「嵐が丘」 自閉的で、孤独癖で、 一人で荒野をさ迷うのが好きな エミリー・ブロンテが書いた マイ・ブック・レビュー
嵐が丘 原題は ワサリング・ハイツ Wuthering Heights
ワサリングとは、風がヒューヒュー吹く、、という意味
ハイツとは、、、丘の上の屋敷という意味
で、、、直訳すると「木枯らし丘館」?でしょうか?
ですがこれを斎藤勇氏が「嵐が丘」と訳したのはまさに歴史的な名訳。と言われていますね。
さてこの「嵐が丘」
ご存知エミリー・ブロンテの世界的名作です。
三大悲劇とも言われています。
人間の情念の凄まじさを描いた普遍的な文学です。
情念の人
ヒースクリフという人間像を創製しました。
孤児という生い立ち
そしてある日キャサリンの父が出張先から
連れてきたという来歴
やがてキャサリンと愛し合うようになり
だが父の死であとを継いだリントンは家僕にまで貶める。
更にキャサリンが他家へ嫁ぐという決断をして
ヒースクリフは忽然と嵐が丘から出奔し行方が分からなくなる。
ヒースクリフは復讐を誓い
やがて財を成して嵐が丘に舞い戻ってくるのだが、、
、、、、、という古い物語をたまたま訪れていたロックウッド氏に
女中のネリーが語り聞かせる
という設定になっています。
嵐が丘、三代にわたる
愛憎のドラマの始まりです。
さてこれ以上あらすじを書いてみても詮無いことですからまあご自分でお読みくださいませ。
ところでブロンテ一家では
ブロンテ三姉妹の仲ではこのエミリーが一番天才的です。
エミリーは若くしてこの作品だけ残して亡くなっていますから
まさに命の作品だったのでしょう。
このブロンテ姉妹ですが
アンヌ 『ワイルドフェル屋敷の人々』
エミリー 「嵐が丘」
シャーロット 「 ジェーン・エア」
三人とも文才に恵まれていました。
それから、ブランウエルという弟がいました。
ブランウエルの描いた三姉妹の肖像画が残っています。
シャーロット以外は皆短命で
しかもシャーロットも38歳でなくなっています。
ブロンテ一家は牧師の父が赴任したのは、まさにヒースの荒野でした
その牧師館でブロンテ一家は短い命の日々を紡いだのです。
とくに天才的だったエミリーは
幼いころから空想癖がある少女で
もっぱら空想のゴンダル王国を想像してそこでの興亡劇を編み出して楽しんでいたといわれていますね。
これがもし完成していたならそれは「指輪物語」とかのようないわゆる「ハイ・ファンタジー」になっていたのでしょうね?
そして嵐が丘の令名に隠れてあまり知られていませんが
エミリーの詩集も重要です。
これらの詩篇はこのゴンダル王国物語の挿入詩として作られたもののようです。
そこにはロマンの香り高いポエムがたくさん綴られているからです。
ただそのロマン性であるが「暗くディープな」ロマン性ですけどね。
エミリーはなんというか自閉的で、孤独を愛して
一人で荒野をさまようというような人物でしたから。
性格もひどく内気で自分をさらけ出すようなことは一切なかったようです。
もちろん恋したとか
恋人がいたとか
一切ありません。
ヒースの荒野と
可愛がっていた老犬と
そして二人の姉妹がいただけです。
父親との関係も希薄だったようですね。
そういう空想癖の女の子が長年心の中に紡いでいた
一つの長編物語
それが嵐が丘という物語だったのでしょう。
暗い情熱の物語
そして寒々としたヒースの荒野
一人の孤独を愛する少女の内面の世界、、、、、。
ところで、私事で恐縮だが
私の姉が大学の英文科卒でして
彼女が在学中に研究していたのが
イギリス文学
とくにエミリーブロンテと
ダフネデュモーリアが好きでしたね。
エミリーブロンテもまあ分類すれば
ゴシックロマンス作家ですし
デュモーリアも典型的なゴシック小説作家です。
確か姉の卒論は、、ダフネデュモーリア論だったと記憶しています。
姉は卒業後は去る大企業の秘書課に勤務して実名は上げられませんが
有名な社長の秘書などもしていましたが、
その後自営業の男性と結婚して、、、、
平凡な主婦になりましたがね。
なんかブロンテから、、わき道にそれてしまいましたが、、
ご容赦ください。
ところでこの嵐が丘
私が知る限りでは今までに
5回映画化されていますね
初作は
これは1939年のマールオベロン、ローレンスオリビエ主演の映画作品で
これが一番有名でしょうか?
他にもありますが、まあ、これでしょう
最近の作品では
1992年版、の映画もあります。
これは音楽、坂本龍一です。
でも、
やはりマールオベロンの方がいいですね。
さてエミリーは
短期に学業でフランスやベルギーに滞在したこともありますが
殆どをこの荒野に立つ牧師館で過ごしました、
風邪だと思ったのが実は結核でして
しかし彼女は、薬も治療も、がんとして拒否し30歳で亡くなっています。
恋したこともおそらく、、皆無です。
恋人がいたなどありませんし
結婚もしてませんし
そういう女性が空想だけでうみだしたのがこの嵐が丘なのです。
エミリーの空想からだけ生まれたこの小説。
だから
実体験ではありません。
空想力豊かな乙女の暗い情熱のロマンでしょう。
エミリーは独身で夭折でした。
ずっとヒースの荒原を見ながら、孤独に凄し、そして短命でした。
だが
彼女はこの作品とともに
永久に作品世界に生き続けているのです。
(注)私の記憶だけに基づいて書いていますのでもしかしたら「記憶違い」の箇所もあろうかと思いますのでその際はご容赦くださいませ