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第6話 物語最序盤で敵軍の最高幹部がひよっこ勇者をガチ抹殺に行くレアケースがあるけど、どうせ主人公補正で負けるんだからお約束守って雑魚から送り込んだ方が圧倒的に良いと思う!

 

 ミカエルって言えば天使の中でも最上位の熾天使で、四大元素の火の属性を持った天使のリーダーとも言える存在だ。

 いきなり最強とぶち当たるたぁ何この展開。

 最初はそれこそ中位くらいのドミニオンとかを苦戦しながらもみんなで力を合わせて倒すとか、そういう展開だろ?

 しかも、人間の援軍は一切ねぇ。

 騎士団やらモンスターハンターやら、色々いただろこの国は!


「ブアアアアアアアア」


 咆哮と一緒に翼を羽ばたかせて熱風を巻き起こしてくるが熱い!

 暑いではなく熱いだ!!

 氷の女王の杖(SR)を地面に刺して氷のバリアを張ってなんとか凌ぐが全く涼しくねぇ。

 後手は不利と悟り、禁断の杖の本当の力を解放するしかなさそうだ。

 伝説のアイテム一つにつき、必ず何か固有の能力を持っている。

 禁断と言うからには本当に禁断なんだろう。

 俺の身体がピンクの光に包まれた。


「な、なんじゃこりゃああああ!!」


 ピンクのヒラヒラしたドレスの胸部にはでっかい宝石とリボン。

 スリットの入ったスカートに見せスパッツは、今時流行している魔法少女とかいうアレ。

 身長180越えの俺が魔法少女コスという何とも自演乙でアンバランスではっきりキモい。

 誰も見てなくて良かっ……


「ぷくくくく」


 ストックから幅広い刀身を持つダークネスソード(SR)を取り出して陰で見ていた黒ペド太郎の両目に投げつける。


「目があああ! 目があああ!!」

「オトオオオオオサン!!」


 大口から吐き出してきたゲロ熱線を飛んで躱す。

 って、またしてもお父さんが巻き添えで消し炭になっちまったアーメン!

 にしても、見た目はあれだが、全身に力が漲るこのコスチュームすげぇ!!

 飛翔状態をキープしたまま自由にコントロールできる。

 人間って飛べるのね!

 ただ、見た目があまりにもダサいので魔王アルヴィスのローブ(R)を重ね着。

 装備の効果は重複しないが、厨二ぽくてカッコいい装備はこういう意図で利用価値がある。


「カタキイイイイ!」


 12枚の翼から無差別に飛んでくる高速の羽根。

 丁度、流れた一枚が再生してすぐの黒野郎に腹に刺さったのだが、大穴空いた直後に炎上して燃え尽きた。

 なんとも恐ろしい。

 何回お父さんを殺せばいいのだろう?


「フンフンフンフンフンフンフンフン!」


 無数に飛んでくる羽根を拳のラッシュで弾き飛ばしまくる!

 何とか耐えていられるが、このままではジリ貧だ!

 奴を倒せる決定的武器が欲しい。

 溜め込んでいたLR武器たちの久々ボーナスはさっき黒野郎のオシオキで無駄遣い。

 SSRでは力不足。

 何かないか……ある!

 悪魔的ひらめきが舞い降り……


「カムェファメファアアアアアア!!!」


 両の掌底を合わせるという独特の型から放たれてきた熱線が俺の身体を押し流す。

 そのまま地面に貼り付け御免!!

 高熱が俺の身体を焼く!


「があああああああ!!」


 足に力を入れて立ち上がりながら気合で熱線を弾き飛ばしたが、直後に右足が崩れて俺は地面に倒れた。


「チッ!」


 服が焼け落ちて真っ裸なのはまだ良いが、右足が膝から先が炭と化してやがる!

 左足も辛うじて足の形を保ってるが、何かの拍子で崩れ落ちそうだ。


「ペド野郎!!」

「何ですか? マッパマン」


 魔法陣から貞子の藁人形(LR)を取り出して復活して物陰に隠れていた変態野郎に見せ付ける。


「今から俺をおぶって走れ!」

「嫌ですよ! フルチンが僕の衣装に付くじゃないですか!」

「やらなきゃ呪う!」

「僕に呪殺は無意味ですよ」

「誰が殺すっつーたダボが!、呪いの内容は『これからお前が見る女性は全員デブスに見える呪いだ!』」

「なんだって!!」

「LRだから俺の死亡と同時に発動すりゃ間違いなくお前にも刺さる! 嫌なら走れ!!」

「ひいいいいいい!!」


 嫌々ながらも素早く俺を背負って黒野郎が走る。

 その後を追いかけるようにミカエルから放たれた羽根が刺さっては爆発していく。


「ど、どこに向かって走ればああああ!!」

「王城だ。そこに行けさえすれば、チッ!」


 追撃に降りてきたのは3枚翼の天使が数体。

 手にしているのは有名人使用のミスリルソード(R)、クリスト教会の裁きの杖(R)などなど、Rながらも伝説のアイテム。


「どういう事だ?」

「レベルアップからのクラスチェンジですよ。人間倒してクラスチェンジアイテムドロップしたから天使エンジェルから第八位の大天使アークエンジェルになったんです」


 なんてこった。

 まさかの敵だけレベルアップシステム!

 地道な修行で力をつけるこの世界ではレベルアップの概念なんてこっちにはねーのによぉ!!


「どうします?」

「ぶっ殺す!」


 黒野郎の背中に乗ったまま右手に天槍ゲイボルグ(LR)、左手に第2世代産アロンダイト(LR)を手に取って広げて構える。

 ボーナスの無いLRだが、何とかなるはず。


「何いいい!」


 アロンダイト(しつこく言うがLR)の一撃がミスリルソード(しつこく言うがR)に受け止められた。

 驚くべき事にお披露目ボーナスの恩恵が天使にも適用されるようだ。


「逃げるぞ!」

「うす!」


 まともにやりあうと面倒臭い。

 天槍ゲイボルグを放り投げて、これが自動追尾でミスリルソード天使の心臓を狙っている間に動く。

 他の天使こそ追っかけてくるが、肝心のデカブツは流石に父親が人質ではろくに手が出せていない。

 不慮の事故で殺すのならともかくワザと殺すのは忍びないとか良い子に育ってるじゃねーか。


「王城行ってどうするのですか?」

「バケモンを倒すのは聖剣って相場が決まってんのさ」


 俺が三年前に没収されたLSRの聖剣エクスカリバー。

 実はお披露目の戦闘をしていなければ、3年ぶんの久々ボーナスも付いている。

 あれなら!

 あれならきっと奴を倒せるはずだ!!

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