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ストーカーとらいあんぐる!  作者: 高畠莞爾
5/10

5話

 近所のスーパーに着いたところで、スマホの通知音が鳴った。


 内容を確認すると、妹の智紗から買っておいて欲しいお菓子についてだった。智紗はバドミントン部で毎日練習に励んでいるからか、食べ盛りなようだ。


 火曜日は特売日なので、今週分の食材を買っておこう。高校入った頃から、家事は大体俺が担当していることから、献立を考えるのにももう慣れた。一通り見て回り、レジに向かう直前で、胡麻ドレッシングが少なくなっていることを思い出し、ドレッシング売り場に向かう。


 すると、ドレッシング売り場に徳重さんがいた。徳重さんは俺の顔を見ると、目を見開いて驚いていた。


「え、えっと、こんにちは。」


 取り敢えず挨拶をする。


「こ、こんにちは。」


 徳重さんも言葉に詰まりながら返答する。


 このスーパーは俺の家から徒歩10分以内の場所にあり、徳重さんの帰る方向とは逆のはずだのだが、珍しいこともあるものだ。


「奇遇ですね。クラスメイトとスーパーで会うなんて中々無いですよね。」


 緊張して敬語になった。


「そ、そうですね。たまたま、そう!たまたま、母に買い物を頼まれていたんですよ。」


 徳重さんは少し挙動不審な解答だった。


「上社くんも買い物を頼まれたんですか?」

「いや、俺は普通に買い出しかな。親が忙しくて、俺が夕食作ることになっているんだ。」

「すごい!じゃあ、上社くんって料理上手なんだ。」

「上手ってほどではないよ。俺の料理は妹の智紗には、まだまだお母さんの足元にも及ばないって言われてるし。」


「それでも、毎日作るなんて私にはできないな。あ、もうこんな時間、そろそろ帰らなきゃ。」

「引き留めてごめん。また、明日。」


「こちらこそ、また明日。バイバイ。」


 そう言ってはにかむ徳重さんの顔は、俺を改めて惚れさせた。


 家に帰り、晩御飯の準備をしていると玄関が開く音が聞こえてきた。智紗が帰ってきたのだろう。


「おかえり、智紗。」

 

 葱を切りながら、リビングのドアを見ずにそう言った。


「ただいまお兄様。」


 聞きなれない呼び方と妹ではない声で誰が答えたのかを察した。


「亜希かよ。こんなに足がムキムキな妹を持った覚えはない。つーか、何しに来たんだ?」

「女の子にムキムキって、ほんとデリカシー無いわね。まぁそれは置いといて、智紗ちゃんに帰り道で会ってね。その流れで来ちゃった。」


「来ちゃったじゃねーよ。」

「いいじゃん、お兄ちゃん。1人分くらい作る量増えても手間は変わらないでしょ?」


 妹の智紗がリビングに入ってきてそう言った。


「分かったよ。もう少しでできるから、テレビでも見ててくれ。」


 そう言って、調理を再開した。智紗と亜希はソファに座りながら、テレビを見ていた。昔から、亜希は智紗と仲良く、よく一緒に夕食を食べたり、泊まりに来たりすることが多かった。ただ、高校に入ってからは部活が忙しくなったこともあり、来るのは久しぶりだ。麻婆豆腐が完成し、盛り付けを始める。


「今日は中華かー。おいしそー。」


 香りに連れられ、智紗がやってくる。それと同時にリビングのドアが開かれた。


「ただいま、諒、智紗。」


 母さんはそう言った。


「珍しいね。お母さんがこんなに早く帰ってくるなんて。」


 いつもは10時過ぎに帰ってくる。


「たまにはそういう日もあるわ。あら、亜希ちゃんも来てるじゃない?」

「お邪魔してます。理沙さん。」


 4人で食事を囲む。いつもは智紗と二人だから、一段とにぎやかだ。


「最近会ってなかったけど、亜希ちゃん可愛くなったねー。」

「そうですかね。自分じゃよく分かんないけどありがとうございます。」


「恋する乙女は可愛くなるからね、亜希ちゃん。」

「そ、そんなことないですよ。恋なんて・・・」


 亜希はバツが悪そうに答えた。そりゃあ同性の徳重さんのことが気になっているとは、なかなか言い出せないだろう。俺は助け船を出した。


「それよりも、来月の林間学校の日程の紙、後で渡すから確認しといて。」

「分かったわ。その日は頑張って早く帰れるように努力する。」

「林間学校と言えば、諒は誰と班組むか決めてる?。」

「将大とは同じ班になると思うけど、それ以外は決めてないな。」

「ふーん。そうなんだ。私も特に誰と一緒になるとか決めてないんだよねー。」


 しばらくし、賑やかな夕食も終わり、亜希は自分の家に帰っていった。


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