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王国、降伏

「ついにこのときが来たか…」

アルーンはつぶやいた。

王国は帝国に対し独立を守るため懸命に戦ったが、

アルーンや王国全ての人々の努力をもってしても帝国に屈するときがきてしまった。

条約の内容は簡単に言えばこうだ。

王国の独立保障はしてやるからアルーンの身柄およびエンペラーを帝国に渡すこと。

「あなた…」

リズが部屋にやってきた。

「すまない、俺なりに精一杯戦ったんだが…」

「いいのよ、あなたはよくやったわ」

リズは涙を流しながらアルーンを抱きしめた。

「思えばこの10数年間よく帝国と戦えたものだ」

感慨深げなアルーン。

「これもそれも全ては周りの人や物の力のおかげだったんだな」

リズの背中を数回軽く叩き、離れたアルーン。

「だけど全てはカルディナの手のひらの上だったのかもしれない」

「私達はあの女にまんまとしてやられたのね」

軽く歯ぎしりをするリズ。

「仕方がないさ、元々分の悪い賭けだったんだ、俺達はそれに負けただけのことだよ」

アルーンはおちゃらけていったが、納得の行かないリズ。

「女王、もう俺は王国に帰ることもできないだろう、だが一つだけ約束してほしい」

「何?」

リズは涙を流しながら聞いていた。

「これからも今まで通り、民を慈しんでくれ、それが俺の最後の願いだ」

「えぇ、わかったわ」

「それと息子たちに何も残してやれなかった父だが、公人として王国に平和をもたらすということだけでも息子たちに伝えてほしい」

「あなたは色々なものを残してくれたわ、きっとわかってくれるわよ」

私達の子だもの、と笑顔になるリズ

時間です、殿下、と秘書の一人がやってきた。

「あぁ、行こうか」

「そうね」

そう言って歩きだしたアルーンとリズ。

「やぁ、グレイル中将、君が帝国への案内人かい?」

そう言われた男は帝国式の敬礼をし、挨拶をした。

「はっ、小官が帝国までの護衛を務めさせていただきます」

「しかし物々しいね、3個艦隊で来る必要もないだろう」

アルーンが見回していると、

「道中何かあってはまずいので、これでも少なくしたようです」

真面目に言ってくるグレイル。

「ましてや閣下に脱走などされた日にはたまりません」

「はっはっは、そうだね」

かつて帝国に囚われ脱走したアルーンには頭が痛い返答であった。

「まぁ、安心してくれ、今回は公式なことだ、私は脱走なんてしないよ」

「そう信じております」

そういってグレイルに案内されたアルーンは帝国の戦艦に歩きだした。

途中アルーンと別れたリズは帝国の戦艦のブリッジがよく見える場所に高官たちとともに来ていた。

「ここならアルーン閣下の最後のお姿が見えるでしょう、女王」

高官に言われたリズは頷いた。

リズが帝国艦のブリッジを眺めていると、ちょうどアルーンがブリッジに上がってきた。

「閣下、ここがブリッジになります、先程からお見送りの方々も見える位置にきました」

「あぁ、ありがとう」

そういうとアルーンは真っ直ぐリズを見つめた。

(リズ、君にまた会える日が来るだろうか? もしまた会えたらどんなに嬉しいことだろう…)

愛おしそうにリズを見つめるアルーン。

「閣下、時間になりましたので王国をでます」

あぁ、と返事をしながらも目線はそのままのアルーン。

ちょうど艦が出始めた頃、最後にアルーンはリズに敬礼をした。

(リズ、さらばだ)

(あなた、ありがとう)

アルーンとリズはお互いが見えなくなるまで見つめ合っていた。



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