高の出来だよ。素材が良いからすぐに焼けるし味も濃い。
エライザ:いつもやってる料理でも魚は特に地域で味が違うよね。
春:北海道産のウニに、三河湾の冬のキスだよ。
簡単に使える食材じゃない。作ってて楽しい!
エライザ:つわりが終わると人生が変わったみたいで食べるのが楽しい!
春の買ってきた日本酒は、全部空いてしまった。
カルメン:肉料理を少し食べる?
カルロ:お願いします。
カルメンが、シカ肉とトマトをニンニクで炒めた、
マッシュドポテトと一緒に盛り付けて持ってきた。
カルロ:んん やっぱりママのトルコ料理は、これです。
カルメン:この肉は食べたことないと思うけど・・
カルロ:・・・わからない・・おいしいよ!
カルメン:鹿の肉よ。
カルロ:えーっつ食べたことないけど、おいしいよ。
春:ん、んん おいしい。これには、赤ワインか!
エライザが、気を利かして持ってきていた。
グラスに注いで、春に渡す。
春:おーわが娘! なんと気が利く
気が利く娘に、気が利く婿 最高のカップるだね!
春が調子に乗ってきた。
カルメン:はいこれは、イノシシだって、トルコの定番料理をイノシシで作りました。
いわゆる肉じゃがだがトマト、セロリ、マッシュルームが入る。
エライザ:ママがいつも作ってくれるけど、イノシシはちょっとかたいかも。
カルメン:そうね。マトンよりかたいけど、肉の味は濃いです。
春:これも赤ワインに合うね!
ルメン:これは、絶対おいしい! イタリアでは食べられないよ!
少し高い声で、嬉しそうに。カルメンが何か持ってきた。
カルロ:おho- ピザですね。
カルメン:食べてみて!
カルロ:ん・・ん!おいしいね。なんかいつもと違う!
カルメン:カワハギの肝!いつもの冷凍ピザにカワハギの肝をフォアグラの代わりに使ってイタリア産のチーズを追加!
エライザ:んんンっ!うわ・・すごい濃厚、濃厚!おいしいーー!
春:んーnそうだね濃厚だ!!
チーズこんなにかけてもカワハギの肝!負けてない。
エライザ:これは、赤でも白でも合いそう!
エライザは、つわりが終わって大はしゃぎ!
カルメン:エライザ!ゆっくり飲んで・・
お腹にもう一人いるのを忘れないで。
エライザが、叱られた。
カルメン:春さんもほどほどにして、あまりエライザに飲まさないで!
春も叱られた。
どこの国でも、嫁と姑の問題はあるが、元気になったカルメンは、なかなか手ごわそうだ。間に入って、うろたえるカルロが目に浮かぶ。
エライザが、手紙を持ってきたことを思い出した。
エライザ:カルメン!ミサさんの家で、手紙を見つけた。後、写真も!
エライザが持ってきた写真と手紙を渡した。
カルメン:アントニオとミサきっとこれが私ですね。
写真をカルロに渡した。
カルロ:楽しそうですね。イタリアかな?
カルメン:たぶんイタリア・・この手紙は、イタリア語ですね。
カルメンは、手紙を読もうと部屋に老眼鏡を取りに行った。
エライザ:ミサさんは、イタリアで過ごしていた時期もあるんだね。どうして日本に帰っちゃったんだろう?
春:アントニオと喧嘩でもしたのかな?イタリア人だから浮気だな?
カルロ:イタリア人と日本人は恋愛の考え方が違うのでアントニオが浮気したらミサは、日本に帰っちうね・・
エライザ:カルロ!あんたも浮気する気!
春:カルロが浮気する気が無くても、女が誘惑するな・・
このイケメンは、危険すぎる。
カルロ:無いですよ。エライザを愛してます。
エライザ:カルメンどうしたかな・・・見てくるよ・・・カルメン!
エライザは、老眼鏡を取りにいったまま帰ってこないカルメンを見に行った。
エライザ:コンコン カルメン入るよ。カルメン、どうしたの?
カルメンがデスクに広げた手紙を見て泣いていた。
カルメン:ミサが日本に帰った理由がわかりました。
正明が怒って、ミサを日本に帰らせたんです。
エライザ:行こっ。
カルメンの車いすを押して、みんなのところに戻った。手紙をカルロに渡すと、みんなに手紙で分かった経緯を話した。
カルメン:正明は、ミサの戸籍にアントニオが入って、養子になることが結婚の条件でした。イタリアで結婚式を挙げて、正明に報告しに帰った。
春:この写真の時だ。みんな幸せのそうだよね。
カルメン:私が生まれて、写真も送り正明も喜んでくれたとアントニオの手紙にあります。結婚して、1年が経ったころ、正明が何かの理由で戸籍を見ました。ミサの戸籍は変わってないし、アントニオも子供も日本の戸籍に入っていないのを知って激怒しました。ミサを読んで説明させました。ミサは、アントニオは、小久保家の家族になったし子供の苗字も小久保にすると説明しましたが、正明は、なっとくしませんでした。
春:日本で、結婚するって戸籍に入籍することだから1年も入籍しないのは結婚してないってことだよね。
カルメン:日本では、そうなんですね。イタリアでは、戸籍という考え方がないので、結婚式をあげると結婚です。アントニオは、正明の約束を守ったと思っていました。
エライザ:国際結婚の難しいとこよね。
カルメン:ミサは、イタリアに戻ってアントニオと相談しました。正明の希望通り戸籍に記録を残すには、まず、ミサと結婚したことを日本の役所に届けミサの戸籍を別に作りアントニオがミサの戸籍に入らなければなりません。日本の法律では、アントニオは日本人になりイタリア人の国籍、IDは、なくなります。アントニオもミサもイタリアでこのまま暮らすつもりですからそれはできません。
ミサは、正明に説明に行きました。それでも正明は、納得せず、アントニオにミサが騙されていると怒ってしまいました。正明は、ミサのパスポートを取り上げ、イタリアの領事館、に手をまわし、ミサのビザを発給できないようにしました。イタリアの日本大使館にも同じようにしてアントニオの日本行きのビザの発給を止めました。
春:1960年代でしょ。そんなことできるの?
カルメン:当時は、お金で何でもできた。正明は、イタリアと日本の貿易の仕事をしていたし妻もイタリア人の豊かな家庭の人だと思いますから自分の娘を守るといえばビザの発給は、止められます。今でもそうですが、ビザが発給され無いときの理由は公表しなくて良いことになっています。
エライザ:ミサは帰りたくても帰れない。・アントニオも来たくても来れない。かわいそうだね。
春:それで、ミサさんは、日本でひとりぼっちだったんだ・・・・
カルメン:私が大きくなるので私のIDを作らなければなりません。アントニオは、ミサが色白で綺麗で、私も母に似ていて・・日本語の白い色に潔白、純真という意味があることを知りイタリア語の白を意味するビアンキ(Bianchi)を私の名前にしました。
これは、私の想像ですが、父は、スペイン系で、カルメンは、スペイン系の名前です。ビアンキはイタリア系、小久保が日本人の名前です。私のID登録の名前は、Carmen Bianchi Kokubo の予定だったそうです。
彼なりにスペイン、イタリア、日本の親族に配慮したんじゃないかしら・・・
エライザ:フェンディーやガブリエラにしなかったのもそう考えるとなっとくね。
カルメン:日本の戸籍や名前の考え方をミサが教えたのでしょう。フェンディーにしたら正明は納得しませんよね。
エライザ:カルロは、アクセサリー作家の名前を、Carlo・Bianchi・Kokuboだから元に戻ったね!
カルメン:そうですね。ミサが導いてくれたのかもしれません。
カルロ:お婆ちゃん!アリガト!
カルメン:ミサが、私やアントニオを捨てて日本に帰ったんじゃないことが分かって嬉しかった。エライザ!ありがとう。
カルロ:アントニオの浮気が原因じゃなくて良かったね!
カルメン:私が、今度は、本当のことを話すわ。
エライザ:本当の事って?
カルメン:カルロのお父さんは、Jacobと、言うスペイン人です。音楽のツアーで知り合った人で、Carmenは、スペイン人の名前なので、話すようになり、なかよくなりました。
他のバンドのギタリストで、それぞれ違う町に旅立っていくので、打ち上げをバンドの仲間として。私はヤコブが好きでしたからその夜をともに過ごしました。次のライブハウスの連絡先を聞いていたので、また、会いたくて連絡したのですが、
ヤコブのバンドはキャンセルで、来なくなったと、言われて・・・それっきり会っていません。
しばらくたって、妊娠が分かり、父やガブリエルに相談しました。愛した人の子供なら生むべきだと応援してくれて、カルロが生まれると自分の子供のように育ててくれました。そのおかげで、私は音楽を続けられたのです。
ヤコブに連絡を取ろうと努力しました。いろんなライブハウスやホテルにヤコブのバンドが来ていないか探しましたが、見つかりませんでした。
エライザ:SNSも無いし、携帯電話も無い時代だから・・バンドツアー中なら電話もつながらないか・・
カルメン:バンドも解散したみたいでした。大きくなって聞かれたときに、話そうと思いましたが、ヤコブが、どんな生活をしているか分からなかったので、私は、十分幸せでしたから波風を立てたくないと・・話せませんでした。
カルロ:ママ心配しないで、昔のことで、ガブリエルやアントニオ、ママとの関係は変わらない。話してくれてありがとう。
エライザは、黙って泣いているしかできなかった。春は、空のワイングラスをそっと隠した。