2022/2/17にあった維新の懲罰動議の詳しいお話
ウェブニュースを見て何があったか、国民は解らんだろこれ、という事で、詳しく知りたい方用に、私こと、ふりがなが捕捉するという内容です。
一応書きますと、最も解りやすいのがNHKです。
まず、大前提として日本の予算委員会は、昨今、予算に全く関係のない雑談委員会を兼ねています。
それが、一体いつからなのかは、私も詳しくないのですが、先日少し話題になりました米山隆一衆議院議員による政府への質問がこれです。
「自民党議員が、ヒトラーを例えに使った個別具体的な表現について、国内法・国際法に抵触するか否か」
菅直人元総理が、橋下徹氏をヒトラーと評した件で、日本維新の会は、予算委で立憲民主党に責任を問いました。
これは予算委に関係のあるような議題ではなく、本来は国会の外でやれという話ですが、衆議院のルールには抵触してないので、政府も含め、維新以外の野党は共に、この件に何も答えていません。
まぁ委員長は何をしているのという話ではありますが、委員長がこの類いの雑談を止められるか、私は詳しくないので割愛。
米山議員は、この質問をした理由をTwitterで
「『無駄な質問趣意書』というご指摘もあろうかとは思いますが、維新の議員等が貴重な国会の質問時間で、延々この件に言及されているのに、政府は答えず、野党も答える場が有りませんので、お節介とは思いますが、質問趣意書を出させて頂きました。」
と書いています。
これで、私が日本の予算委は、今や雑談委員会を兼ねているのだ、と言った理由が解ったかと思います。
少し前の話で言えば、タレントのフィフィ氏の2020/1/17のTwitterから始まった
「モリカケ桜よりコロナをやれ」
の流れです。
当時の国会は、奇しくもこの予算委でした。
Twitterのこの流行り言葉は、実の所は、予算の検討もつかない対策も決まっていないコロナ問題を予算委でやって、近畿財務局の不正汚職の有無問題や、予算の拡大から始まった桜の会の問題を予算委なんかでやるなという意見でした。
仮にコロナ対策を国会でやるのであるならば、厚労委ですべき議題でした。
一方で仮にモリカケ桜を議題に上げるとするなら、どの委員会でやるのかと問われれば、それは予算委です。
結局、当時厚労委は開かれずに、予算委でコロナの話をする羽目になっています。
この逸話は、既にこの頃、予算委は雑談委員会にもなっていたという証拠です。
さらに言えば、Twitterでこのフレーズが流行したこの頃、大半の日本人の知識の中に、予算委というか、国会には委員会があるんだよ、という知識自体が無かったんじゃないかな、と私は思っています。
ですので、予算委の事を、本記事を読んで初めて知った、という読者の方が居ましても、なんら不思議じゃないのかと私は思います。
ニュースで何委員会かを略すのは、もうやめたら良いんじゃないか、という感じです。
今回の維新の懲罰動議は、要はこの雑談委員会とも呼べる予算委に、日本維新の党が公述人を推薦して、雑談をさせてみたら、どうなったか、という話になります。
国会議員同士では、問題の無かったこの雑談委員会。
実は、雑談するには穴がありまして、国会議員ではない公述人が発言する場合、次の規則に引っ掛かります。
衆議院規則83条
公述人の発言は、その意見を聴こうとする案件を越えてはならない
また
今回は件では、次の規則も指摘されています。
81条
予め申し出た者の中に、その案件に対して、賛成者及び反対者があるときは、一方にかたよらないように公述人を選ばなければならない
部外者は、衆議院で雑談出来ないようになっているのです。
いや、国会議員も議題に関係のない雑談をしてんなよ、という話ではありますが、前述のコロナで厚労委が開かれないケースもありますので、余地を残すのはしょうがないかという所。
衆議院の予算委で、維新の会の推薦した公述人の原英史氏は、次の議題に沿った雑談をしました。
議題は「国会における誹謗中傷問題」です。
以降は各ニュースの通りです。
維新の党の推薦した公述人に対し、共産党の宮本徹氏は次のように述べました。
「自らが抱える案件について、私的な反論を述べていて、公聴会の在り方として疑問だ」
また、原英史氏を推薦した維新の会に責任を問いました。
※もっとも、私はこれを公述人に述べた物なのかも疑問に思いましたが。
これに対し、維新の会は
「品位を著しく棄損するもので言語道断だ」
として、共産党・宮本徹氏の懲罰動議を衆議院に提出しました。
維新の会の藤田幹事長は
「議員同士ならまだしも、公式にお願いした公述人に対する失礼な発言はあってはならず、まずは謝罪すべきだって」
と述べました。
共産党・殻田恵ニ国対委員長(維新の記載に対して、共産党側は一部メディアで記載なし)は
「公述人は、予算案に関係すること以外発言してはならないことが決まっていることを指摘したもので、懲罰に当たる話では全くない」
また、「議会員として至極まっとうな指摘に、懲罰動議を出して、威圧的に口を封じようとするやり方だ」
と述べました。
個人的には、いつもの国会議員専用の雑談委員会に、維新の会が同じノリで部外者の公述人を呼んで雑談させてみたら、規則に真っ向から違反していたので怒られた。
怒られたので、とりあえず懲罰動議で反撃してみた。
という内容だと理解しています。
いや、予算委が事実上の雑談委になってる現状の方が、なんか大きなニュースだったりするんじゃないかなぁと思ったり、だからニュースで背景さえ書けないのかなぁ、と思ったりした次第でした。
うーん、あのニュース見て、国会で何が起こったか解った人は居るのかなぁ。
公述人が委員会で関係のない話を唐突に話だす事って多いのでしょうか?
因みに懲罰動議を起こせるのが40議席で、維新の会は41議席になったという話も追記。