ネイオンの戦い
ふぅとテリーもケネスもつかの間の癒しで疲れをとっていた、まだ厳戒態勢なので二人は対空砲の銃座にいた。
「おい、テリーなんとか生き残れたみたいだな」
ケネスが通信を開いた。
「あぁ、だがまだ油断はできないな…」
「もう少ししたら第二波がきそうな気はするがどうかねぇ?」
「間違いなくくるだろうな、帝国は甘くない」
「それより、これからどうするよ?」
「できれば、早急に艦を降りたいところだがね」
そう二人が銃座から降りようとしたその時、
二人に通信がきた、
「さっきはありがとう、死なずに済んだこと、感謝する」
オペレーターから感謝の声の通信がきていた、「別に気にしなくていい」と二人とも言っていたが、目的はそれだけじゃないらしい。
「お前達がネイオンを囮に対空砲で倒す戦術を使ったんだってな」共和国の軍人が、急にでてきた。
「これができるということは少なくともネイオンと縁があるということだ、二人ともブリッジに来るように」
そういわれて、あちゃーバレたかと二人は笑った。
テリーとケネスはブリッジにきていた。
「先程の活躍をしたのはお前達か、私はセルゲロ、この艦の艦長をさせてもらっている」
がっしりとした体格のセルゲロ。
「そしてお前達二人にはネイオンに乗ってもらう、どうやら基本がわかっているようなのでな!」
強面の軍人に言われたが、
「私達はネイオンに乗れない訳ではないですが…」
テリーが言葉を濁していると、
「もうすぐ敵の第二波がくる、どうかこの船と民間人達を守ってやってほしい…!」
「それにこの船は著しく人員が不足している、出来る限りの手は借りたいのだ」
切実に頭を下げ願っているセルゲロに二人は困った。
「私達はこの船も民間人も守れる保証がありません、しかしそこまで言われては協力しないわけにもいきません、やれるだけやらせていただきます」
そうテリーが言うと、そうだなっとケネスが
頷いて、ブリッジから出て格納庫へ向かった。
「随分と安請け合いしたな? これから先どうするんだ?」
格納庫へ向かう途中ケネスがテリーに語りかけていた。
「どうするもこうするもないさ、このまま何もせずに死ぬわけにはいかないだろう」
そう言い返すテリーに
「まぁ、確かにそうだけどよ」
まだ言いたいことがありそうなケネスだったが
「いずれにせよ、自分たちで自分たちの命運を変えることができるかもしれないんだ、やれるだけやるだけさ」
「それもそうだな」
ケネスは悩んでいたようだが、納得したようだ。
「リズ!」「ケネス!」
「さっきは死ななくて良かったな」
「うん、ケネスのおかげだよ」
二人は再会を喜んでいた、
「テリー、あなた凄いのね、ネイオンを二機も落とすなんて」
驚いているリズを置いて、
「それよりも次からは俺たちもネイオン係だからよろしくな!」
「え!?二人ネイオンに乗れるの!?」
さらに驚くリズに対し、
「バーロォ、ネイオン乗れなきゃさっきみたいな芸当は出来ないのよ!」
そうケネスは話してくれた。
「おい! テリーとケネスとリズといったな?」
メンテナンス班の班長らしき男が言った。
「どうやらネイオンに乗れるようだな、艦長から特命が来ている、第四小隊に三人で回ってもらう」
「第四隊長機はテリー、副隊長はケネスだ!お前たちは後ろに控えていればいい!」
そう言った直後、
「おい、また敵のネイオンが見えてきた、迎え撃つぞ」
どこかのネイオンパイロットが叫んだ。
「全軍出撃だ」
カタパルトからみんなでていく、三人もあとに続くために、自分たちのネイオンに走った。
ケネスが三人の中で最初にネイオンに乗ったようだ。
「お、こんなところがあたらしくなってる、こっちも新型だな」
「あーー、やっぱ新型機ってのはいいねぇーー!!」
「それにテリーいや、アルーンのやつとまたネイオンにのれるなんてよぉ、一年振りだ、楽しみだよな」
「どれ、またあいつのお手並みを拝見させていただくとしようか」
ケネスはアクセルをオンにした。
リズは二番目だった。
「私のほうが先に乗ってるのに、どうして、二人が隊長に副隊長なのかしら?、でもこの艦の艦長が言うんじゃ仕方ないわね」
「それにしてもあの二人本当にこういう状況に慣れてる雰囲気…、何処かの軍人だったのかしら?」
「あとで話きいてみないとわからないわね…」
リズもカタパルトに乗って出撃していった。
「少し乗ってないだけなのに久々に感じる、ネイオンってやつは不思議だ」
コックピットにのり、ふぅっと息を吐いたテリー
「結局またネイオンに乗って戦いに駆り出されるのか」
青い空を見上げながら、
「それが運命なら仕方がないことなのかもな、やれるだけやってみるべきかもしれない」
そう一人呟いた。
「第四小隊、でるぞ!」
テリーは気合を入れた。
「ケネスはリズの子守を頼む」
「あいよ」
早速任された任務なので着実にこなすことにしようと、
ケネスは勤めたが、リズが私のお守りとはなんだ!?と暴れ出したせいで少し危なくなるところであった。
「とにかくリズちゃん、リズちゃんはテリーを見てなさい」
そうケネスに言われテリーを見ていると、
一機で敵に向かっていくテリーがいた。
「テリーは一人で大丈夫なの!?」
心配するリズだが、
「だーいじょうぶだって、こんなところで死ぬ男じゃないよ」
リズには楽観視しているようにしか見えないケネスであったが、
テリーはビームライフルを二連射し、一機の敵ネイオンのシールドを破壊し、また一機のネイオンに直撃を加えた。
「凄い…」
リズが呟くと、
「言ったろ? 大丈夫だって、俺たちは後ろに控えてればいいのよ」
言って、シールドをリズに構えさせ自身もシールドを構えて静観している。
テリーのネイオンと相手のネイオン、お互いの距離が近くなり、ビームサーベルの間合いになると、すかさずビームサーベルを抜き、相手のネイオンが上段切ってきたのに対しかわして中段に切り抜け、下段に切ってきたのを飛んでかわし、そのまま回し切りで相手のネイオンが一体倒れた。
二体目のネイオンが切りかかってくるが、先手を打ち下段に切り払い、足が切れたネイオンをそのまま蹴り飛ばした。
三体目以降のネイオンはそれを見てたじろいでいる。
「これがネイオンの戦いだよ」
「これが戦い…」
そうしているうちに敵の数が減ってきて、敵も撤退していった。
「敵が撤退する? 随分と引っ張られたな、この手口は見たことがある…」
「嫌な予感が当たらなければいいが、ここまでくると帝国圏内だ、してやられたな…」
呟いたテリー。
違う方面ではグウィンが対応していた。
「あそこにいるパイロット何者だ?」
グウィンは戦いながらテリーを見ていた。
「いい動きしてやがる、お手本のような共和国剣術だ、おっとあぶねぇ!」
相手の攻撃に一瞬ヒヤッとしたグウィンだったが、気を取り直し
「これで二機目だ!」
ビームサーベルを振るい、二機目の敵ネイオンを倒し、着々と戦果を上げていく。
そうしたところで敵が引いていったので、グウィンも引くことにした。
敵が撤退したので、こちらも撤退をしていると、マティアスのパイロット、グウィンがテリーに声をかけていた。
「俺はマティアスの第一小隊のグウィンだ! お前さんやるじゃねぇか、何処かの軍にいたのか?」と聞かれ答えづらそうにしているテリー。
「まぁ、何処だろうと構いやしねぇ! 感謝するぜ」とそれ以上追求はせずに、艦に戻っていった。
艦に全員戻ると、テリーはリズに言った。
「戦場は遊び場じゃない、死にたくないなら降りれるときに艦を降りるんだ」
その言葉にイラッときたリズは「私だって戦える!」と言い返していた。
その現場を見てケネスはため息を吐くのであった。
そんなことを言い合っていると、避難民から感謝の声が、あんた達のおかげで助かったぞー ありがとー、などの声がして悪い気はしない三人であった。