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永角寺の僧侶 空明との戦い

アルーンは悩んでいた。

旧領を奪回せよとの軍令には文句はない、

問題はどう奪回するかということであろう。

A B Cこの国々の連合をまず防がねばならないということ。そのためには、電撃戦が主になるであろうということは、わかりきっていた。

一番近いA国をまず、降伏させ、次に B国、最後に C国、これが理想である。

いずれにせよ一番近い所から行くしかないので、A国への侵攻をすることにしたのである。


軍事演習との名目で国境付近まで来たところ、どうやら敵は何も用意していないらしい。

もしやこれは罠か!?と疑ったが、それならばその前に何かしらの行動を、起こしているはずのため、罠であることはないと、一安心したのであった。

「閣下! 作戦の準備は出来ております」

「あぁ、作戦開始といこうか」

全ネイオン部隊がカタパルトから出撃していき、エンペラーもまた出撃したのであった。


ネイオンによる電撃戦は面白いように、A国の艦隊を引き裂いた。

内功によるバリアを展開させる前に轟沈した艦、バリアを展開するも、ネイオンによる集中攻撃により撃沈した艦、様々であった。

アルーン自身も作戦行動に加わっていると、途中で旗艦から連絡が来たのであった。

敵艦隊降伏の報せである。

これに満足したアルーンは軍を率いて、即座に B国へ向かうのであった。


B国国境についた頃、敵軍はおらずただ一人の人間がただずんでいた。

よくみると僧侶のようだ。

アルーンはただならぬ気配を感じ、艦から降り、「どこのお方か!」と聞いた。

「拙僧は永角寺から参った空明、これ以上アルーン殿には軍を進めることをやめていただきたく参った次第」

その声は遠くにいるはずなのに、近くで聞こえ内功の深さが知れた。

「なんと!? あの永角寺の空明大師か、だがしかしこちらも軍命により、退けぬ!!」

アルーンはマントをはためかせ言った。

永角寺とは二千年の歴史を持つと言われる仏門の大家である。

話ししているうちに徐々にお互いが近づいていく。

「南無阿弥陀仏 なれば賭けをなさりませぬか?」

「僧侶が賭けだと!?」

「左様、そちらが勝てばB国は降伏いたします、こちらが勝てば軍をひいていただきましょう」

「よかろう! 無駄な血を流させないために、空明大師の提案に乗ろうではないか!」

「さすがは当代きっての英雄、アルーン殿、お先にどうぞ」

そういって先手を譲る、空明大師であった。

「ならば失礼を!」

内功を込めて両手を突き出す、青龍十六掌の一手、飛翔雲龍を放った。

強力な風が巻き起こり、龍を模した気が、空明を襲いかかった。


「むむっ!」

対する空明大師も両手前にだし、その一手を受け止めた。

「この一手を受け止めるとは、さすがに名高い永角寺の拳法」

「青龍十六掌、誠に天下一に相応しい…!」

そう空明が呟くと、すでにアルーンは間合いを詰めて、足払いを仕掛ける。

が、御老体とは思えぬ程の速度で、読んでいたかのように、それを飛んでかわす空明、

その後、空明が上から叩くように左手で掌打を浴びせにかかるが、

これを左手で受け止めるアルーン、これを生半可な腕のものが受け止めていようものなら、骨が粉々になっていたであろう。


そして右手で相手の腰を狙った、これは相手の隙を狙ったいい手であったが、

空明もこれを右手で受け止め、お互い膠着状態になった。

内功の戦いになり、突然二人がはじけ飛んだ。

「うお!」

「むぅ!」

さすがに永角寺の空明大師の内功は強い、そう感じたアルーンであった。

相手の空明大師もアルーン殿の内功が、これほどとはと驚いている。

この膠着状態が一時間も続けていただろうか、空明に分が悪くなり始めていた。


「さすがにこの体力勝負では…」

「そのお年でここまでやるとはさすが空明大師!」

アルーンも疲労の色がでていた。


「アルーン殿に勝つにはこの技しかない」

空明は目をつむりお経を唱え始めた、すると急にあたりが静まり返る。

これは何かがくる。アルーンはそう感じ身構えた。

「南無阿弥陀仏…」

空明大師が目を見開くと、急にまとっている気が変わった、

「これは…如来千手掌!!」

「左様」

空明大師といえばこの如来千手掌で名を馳せたと言われる。これで虎の群れを一掃したエピソードはあまりにも有名である。

空明の背後からたくさんの気の腕が生えてきて、その無数の腕がアルーンを襲う。

風をきる音ともに、次から次へと手が襲ってくる、その技にアルーンは感動していた。

(一撃一撃が重く、受け止めてもこの重み…)やはり永角寺の武芸は素晴らしい、そう感じていたが、気を引き締めなおし、その技を受けたのであった。


後から襲ってくる手により、一手が何手にも見えるのが如来千手掌の特徴である。

このままではまずいな、なにか手を打たねばと打開策を考えたせいで、

受けが多少疎かになったアルーンは一手に惑わされ、三手も掌打を受けたのであった。

「ぐふっ」

打撃を受け血を吐くアルーン。

(隙を狙って完璧に打ち込んだはずなのに、たった三手しか打ち込めなかった)

空明はアルーンの受けの上手さにただただ驚嘆していた。


しかし、ここで引くわけにはいかないと立ち上がり、アルーン自身もまた向かっていくのであった。

無数の手を受けながらアルーン自身も、青龍十六掌の一手一手を返していく。

そうしていくと、パァンと空明大師とアルーンの手が合わさり、如来千手掌を打ち破った。


「ぬぅ…」

如来千手掌を破られた空明大師にはもはやアルーンに勝つすべはなく、アルーンに降伏したのであった。

「失礼いたした」

礼をしたアルーンに対し、

「流石に青龍十六掌…、拙僧など相手ではなかったようだ」

そう言って空明大師は静かに去っていった。

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