千鳥足
閲覧ありがとうございます。
趣味として小説に手を出してみました。
よろしくお願いします。
チャリン。
『お代はここに置いておくよぉ』
毎度ありぃー
大将のよく通る声を背に彼は寒い田舎道を足取りも軽く1人歩く、いや、この場合踊っているという表現の方が正しいのだろうか。
『やっぱり夜はいっとう冷えるなぁ』
男はそう機嫌良く言いふにゃりとだらしない口角のまま小さく口ずさむ。歌と形容していい様なものでもないのだが…
酒の入った体は程よい熱をおび、ポカポカと実に心地が良い。このまま寝てしまいたいと男は思いながら頭上の月を見る。
『今夜は満月かぁ…』先程しこたま呑んだところだというのに男はもう十五夜の月見酒の事を考えていた。十五夜まであと9ヶ月…と言ったところか。いやはや、暦というのは実に便利だ。覚えるのに苦労したのだからしっかりと活用したい。
双方があれこれ考えているうちに男の家に着いたようだ。
『おっふとん♪おっふとん♪』男は家に着いたかと思うと開口一番に小躍りしすぐに寝息を立て始めた。
まったく、憑かれていると言うのになんという能天気さ…あの男には私が見えないのだろうか…もしこのずっとこの調子だったら…とまで考えて私は考えるのをやめた。時間はいくらでもあるのだから。