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エンジェルライフMirai  作者: 森嶋直斗
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エンジェルライフMirai⑥小林元且が放った人生最後の王手!タダでは死なない男の生き様に藤井名人も敗れた!

まさかまさか元が最終局まで勝ち進んだ!どうせ負けると100%元を応援していたファンが、中年の星と、応援する将棋ファンと、にわか藤井ファンのおばちゃんに分かれて応援合戦!民法まで乗っかり家電量販店のテレビは将棋対決だけになった。元の放った奇手にAIも右に左に大混乱!小林元且、人生最後の大一番!タダでは死なない男の王手、飛車成り!!

いよいよ藤井名人と元の将棋対決が始まる。どう考えても勝ち目はないが、将棋の世界はいろんなことが起こる。かつては、

タイトル戦で、指す順番では無いのに2回連続で自分が指してしまい反則負けになった棋士がいた。こんなこともあった。

読み手が、棋士が指してないのに、読み手の指したい手を読んでしまい棋場は大混乱。やってみないとわからない。どんでん返しの大熱戦の行方は、


あさこ:藤井さんおはようございます。朝食どうでしたか。

藤井:シンプルな朝食でしたが、ストレートな素材の味に”旬って、こういう意味か”と気づかされました。

あさこ:最高の誉め言葉ですね。シェフも喜びます。昨日のお酒は抜けてますか?

藤井:あんなにお酒を飲んだのは初めてでしたが、よく眠れましたし、すっかり抜けて爽やかです。

あさこ:きっと、お酒じゃなくて鈴ちゃんに酔てただけかもしれませんね。

藤井:まー、そうですかね。


ウェイティングルームに取材陣のカメラがセットされ素人相手の対局に将棋連盟は、立会人も用意しタイトル戦さながらに舞台が出来上がってきた。将棋盤も駒も山形県天童市から名人戦と同じ物を特別に取り寄せた。

元が先に呼ばれて部屋に入った。3分ほど遅れて藤井名人が入ってきた。元の座ったソファーの前に掛ける。


生放送が始まり各取材陣のカメラも回る。もちろんエンジェルTVでもLive配信中だ。

MC:まず、藤井名人再年少で、名人位獲得!おめでとうございます。

藤井:ありがとうございます。まー、皆さんの期待に応えられてよかったです。

MC:この、忙しい時期によくこの企画を受けてくださいました。ありがとうございます。なぜ!ですか。

藤井:まー、あの、エンジェルライフさんには、健康診断でお世話になりますし、日ごろの活動コンセプトに共感するところがありましてスケジュールが合えば一緒に何かやりたいと、まー、思ってました。豊橋鉄道の早指し戦もまー、地域貢献になると思いましたし、まー、自分としても大変おもしろかったです。

MC:なるほど、さて、!小林元且さん!全国の将棋ファンを敵に回してませんか?

元:いやああ!みなさんうらやましいと思いますね! 申し訳ない。

MC:小林さん!いや 愛称で呼ばせて頂きます。元さん!NHKの市場調査では、いいですか!元さんに勝ってほしいというお声が、

なんと!97%です。どうですか!?

元:ホントですか?意外ですね。

MC:ほぼ、日本中が元さんに勝ってほしい!と、

元:                    嬉しい応援ですね。

MC:NHKは、続けて聞きました。どちらのファンですか?100%藤井名人のファン!当然と言えば当然ですが、

   藤井さん ファンの皆さんなのに、、

    敵に勝ってほしいという対局です。今までありましたか?

藤井:まーっ、無かったと・思います。

    まー、複雑な気持ちですけど・・でも、勝ちたいと思います。

MC:ファンの声ですから少しは配慮とか・・・手加減というか・・・

藤井:えー、まー、いや・・全力で勝ちたいと思います。

MC:手を抜くことは無い!  全くない!

藤井:       まー、はい!    無いです!

MC:元さん、そう言ってます。

元:             望むところです!

MC:一切手抜き無しとのことですが、平手ではさすがに戦うまでもないと、言うことで・・・

ルールは藤井名人の先手で、まずは、10枚抜きで対局。元さんが勝てば、8枚抜き、6枚抜き、と対局は進みます。

まっ、プロ相手に4枚抜きでは厳しいですね。万が一4枚抜き、2枚抜きなんてことは!!ないでしょうが・・

飛車角落とし、2枚抜きで元さんが勝ったら・・・

藤井:名人返上ですか・・引退ですね。

MC:もし、元さんが2枚抜きで勝ったら、藤井最年少名人が最年少引退!のお言葉が出ました!


MCに乗っかりリップサービスの藤井名人だったが、まさか2枚落ちで負けるなんて無いけれど・・・

サブタイトルとしては完璧!すべての地上波が飛びついた!各テレビ局は速報を流した!


ニュース速報***藤井最年少名人が、

     負けたら最年少引退と明言!対局の結果は!!


各局の放送局長が負けじと乗り出して、番組差し替えでNHKに映像提供の交渉電話が鳴りっぱなし・・・・

地上波は、NHKだけで独占のつもりだったが、破格の映像提供料にNHKも全チャンネルに配信提供を始めた。

民法全てが元さんVS藤井名人のテレビになった。家電量販店のテレビは全て、対局の映像で埋め尽くされた。

MC:それでは、対局場所に入って頂きましょう。

左が先手の藤井名人、元は後手で右側に座った。腰の痛い元は特別に座椅子にふんぞり返っている。

昔の大山15世名人対新人谷川の対局のような映像だ!先手の藤井は10枚落ち、玉、以外は歩しかない!

こんな駒の配置の映像は見たことない。

逆にこれで元が負けたら、日本に住んでいられない。先手の藤井の初手、玉を寄せて始まった。

さすがの藤井名人もあっという間に寄せられて・・ここまでか・・・1回戦は小林元且さん、元さんの勝利です。

途中から見た人は、藤井名人がこれで引退かと大騒ぎになっている。MCもずるいもんで、なかなか本当のことを言わない。    

MC:さあ、それでは2回戦です!今度は、8枚落とし先ほどの10枚落としに香車が加わります。藤井名人が端歩を

ついて始まりました。今度は、左側に駒をまとめる作戦ですか。

・・・最後まで飛車角を取られなかった元さんがまたしても勝った!


さすがにテレビ局にいつになったら引退するんだと苦情が殺到した。

MC:さあ、今回2枚落としで藤井竜王が引退と宣言しております。10枚落とし8枚落としと元さんが勝っております。

続いては6枚落とし引退まであと4勝と迫ってまいりました!!!

盛り上げるだけ盛り上げたが・・沸くのが早ければ、冷めるのも早い。各局の視聴率は急降下・・・

最初からNHKを見てた人は、長い戦いだと分かっているので買い物やせんたくを始める人もいて余裕で見ている。


藤井が、桂馬の筋をついて6枚落としが始まった。ちょっと変わった対局で、元も駒落ちでの戦い方が分かってきた。

まずは、駒得を生かして絶対駒を取られないこと。持ち駒を与えるとプロには勝てない。持久戦に持ち込み、

自分から攻めてはいけない。今回もじっくり我慢して、順当に元の勝利!


ここでおやつタイムに入った。主婦の視聴者は、ちゃんとこの時間までに買い物や洗濯を済まして、

グルメタイムに合わせてテレビにかじりついている。藤井名人が選んだおやつは伊良湖産紅ほっぺのシャーベット

元のおやつはどうでも良いが、一応お伝えすると、じょじょきりのおしるこだった。


次の対局は10:30とテロップが出て、画面には、藤井名人、名人への軌跡と。これまでの名人位へのハイライト映像が流れている。

時間になり・・・テーマ音楽とともに映像がライブ会場に切り替わった。


MC:藤井名人、ここまでの対局いかがでしたか。

藤井:良いところが無くて終わってしまいましたね。

MC:公式戦で3連敗というのは、?

藤井:まー、無いですね。

MC:元さん。やりました!なんと!初めて藤井名人を3連覇した男です!

元:このまま勝ちたいですね。


さっきの視聴率急増を受けて各民放は、小林元且!藤井名人に3連勝!とニュース速報を流したが、視聴率は上がらない。


休憩後の対局は、6枚落とし、先ほどの8枚落としに桂馬が加わる。藤井の端歩突きから始まった。

元も駒落ち戦に慣れてきて自分から攻めることは絶対しない。対局時間が長くなってきた。向き合ったままの駒が増え、

30秒以内では間違えやすくなる。最後まで攻めを我慢した元が激戦を制した!


この後は2局を残すのみ、ここへきて視聴率が跳ね上がった。6枚落としでは元の勝ち目はないと予測していた

将棋おやじたちが、”中年の星”と、ツイッターやインスタで囃し立てた。すげーすげーと、あっちでこっちで盛り上がり

将棋を良く知らない にわかファンのおばちゃん達は藤井名人がほんとに引退かと大騒ぎしだした。


第4局が、長引いたのでここで昼食タイム。おばちゃんたちにはちょうどよくグルメタイムとなり視聴率は、高止まり。

藤井名人が頼んだ昼食のセットは、田原牛のしゃぶしゃぶと名古屋コーチンのつくね炭火焼セット。

やっぱり元が頼んだのはどうでも良いが、いずみ庵の豊橋カレーうどんと森嶋先生特性の栄養ドリンク!


さあ!第4局4枚落としの開始の1手は、やっぱり端歩できた。桂香銀と3枚そろっているので元も、さすがにここまででしょう。

こんなところまでまさかの勝ち進みで、各局の放送番組は全てめちゃくちゃ。強気のスポンサーが通常番組を始めると苦情の嵐、おばちゃんは、藤井引退かと藤井名人を応援する!おっちゃんは中年の星を応援する。日本中が真っ二つ!


完全に駒落ち戦に慣れてきた元は、通常の指し方は全く考えず藤井名人に対する受けだけを考えている。自分から駒交換もしないし、完全持久戦に入った。素人相手にてこずっている藤井名人がしびれを切らして歩の交換に打って出た。

複雑な駒組で焦った元は、単なる歩の交換の所を飛車を成って王手と言ってしまって大チョンボと、思ったらAIの形勢判断では、まさかのこれが最善手!AIは、元が優勢95% 藤井名人は当然分かっていたが、まさか元が飛車の成り捨てが、

最善手とは気づかないと、思っていた。

藤井名人も間違えたのか?分かっていたのか?迷いだした。間違えて打っちゃった元は、”終わった”と落胆。AIの形勢判断は本人たちは見ていない。藤井名人に、ただの飛車を取られると思ている元だが、藤井名人は、飛車を取ったら負けと、

分かっているので、迷っている。元が間違えて打ったとの確信もない。25秒・・どうしよう。負けると分かっていて・・・・28秒29秒 藤井名人の玉が飛車を取らずに逃げてしまった。なんと!これがまさかの最悪手!

ところが、元は間違っているのも、合っているのも分かってないから、せっかくの最善手の成飛車を、こりゃ、儲けた!とばかりに、9一成飛車と引いてしまった。これがまたしても最悪手! AIの形成判断が、右へ行ったり左へ行ったり。日本中のテレビも携帯も全てこの対局を見ていてスポーツバーまで昼間から超満員で大騒ぎ!・・・・

元は元で、”藤井さん!テレビ気にしてわざとヤッタナ!”と、勘違い。こりゃ次の戦いまで行かせて盛り上げるつもりかと勝手に思い込んで・・勝たしてもらえるなら乗っかっとくかと、もう一回、王手角成とただで、角をなり捨てた!

ところが今度は、これが最善手!! AIの形勢判断が後手有利でドッカーンと左へ99%!!!

藤井名人のファンは泣き出して・・・えーっつ・・・引退やだー!!と、、(まだ次の対局が有るんだけど)

TV局って悪い人の集まりなんですかね。、いつの間にか放送のサブタイトルが、

        

絶体絶命!!藤井最年少名人、最年少引退へカウントダウン!!


こうなると将棋をあんまり知らない女性ファンは、パニック状態!

将棋ファンがインスタやツィッターで 元、頑張れ!とくると

藤井名人の女性ファンは、やめてー!藤井さんがんばれー!!


冷静に見ている人は、

開設の杉本昌隆八段だけで、”元さんが時間が無くて間違えたんで藤井名人も深読みしすぎて間違えてますね”と大笑い!

ところが、このご時世なんでもAI任せ。杉本さんが何言ったって、AIが右行ったり左行ったりしちゃえば、

AI信じて視聴者は右左!


藤井名人も秒読み寸前まで考えて玉を右にやったり左にやったり・・・もうとっくに藤井名人が負けてるのに、

元が分からず詰ませられないから、AI形勢判断も右だ左だでひっちゃかめっちゃか・・藤井名人も

人生で初めてのひっちゃかめっちゃかの将棋に冷や汗でわずかに手元が狂った!!

28秒、29秒、3

ぱっと伸ばした指が、王をチョンと弾いて床にコロンコロ・・・

 立会人も秒読みを忘れて??えーっと28秒  

プロレスのように妙 に 長 ~ い・・・29秒・・

藤井:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・負けました。


MC:なんとなんと!! 95手で藤井名人が投了!

第4局、素人の元さんが4枚落としの藤井名人に勝利しました!                                    

なんと、駒を落として時間切れで、事実上藤井名人の反則負け!

             こんなことも起こるのが将棋の世界!

やってみなけりゃわからない。最終第5局を残すのみ。

元が勝てば、史上最年少名人が、最年少で引退の危機!

        さすがに、そんなことは、起こらないはずが・・


MC:なんとなんと!! 95手で藤井名人が投了!

第4局 素人の小林元且さん。元さんが4枚落としの藤井名人に勝利しました!                                    

解説の杉本さん!大激戦でしたが・・・

杉本:激戦じゃないですよ。元さんが間違っただけですし、

藤井名人も焦って駒を落としちゃいましたから・・

空気読めない杉本さんは、本当のことをたんたんとしゃべり続けた。

番組プロデューサーは解説映像は使えないと、AIの優勢判断をリプレイで繰り返し流し、元が優勢99%のシーンで盛り上がる。藤井名人が、駒をはじいて落とす瞬間も超スローモーションで再生されオバちゃんたちは、テレビにかじりついて、てんぷら鍋は真っ黒こげ!

MC:対局も、後、残すところ1局のみとなりましたが・・第4局は長時間となりました。休憩を30分取りまして、

3時30分からとします。それでは、おやつタイム!!

元:藤井さん最初はあんなこと言ってたけどテレビ的に考えてやってるな!

直斗:えーっ?将棋わかんないから真剣勝負の大激戦だって思ってましたけど。

元:4枚落としはプロの練習でも段の違う人が使う練習方法だ、

           まじめにやって私が勝てるわけないだろう。

次も藤井さんは4時45分まで粘らせといて、

          藤井最年少名人の大逆転勝利!!って、

 良い感じで番組終わらせて、水戸黄門に間に合わせる計画だ!

   *元さん!NHKですから水戸黄門はやってませんよ*

元:なーに言ってんだテレビ東京が、放映権買って放送中だ!

藤井さんのおやつは、めっくんハウスのチーズケーキにメロンかき氷。この時期にかき氷だから藤井名人も大分エキサイトした対局だったようだ。

元のおやつは、直斗スペシャルビタミンC!

MC:さあ 最終対局です。藤井名人はここまで、まさかの4連敗 駒を落として時間切れという事実上の反則負け!

2枚落としの第5局は、先手の藤井名人が、3六歩と桂筋を突いた。

元さんは3四歩と角道を開けた、藤井名人、銀を上げて受けた。

元さんは、8七角成。・・えーっつこれは、無い。?

藤井名人、同銀と、角はただですよね。

元:あれ?簡単に取っちゃった?盛り上げるんじゃないのか・・・・・・? !!!そうか、序盤は藤井名人優勢で行って、

中盤わたしが逆転する・・・藤井名人危ない!ってところで、大逆転で藤井名人が勝つ! そういうシナリオか・・

AIは、わずか4手で、藤井名人優勢99%

元は、中飛車に飛車を振り飛車先の歩を進める。藤井名人は右銀を寄せて受ける。元は、5六歩と歩を突くが、藤井名人

無視して、9六歩と陣形づくり。さらに元が飛車先を突く。藤井名人金が上がる。ここで元が、血迷ったのか・・・

5七同歩成と攻め込んだ。将棋を知らないご婦人たちは、

歩がひっくり反って赤い”と”の文字が王のすぐ前に来たもんだから”キャーやめて!”と、大騒ぎ。

藤井名人は、

藤井:元さん疲れちゃって、早く終わらせたいのかな??

藤井名人は当然 同銀と、と金を取った。

      待ってましたと元がオーバーアクションで、

  飛車をひっくり返して、3カメに見せつける。

PA:3カメ!アップ!!アップ!! 

3カメが成飛車にググーッと寄ったところで、

            元が、”大手、金取り!!”

         1カメに海老蔵ばりのおお見栄を切った!!

おばちゃん達が”ギャー””えーっつ””うggう”と悲鳴やらうめきやらで苦しむ中、藤井名人は・・

藤井:元さん何のつもりだろう??と、不思議がりながら同金とあっさりただの竜を取った。

視聴者はさっきの続きかと大騒ぎ、スポーツバーも大騒ぎ! 杉本さんだけは独り冷静に

杉本:終わっちゃいましたね・・・

AIも当然冷静に藤井名人優勢99%

飛車角を失った元は、やる手が無くなった。

    時計係が、20秒    25秒 6,7,8、9  30秒

元:  ‥‥‥‥考えている・・・・・・・・・動かない  動かない・・・・

藤井:元さん! 元さん! 誰か来てください!!

元の意識が無い。直斗が駆け寄った!

直斗:元さん元さん! タンカ!、タンカ持ってきて!

元が、診療室に運び込まれた。あさか、エライザが駆けつける。

MC:元さんが倒れました。意識が無く、心臓マッサージを受けながら診療室に運ばれています。一旦、ここでVTRをご覧ください。

番組は、中断し、再開されることは無かった。


人工呼吸器に繋がれた元が、ベッドに横たわり意識は無い。点滴こそ繋がっているが治療の様子は無い。

エライザ:元さんて、呼ばなきゃならない人って、いないよね。どうする。

あさこ:モトズラウンジ・・いこっ・・最後の場所は・・・。あそこしか・・。

普通のワゴン車が用意され裏口から元が運ばれた。あさことエライザが乗ってバッテリー駆動の人工呼吸器が稼働している。

・・・・会話は無い。・・・



直斗は、記者会見のためガーデンホテルに残った。モトズルームに入ると緊急の知らせを聞いた早紀が駆けつけた。

早紀:元さん元さん!! 何があったの!

あさこ:元さんの希望で、隠してたんだけど・・

     ヘルニアじゃなくて・・末期のすい臓がん・・

 人工呼吸器で呼吸を維持してるけど、もう意識は戻らない。

早紀:なんで?いつからなの?

さっきテレビで大見栄きって笑わせてたじゃん!どういうこと?・

          ・・からかってるの・・w,uうっ・・

エライザ:ゴメン、ゴメン・・n・

泣きながら早紀を抱きしめた。

あさこ:みんな呼ぶね。

あさこが、エンジェルクルーを集めた。2時間ほど人工呼吸器で生命維持してきたが、心拍が乱れてきた。

エンジェルクルーが見守る中、人工呼吸器が外される。エライザが心臓マッサージをしようと元の胸に両手を重ねると、

あさこが諭すようにエライザを抱きしめそのまま元に覆いかぶさった。

二人は、元に抱き着いたまま、まだ温かい元の体を涙で濡らし続けた。


夜になり明日以降の予定が話し合われた。

当然、明日の藤井名人の健康診断は、中止を前提に話し合われていた。

そこへ、藤井名人の思いを受け将棋連盟から連絡が来た。もし可能ならこのまま予定通り健康診断を行えないかと言う。

最後まで将棋会場にいて、藤井名人に状況を説明していた直斗が来て元の亡骸を見ながら

直斗:藤井さんも元さんならどうしろと、言うかを考えていると言っていました。

エライザ:いくら密葬にするにしても明日、明後日は絶対無理だよね。効率主義の元爺が生きてれば・・”やれ!”

あさこ:絶対そう言うに違いない。

健康診断の人員はそんなに多くない。最新鋭の検診機械が全てをこなす。

翌日に予定されていた藤井名人の健康診断は元の思いを推察した藤井名人が強く実施を希望し予定通り実施された。

エンジェルクルーも悲しみの中、淡々とおもてなし看護をこなした。

健康診断の翌日、藤井名人も参列し、エンジェルクルーだけの密葬が行われ遺骨は元の意向で太平洋にまかれた。


7月7日、残された仲間は、画期的な方法で世界中を巻き込み、元の葬儀を新たな企画の発足セレモニーに作り上げた!!

早紀:これ見て!弔問者の数!普通の葬儀にしてたらとんでもないことになってたよね。渡辺エンジニアリングの浩さんの提案が無ければ帰宅困難者が出てた。ネット葬儀にして元さんのまわりにはエンジェルクルーだけの参列にして、すべての弔問者は各地のモニターで、リモート参列なんて、急に考えたのかな?

エライザ:浩さんに元さんが、もしもの時わって、相談していたみたい。エンジェルライフのリモート診療のシステムに乗せればできそうだって浩さんが試作してたんだって。

早紀:お返し無しの香典も元さんらしいよね。香典は、全て新しく設立されたエンジェルクラウドの投資に充てられて、

香典を頂いた皆さんの名義で投資するんですって。

あさこ:香典の額として、見たことないぐらいの金額を出してくれる人がいっぱいいたけど、全部自分に返ってくるんだから

自然に金額も増えるよね。よく考えたわ。誰が言い出したんだっけ?

エライザ:エリだよ。元爺とそんな話し、してたんだって。常識や慣例にとらわれない元爺らしい効率主義だね。

あさこ:森島先生の記者会見にも救われたわ。急性の脳内出血だって!

早紀:世間の人は、あんなに将棋に勝っちゃって興奮したからだって笑い話にしてくれて、健康診断を受信する高齢者が、

急増してるんだって。元さんも喜んでるよ。

エライザ:藤井名人は、気にかけてないかな?

あさこ:健康診断の時にゆっくり説明できて、元さんの病気がそういう状況とは知らなくて受けた対局だったけど・・・

最後に対局のプレゼントが出来て良かったって、言ってくれてる。健康診断も予定通りやってくれて結果として、藤井名人と元さんだけの最後のお別れができたって・・皆さんに感謝してるって、言ってくれた。    

エライザ:奈央さんの改造した機械の改題もクリアーできたし・・あの世で二人で盛り上がってるだろうね!


新しく立ち上げたエンジェルクラウドは元の残した資産、世界中から集まった香典という名の投資により、いきなり上場する好発進。元やあさこの治療を臨床試験を経て、森園奈央の残した課題もクリアーし正規の癌治療方法として公開された。奈央の意向をくみ、

    特許は申請せず開発データは全て無償で一般公開されている。


あとね、藤井名人がね。”元さんにぶれない精神力を磨くよう教えられたんじゃないかって”、杉本師匠に助言されたって、笑ってた。

エライザ:ホント飛車角をただで成り捨てても自分はただじゃ死なない。将棋の名人に教えを残して死ぬなんて・・ね。

                                                 (大爆笑!)

みんなが笑って見送ってくれた元らしい葬式だった。


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