表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/27

カルディナの登場

マティアスが共和国圏内を目指していると、途中で救難信号をだしていたポッドが見つかった。

人道的な措置として、見過ごすわけにはいかないと艦長が助けることを指示したがいいが、その中にいたのはカルディナ・コルサという女性とその召使いであった。

おそらく帝国の高官の娘か何かであろうと予測された。


とかくそのカルディナという女はわがままであった、自分の願いを叶えられないものはないと言わんばかりに、あれこれ命令してくるのだ、仕方がないので出来る範囲で叶えていたのだが、ついにケネスが切れたのである。

「付き合ってられるかバカ女が!!!」

「バカ女とは何事か!?妾は帝国の、ひ」

「帝国のなんだってんだ!!」

「まぁまぁ、カルディナさんも落ち着いて」

そうテリーがなだめようとすると、

「触るな、下郎!!」との声にさらにケネスが切れた。

「下郎だぁ!? 誰に向かっていってんだ! 俺に向かって言ってるならまだしもアルーンに言うのはゆるさねぇ!!」

そう鬼の形相で怒鳴ったケネスである。

これにはカルディナもひっ、と怖がり黙った。


「アルーンはなぁ、こいつはすげぇ奴なんだぞ!?」といい始めたところでぐえっと、テリーに気絶させられたケネスなのであった。

アルーンはすごい奴とのことを聞いたカルディナはどれほどアルーンが凄いか確かめたくなった。

そもそもアルーンは誰か?という話になりここで偽名を使っていたのがバレてしまったアルーンなのであった。

「そなた!何をもってすごいというのじゃ!?」

「そんな凄い特技は持ってませんよ」と答えるアルーン。

「嘘じゃ嘘じゃ」との声に、グウィンが余計な一言を言った、「ネイオンの操縦が素晴らしい」と。

それをきいたカルディナは目を輝かせ、アルーンに問うた。

「ネイオンの操縦とな!? 先のマリオン会戦のマリオンの仮面とはどちらが上じゃ?」 グウィンが火に油を注ぐ

「そいつとはこの前一戦交えてそいつは逃げ帰ったよ」というと、またもカルディナは「嘘じゃ嘘じゃ!!」といいだした、マリオンの仮面は帝国でも有数のエースパイロットだと騒いでいるカルディナである。

「アルーンとやら!マリオンの仮面と決闘せい!」とまでいう始末。

このままだとさらにうるさいことになりそうだったので、近くにいた帝国軍に返還を申し込むマティアスクルー達。


帝国軍にカルディナという娘を預かっていると、通達したら帝国軍が飛んできた。

カルディナ様を即座に解放しろとのことだ。



アルドーサイクスはマティアスからの通達に仰天していた。

「まさか姫様が共和国の者共に捕まってしまわれるとは…」

これにはブレットも言葉が出なかった。

二人は即座にマティアスに向かって軍を進めた。


ほどなくしてマティアスは帝国軍の艦艇に捕まった。

帝国軍はマティアスに即座に通信を開いた。

「こちらブレット大佐、カルディナ姫を保護したと通達を受けた」

「おぉ~、ブレットか、はよう妾を助けてくれ~」

セルゲロ艦長の横で騒ぎ立てるカルディナ。

「ご覧の通り帝国の第一姫を預かっております、我々としては返還する代わりに、この艦の共和国圏内までの安全な航行を要求する」

いいだろうとブレットが言いかけたところで、アルドーサイクスが声を上げた。

「大佐! こやつらに譲歩する必要はありませぬ、事ここに至っては決闘で決着をつけましょう」

「大尉、勝算はあるのか?」

小声でアルドーに聞くブレット。

「なければ決闘などと言いませぬ!」

「そちらは如何か!?」

ブレットから許可を貰う前にセルゲロに問うた。

「決闘! よいぞよいぞ! 戦え~い!」

横で盛り上がっているカルディナだが、セルゲロは冷静に状況を見ていた。

現在マティアスは帝国圏内にあり、カルディナというカードを持っているが帝国軍に捕まり囲まれている状況である。

もし決闘を受けなかったことで、強硬手段を取られた場合カルディナごと艦を落とされる可能性がある。

セルゲロとしてはそれだけは避けなければならなかった、この艦は共和国の技術の粋を集めた艦であり、

この艦そのものと艦のデータなどを共和国に持ち帰るのが第一任務であるからだ。

それ故にこの決闘を受けるか迷っていると、カルディナが声を上げた。

「アルーンとやら、アルドーと戦えい!」

そう声をかけられたアルーンは仕方ないといった顔で

「艦長、私が戦います」

「その意気やよし!」

セルゲロとブレット両者の預かり知らぬところで決闘が決まってしまったのであった。

(相手の共和国軍人の一人、アルーンといったな…姿が違ったがもしや…!)

ブレットはこの決闘を傍観することになってしまったことを危惧していた。


格納庫に向かったアルーン、

「この機体でやれるところまでやるしかないな」

新型とはいえあくまで量産機である共和国のネイオンに乗り込む所だったが

「テリー、いやアルーンが本名か、俺の機体に乗るか?」

グウィンが声をかけたが、

「グウィンさん、あなたがいなくて誰がマティアスを守るんです? 後は頼みます」

グウィンの提案を断り、自分が乗っていた機体に乗り込んだ。


アルドーサイクスは復讐に燃えていた。

マリオン会戦であれだけの戦果をあげた自分が無残にやられるとは、思い出したくはなかった。

だからこそ今回は汚名返上の意気で、決闘の声を上げたのだ。

会戦でも乗ったこのエース機であるネイオンに彼は優雅に乗り込んだ。


お互いがカタパルトから発進し位置についた。

「復讐のときはきた! 今回は勝たせてもらう!」

そう言い放ち、剣を抜きアルーンに突進したアルドー。

それを受けたアルーンは手を合わせたかと思えば右手を突き出した、青龍十六掌の一手飛翔雲龍であった。

激しい龍の気が巻き起こり、アルドーを包んだ。

「むっ これは…!」

ブレットがはたと気がついた。

カタパルトから発進したかと思えば、アルドーの機体はまだ開いていたカタパルトに激突した。

「な…なにが起こったのだ… ぐふっ…」

前回とは違い、何が起こったのかすらわからぬアルドー。

「青龍十六掌…やはりアルーン少将、貴様であったか」

そう呟くや否や、ブレットは格納庫へ走り出した。


「なんじゃあれわぁ~!!」

アルドーを一手で倒され仰天した、カルディナであった、そして他の共和国帝国軍人双方とも驚きを隠せなかった。

「なんてぇ強さだ…」

格納庫で見ていたグウィンがつぶやいた


ビービーと機体の過負荷を知らせる音がなっていた。

「やはりこの機体では無理があるか…」

アルーンは負荷がかかった機体の右手を見ながら、立ち去ろうとしていた。

すると後ろから掌風が巻き起こるのを感じ取り、振り返って受けたアルーン。

「むっ! この一手は…!?」

「やはり貴様だったな! アルーン少将」

黒に包まれた機体を駆り、ブレットが言う。

「ブレット大佐か!?」

「第二ラウンドといこう!」

そう叫ぶとブレットはまた一手を繰り出した

右手、左手、そして両手を振り下ろす鉄血掌法の鉄寒門の一手である。

「まずい!」

両手で受けたアルーンだったが、先程の戦いで右腕の負荷が限界を超え、今やブレットの一手で破裂した。

アルーンは足払いをかけその勢いで両腕を突き出す一手を繰り出したが、片腕がないため威力が半減し、ブレットに軽々と受けられてしまった。

「そんな機体でくるとはな、アルーン少将! ここで命をもらう!」

ブレットの攻撃を左腕一本で受けたが、その左腕も限界を超えるギリギリであった。

このままではやられる所を救った男たちがいた、グウィン達であった。

アルーンとブレットが戦い始めた所で即座にグウィンは号令をかけ発進していたのであった。

「決闘は終わりだ! ブレット大佐とやら引いてもらおう!」

グウィンは自分と他数機のネイオンでアルーンのネイオンを助けた。

「フン、ここは引いてやろう」

決闘の決まりを破ったのは自分であるためあっさりと引いたブレット。

「アルーン、大丈夫か!?」

グウィンと一緒に来ていたケネスが肩を貸して格納庫へ運び込んだ。

「あぁ…なんとかな…」

アルーンは自分が思っているより疲弊していることに気がついた。

理由はアルーンのネイオンが新型とはいえ量産機である以上、そこまで純度の高いクリスタルが使われておらず、

内力がうまく伝わらず、攻撃も防御も効率が悪かったからである。

「これ以上ブレット大佐達と戦うにはこの機体では殺されるのがオチだ」

「殺されるったってこれからどうする!?」

うろたえるケネス達であったが、アルーンは

「共和国圏内であれば、あれを取りにいけるのだが…」

「あれ…というと、エンペラーか!?」

あぁ、と頷いたアルーン。

「そのエンペラーってのは何なんだ?」

話を聞いていたグウィンが聞く。

「俺のかつての搭乗機です」

そう言い放ったアルーンだが、

「だがアルーン、あれは条約が…」

ケネスが言う。

「戦争がまた始まった以上条約なんてないも同然だ、それにこのままブレット大佐に殺されるわけにはいかないだろう?

 それに上には予め話すことにするさ」

そういうことならと引き下がったケネス。

自分の部屋に戻ろうとするアルーンをカルディナが待ち構えていた。

「そなた! なぜそんな力をもっておるのじゃ!?」

「なぜ偽名をかたっていたのじゃ!?」

「なぜ身分を隠すのじゃ!?」

質問攻めにあったアルーンは急いで部屋に逃げ帰った。



その後もたった一手でマリオンの仮面を破ったアルーンはカルディナにとって興味の的となった。

カルディナはとかくしつこかった。

なぜ偽名を使っていたのか?

好きなものは何か?

嫌いなものは何か?

自分のことはどう思っているか?などなど、

アルーンは辟易していた。

あまりにしつこかったので、気絶させて無理やり返すことにしたようだ。


自分とは大違いだ!っといったリズに、何がだ?と聞くと何でもない!との声が帰ってきた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ