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十三話、死霊術士の最期

このいかれたネタで評価ポイント増えるの不覚にも笑いました。

◆◇◆


 赤ちゃんの姿造りを見てから一行は洞窟を進んだ。



「赤ちゃんの姿造りネタは流石にきつかったなー」


「あんな面白いもの、流石に数日は忘れることは出来そうにありません……」


「感性ウンチ ジャン」



 開けた場所にあった赤ちゃんの姿造り。中々にショッキングだった。



「GOOO……」


「お、アンデットだ」



 その時、目の前にゾンビが現れ――――ドレッドが回し蹴りで頭を蹴り飛ばし、床に伏したところで馬乗り。



「これで20匹目、と」



 ――――心臓に軍用ナイフを突き立てた。

 そのままナイフを回転、肉を抉る様に取り出して心臓部に指を突っ込む。



「アンデットの操作アンテナ……魔鉱石ゲット、と」



  ぶち、ぶちぃ、ぴちっ……心臓から紫色の光石を抉りだした。


 それは魔石と呼ばれる物質で、魔物の体内……多くは心臓の内部に存在している特殊鉱石だ。


 それを奪われれば、魔物は生命維持が出来なくなる……そしてそれは死霊術士にとって操作アンテナ的な役割を担うモノだった。



「処理 手慣れていますね」


「慣れたからな」


「ホモホモ日本」


「感想が特に浮かばないからとホモに走るな」



 死体を処理してから、ドレッドはその姿を眺める。



「……」


「? ドレッドさん?」



 ドレッドはゾンビの胎をナイフで裂いた。



「ドレッドさん……?」


「すまん、少し調べたいことがあった。次にいこう」



 死体を横にずらして、洞窟を進んでいく。



「……なあ、二人とも。一つ質問があるんだが……この先、何が起こると思う?」


「? この先、ですか?」



 不意の質問にいつもの無表情ながら子首を傾げるアリエス。


 三人の足音のみが響く洞窟に、その声は酷く大きく感じた。


 コツ―コツ― 人工物めいた階段を下りる音が響く。



「ここに来るまで、ちょくちょくゾンビが来た。

 前から来る、死角から狙う、挟み撃ちにしてくる、またはそれらを合わせた方法……そんな状況になってたら、相手側は……どんな対策取ると思う?」


「そうですね。 軽々しく処理されると来たら」



 相手の側から見れば――どのような対策を取ろうとする?



「――――軽々しく処理できないレベルの量か質を流してくる?」



 ――BOOOOOOOOOOO!!!――


 ゾンビが戦国無双並みに溢れ出した。軽く40体いた。



「ま、そうなるよな……」



 面倒だし処理するか、と意志を込めてナイフを構える



「――――うるさい、何、誰……この子が起きる……」



 ――――瞬間、その少女は現れた。


 ゴシックドレスを纏った紫髪の少女。年齢は12歳程度だろうか、余りにも幼く、愛らしい容姿をした少女はその空間では明らかな異質さを放っていた。



「……アンデットが」


「道開ケテル トイレ ニ 流サレタ ウンチ ノ ヨウニ……」


「詩的な表現だな最悪だよ」



 ――――道を開けていく。


 モーセの十戒を思わせるその様子は目の前の少女、その様子はそのまま目の前の少女が何なのかを嫌でも理解させる。



「お初にお目にかかります……侵入者ご一行様……

 申し訳ございません……この子が起きてしまうので帰って頂くことは叶いませんか……?」


「この子……?」



 少女は腕に、赤子ほどの大きさの……小さな布包みを愛おしそうに抱いていた。


 頭?の部分を優しく、優しく……傷つけないように、衣に触れるような身長差で撫でている。



「すまない、それは出来ないんだお嬢さん。

 我々はここにいる死霊術士(あなた)の討伐に来たのです」


「……そう」



 さして驚かずに、死霊術士の少女は俯いた。



「人ニ 散々酷イコトヲ シテオイテ、自分ダケ助カロウ トカ

 思ッテネエヨナ??」


「凄いな、なんだか実感が籠っていたぞ」


「実感シテキマシタカラ コノ ウンチ!!」


「あれ? なんか自我戻ってきてね……?」



 自我が戻り始めてきた盗賊Aを置いといて、少女は言葉を続けた。



「別に思ってないですよ……動機はどうあれ、私は私の意思で村人を殺し、アンデットにした……それによって生じる因果に、向き合う覚悟も、殺される覚悟も済んでおります……」



 余りにもしおらしいその声と、言葉はこちらの戦意を削いでくる。


 その12歳ほどの少女とは思えないほど薄暗く、壊れ切った瞳はこちらへと問いかける。



「ねえ魔術師さん、一ついいでしょうか……?」


「何かな」



 少女がドレッドへと呼び、瞳が合わさる。


 歪に、淀み切ったヘドロのような闇が宿る瞳だ。



「――――私の料理、どうでしたか……?」



 料理……ドレッドの脳裏で短パンニーソが浮かび上がる。



「なんでかわからないけれど……魔術師さんなら……分かるんじゃ、ないですか……私が したかったこととか、を……」


「何故!?」


「女の勘……」



 女の勘なら仕方ない。



「ドレッドさん 分かるのですか?」


「何故心なしか期待を宿した目を向けるんだ」


「ドーセ分カルヨ ウンチ ダカラナ」


「お前さっきから台詞全部に1ウンチ入ってるの自覚してる?」



 ウンチBOTになった盗賊Aを無視しながら、ドレッドは質問に答える。



「そうだね…君の料理は…………とても……愛らしくて、素敵な〝純白なる光〟だったよ」


「――――」



 その言葉に少女の瞳孔は反応して大きくなる。



「あの赤ちゃんの姿造りだけじゃない、ここに来る途中のゾンビもそうだったけれど……どれも血抜きと臓器の処理が、この上なく丁寧に、とても綺麗にされていた」



 瞠目して、その光景を思い浮かべる。

 ――――赤ちゃんの姿造りを、脳裏に浮かべた。



「……とても、とても愛を感じた」



 ドレッドは少女の頭をぽんっ、と優しく触れながら微笑んで……優しく告げた。



「赤ちゃんの柔らかいお肉を腐らせないようにクローシュの内側に魔術を仕込んでいたね。

 それと、何より」



 少女の頬を撫でながら、告げる。



「赤ちゃんの顔は、とても幸せそうだったよ」


「……っ」



 少女の瞳にじわり、と雫が浮かぶ。


 ――――初めての理解者に、涙が溢れる。



「愛されながら、捌かれたんだなって……よくわかる、そんな素敵な顔だった」


「……っ」



 瞳を閉じて、穏やかな声色で感想を告げてくるドレッド。



「赤ちゃん特有の柔らかくて、癖のないお肉も……とても、とても綺麗に捌かれてた」



 思い出しているのだろう、その艶やかな赤子の刺身に感動の涙を流す。



「盛り付けだってそうだ……雑に盛り付けるんじゃない、ただ、神聖さを感じさせる盛り付けは……ただ、涙が溢れそうなほどに、美しかった」



 瞳を開けて、感動に涙を流す少女に告げる。



「――――君は天使が造りたかったんだね……」


「…………っ」



 そう、この少女が造る赤ちゃんの姿造りは余りにも美しく……あまりにも、純白なる光を思わせたのだ。


 ドレッドは芸術にも知識がある、その上で理解したのだ――――これは――天使だ――と――



「君の名前を教えてくれるかな」


「……マリー」



 ポツリと呟く声に最早、警戒は欠片もなかった。



「マリーな――――アリエス、データベースにアクセス」


「……ん?」



 アリエスが端末を取り出して調べ出す。



「マリー、情報有りませんでした」


「え……?」



 ガッチリ拘束技を掛ける、腕と胸に縄をかける。



「おっしゃ新種の犯罪者だ、ここで処理するぞ」


「は?」



 拘束 監禁 火を放って逃げる。



「えええええええええええええええええええ!?!?」


ヒロインです、この子は。


 そして作中ではたぶんトップクラスに重い過去です。

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