隠る日々
人の口に戸が立ちまして
そろそろ3ヶ月
雪の季節は光冠に溶け
透明な余韻も
お祭りのような日々に砕かれるばかり
桜の季節は喧騒に潰え
舞い落ちる淡い衣も
ただ無意味に積もるばかり
口元を塞ぐ白色は
始まりの季節の名残を留め
冷たく青白く顔に纏わり付く様子は
さながら亡霊のよう
ところが
季節は変わり
じりじりと暑くなる
熱気の部屋
生活から非日常の魔力が薄れ
日常に沈んでゆく気配がある
百年ぶりの異常事態を生きている
我々は百年後の歴史に残るのだろうが
特別感とは消費期限が短いようで
季節を跨ぐ頃にはだいぶ慣れた
あるいは
未来のどこかでは
もう一波乱もあるのだろうが
とりあえず今は
ささやかな小休止
隠る日々も今は楽し
開る季節を夢見て眠る