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六話、私はフェミニストだから女の子を性的消費したら、男の子も同様に性的消費するようにしてる。

◆◇◆

 日曜日 10:30 自室。


 悪徳を以て我とする。


 カーテンの隙間から僅かな光差し込む室内。ベットの上には息が絶え絶えになるほど疲れ切っているアリエス。


 ふしぎだなあ、身体からほあほあと、湯気がたってる気がする。




「(神の流産、そうだな。この悦楽に満ちた畜生の性には、その呼び名こそ相応しい気がする)」



 目を向ける。目を向けた先は確実にR18世界線が広がっているため抽象的にしか言えないが


 その体勢は疲労からだらしなく崩れ切っており、天使とは何だったのか問い詰めたくなるに……可愛い。



 ――――流石に30時間はやり過ぎた。



「ムカつく相手を壊したい、好きな女を犯したい、優しくされるようなことは何一つしていない癖して優しくされたい、他の誰かを壊して気持ちよくなりたい」



 それらは悪徳とされるものだろう。だというのに、これらには不思議な共通点があった。



「浮気は相手の男に勝った気がして優越感があって気持ちいい、

 詐欺は日々努力してる奴を踏み躙った金儲けが出来て気持ちいい、

 安全な場所で死に掛けの人間を眺めるのも、気に食わないという理由でぶん殴るのも、それをそれっぽい理由で正義ずらするのも……」



 それらの答えは、深く掘れば分かることだろう。だが、そんなことはどうでもよく思えた。



「不道徳、不道徳、不道徳不道徳不道徳……

   嗚呼――――不思議だな、間違えているものばかりが気持ちいいんだよ」



 ――――相手の罪悪感に漬け込んで、無理矢理関係を持つ。嗚呼、気持ちいい。



「……それ は、全てあなた……が、されたこと、れふか ?」



 具体的には言えないが、艶やかな視線を向けてくるアリエス。その声はまだ息が整っていないせいか不思議と色っぽい。


 ふしぎだなあ。



「……なに?」


「ごめん、なふぁい…… ここ、に来る前、 資料 を……見ました」



 毛布で体を包んで、ひたり、と床をはだしで踏む。



「あなたは いま、まで一度も…… なにも、 えられなかった。

 正確には 好きな人……目の前で、奪われて……何も、させて、もらえず、孤独で、くるしくて、ころして、にげた。

 金を 巻き上げ、られて……生きるための おかね、きえて、ころして、にげた

 闘技場、で……違法奴隷……酒の肴、とわらうひとたち、ころして、にげた

 気に食わないからと、冤罪、うけて……ぜんいん、ころした」



 書類で見た内容を口に出すアリエス。



「ころして、にげた……なにも、なにも残らなかった」



 それは俺の歴史。幸福らしい幸福が一度もない人生だ。



「何が言いたい」


「ぜんぶ、わたしのせい」



 幸福のない人生。何一つ光らしい光を得られない生を送った人間。そんな生を送ることになったのは自分が原因だと言い出した。



「あなたが壊れているのは あなたのせいじゃない。

 そうなって当然な人生、だった」



 そして、そんな人生を送った人間が〝まっとうになれるわけがない〟と、そう告げた。



「ほんとうに、ごめんなさい」



 ぺこり、と礼儀正しく頭を下げる。無機質な声での謝罪はしかし、確かな誠意を底に見た気がする。


 ぽすん、と腕の中に倒れ込むアリエス。



「だから、ぜんぶ…………わたしに返してください」



 娼婦のように、また夜天に輝く令嬢か。30時間の末、自分の身体に価値があると何とか認識したのだろう。


 摺り寄せて、声を出し、雌猫に身を堕とす天使。



「ほしい、です……あなたの、欲望を、押し付けられたい……それは、私に流されるべきものだから」



 顔を上げ、瞳が合わさる。



「――――あなたの、不道徳で、満たしてほしい」



 獣のように、攻撃的に、全ての性を私にしてほしいと切に切に告げていた。




「分かった、ならばお前の人生を――――俺に寄越せ。

 生には生を以て報いる、お前自身の書いた文だ」



 ゆえに否定などさせない。その芯までしゃぶり壊したい。


 ――――やべ、マジで精神壊しちった。



◆◇◆



「……? これは 何でしょうか……?」


「? ああ、これは差し入れなんだ」



「誰だか知らないけれど一週間に一度のペースで高級なワインとチーズをポストに入れてくれるんだ」


 その事情だけ説明すると


「…………」



 アリエスは手に青い光を帯びさせる。


 その手で恐る恐るワインの瓶に触れた。




 ~昨夜~



 ワインの瓶に何か透明な液体がとろ~っと入っていく。



「………………ふっ」



 ――――カルクスの唾液だった。


 ワインの瓶にカルクスの唾液が入っていく。それを淫靡な表情で眺めるカルクス♂。


 袖で口元の涎を拭きとって意地悪な表情を浮かべる。ハンカチ使えよ。



「あの鈍感野郎が……へへっ。

 おれが……はあはあ、お前にファイアボールする時……んっ♂

 どれだけ■■(ピー)を抑えてるか、知らずに……よぉ」



 股間を抑える。映像では下半身が写っていないのであくまで予測だ。


 ――――流石にズボンを履いているだろう。


 コルクを締めてから、そのワイン瓶を見て息を荒くするカルクス♂



「はあ……はあ……オレの、唾液、が……マルクス先輩の 中に……ッ

 ~~~~!!」



 何か妙にすっきりした表情を浮かべるカルクス♂。不思議と賢者を眺めている気分になる、そんな顔だった。



「………………喜んでくれっかな、マルクス先輩♂」



 そう呟きながらチーズとワイン瓶をバケットの中に入れたカルクス……彼の足は何処に向かっているのだろうか……



 ――――マルクスの家のポストだった。





「ぴぃっ!」


「アリエス?」



 次回、カルクス現る。

男女平等だなあ

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