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第7話 シスコンは心の病気!! ロリコンは頭の病気!! 親バカは魂の病気!!

 

「聖剣が……ねぇ!」


 エスペラ王国のど真ん中に位置する王城の中庭で観光名物のように飾ってあった出現率0,00000000000001%以下と推定されるレアリティLSRの伝説のアイテム。

 俺が初めて手にした奇跡中の奇跡が、


「俺の聖剣エクスカリバーがねえええええええ!!」


 崩壊しかかっている王城であっても強烈な神秘の加護を持っていたそれが焼き払われるようなヤワな代物じゃない事は所有者である俺が一番よく知っている。

 かと言って所有者以外扱えないこんなモノを誰が持ち出すのか?

 こんな足の付きやすいモノ売り払うのも厄介だ。


「邪魔があっ!!」


 俺の塾考を邪魔するように襲ってきたアイスソード(R)とフレイムブレード(R)二刀流の天使を脳天唐竹割で一蹴。

 半分に割れながら大の字に倒れる四枚羽根の権天使プリンシパリティを見て、ふと電撃な閃きが脳に炸裂!!

 おもむろにアイスソードを手に取ると思った通りだ!

 自分で手に入れた武器の様にその武器の歴史や名前が脳内に流れ込んで来やがる!

 つまり、


 ー天使を経由すれば、他人の武器も入手可能ー


「おい、黒ンボ」

「何ですか?」


 いい加減、回復して足も再生したので黒野郎の背中から降りる。

 伝説ストックから炎耐性のある紅蓮のローブ(R)を取り出して着ながら続けた。


「天使が伝説のアイテムを奪えるのは所有者殺した時のみか?」

「いいえ、所有者が所有権を放棄した場合、天使はそのアイテムをドロップ出来ますよ」


 つまり、何らかの方法で俺からエクスカリバーを放棄させ、天使にドロップさせて、その天使を倒せば……


「テメェのモンって事か!! この盗人野郎がぁよぉ!!」


 指摘されて柱の陰からひょっこりさん。

 出てきたのは何とまあ懐かしい顔だ。

 死んだとばかり思ってたぜ。

 まあ、この世界ではよくある事だ。


「ピンクブスよぉ!!」


 重たそうに俺の聖剣を背中に担いだピンク髪の貧乳女が立っていた。


「違うもん、天使に拾われたら危ないって思ってキープしててあげてたんだもん!」


 天使に拾われても俺が所有権を放棄するまで扱えねーんだから意味はない。

 そもそもこいつはマジ信用出来ねぇ。

 あの髪は嘘をついている髪の色だ!


「勘違いされたのならすまない」


 俺の背後に現れた色白ン毛がピンクブスに駆け寄りながらほざく。

 わざわざ寄り添ってつーところが気に食わねぇ!

 背後から斬りかかってこられた方がまだ許せるレベルだ。


「銀色の。御主、ロンギヌスを持っていたであろう? 出してはくれないか?」


 俺は無言でロンギヌスを出して色白ン毛に向ける。

 世代や所有者で個体差はあるが、ロンギヌスは嘘吐きを青い炎で燃やす能力を持っていることが多い。


「私たちは決してエクスカリバーを自分のモノにしようと画策したわけでは無い!」


 口にしながら自らの右掌を叩きつける様にロンギヌスへ突き刺した。

 案の定、青い炎は出ない。

 あーはいはいイケメンイケメン。

 コイツのこういう所がマジで嫌いだ!

 ピンクブスは目をハートにして御祈りポージングのまま気絶している。

 思ったんだが、メスって何でイケメン見ると祈るの?


「オトオオオオオサンンンン!!」


 忘れてた。

 真っ黒パパから離れた事で炎の幸子大天使からまたターゲットにされた様だ。


「寄越せ!」


 仰向けに気絶しているピンクブスひっくり返してエクスカリバーを取り戻すと、丁度のタイミングで俺に向かって飛んできた巨大亀ファメ波を剣で切り裂いて搔き消す。

 そのすげえ威力に俺興奮!!


「フハハハハハハ!!!」


 テンションVマックス状態。

 50メートル巨体の右肩に一息で飛び乗るとそこに剣を突き立てたまま滑落しながら羽根を削ぎ落としていく。

 右側六枚羽根がボロボロ落ちていく中、今度は両方の膝裏を斬って跪かせた。


「そして崇めろ!! 奉れぇぇぇええ!!!」


 一瞬だけ力を貯めると跪いたままの後頭部に思いっきり聖剣を振り下ろして剣閃を放った。

 眩い剣の閃光にミカエルと名乗っていた最高幹部の巨体がそこらの建物と一緒くたに文字通り押し潰される。


「楽! 勝!」


 三年越しLSRの伝説の御披露目に三年分のお久しぶりボーナスが乗っかった最高の状態。

 負ける方が難しい条件だ。

 だが、まだ終わっていない。

 王城の瓦礫と一緒になった巨人の残骸から赤い糸が伸びているのが見える。

 掘り起こすと……5歳くらいの赤毛の小娘が体操座りで鎮座してやがった。


「あ、ああああ」


 俺を見て明らかに怯えの表情が灯った。

 背けてから見えた真紅に染まった翼が右側には無く、代わりに痛々しい裂傷が剥き出しになっている。

 まあ、俺がやったんだが。

 本体が幼女とはいささか意外だが、よくよく考えたら生まれたばかりだもんな。

 まあ、今すぐ死ぬんだが。


「助けてお父さん!!」


 俺の後ろにいた黒野郎に向かって助けを求める。

 が、正妻の前で愛人の子供に接する様なバツの悪い顔で目を背けた。

 なんて薄情なお父さんだ。


「私まだ死にたくない! 友達と遊びたいし、動物と戯れたい! 自然の中で生きたいし、恋話をしてみたいし、まだ遊びたい!」


 意外にも俗な感覚。

 まんま平和ボケしたバンピー人間の思考そのものじゃねーか。


「お母さんのようにお父さんイチャイチャしたい! そして将来はお父さんのお嫁さんになるの!!」


 その言葉が出た瞬間、赤幼女から生えていた赤い糸が鎖と化し、黒野郎の心臓を貫いて結ばれたのが視えた。


「待ってくれ!!」


 赤い鎖に応じたのか、黒ブタオヤジが赤幼女を守るように俺の前で立ちはだかった。

 この親バカ、どうしてくれようか?

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