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あべこべ転生!?~あべこべ世界での僕は新しい出会いに飢えている~  作者: あだち りる
第一章「あべこべ世界に出会いを求めて」
6/43

6「きっとあの場所に」

昨日、友達とどんちゃん騒ぎをして疲れはてた作者です。

その間にブクマがめちゃくちゃ増えてるぜヒャッホーイ!!←(調子に乗り始めてる図)

side灰原晴



私には、お兄ちゃんがいる。

お兄ちゃんは頭が良く、見た目なんかテレビに出ている男性がヒヨッコに見える程だ。


お兄ちゃん、と言う存在は、同年代からすればかなり羨ましがられる物件だ。


そもそも、男性が側にいると言うだけで、かなり恵まれていると言っていい。


けど、現実と言うのはそんなに甘くない。

私のお兄ちゃんは、女性が嫌いなのだ。

昔からそうと言う訳ではない、昔は優しかったし、よく微笑んでくれた。


けれど、年をとるにつれて女性と言う存在を嫌い始めたのだ。


一度だけ理由を聞いてみた。

すると暴言が次々に口から出て行き、最後には『だから僕は、お前の事も嫌いだよ、晴』と言った。


これを最後にお兄ちゃんとの会話は終了し、私の名前がもう一度呼ばれる事はなかった。


けれど、不幸の連鎖、と言うのだろうか。

この後に、私はとんでもない事をやらかした。

正確には、私とお姉ちゃんと言うべきだろうか。


私は、帰ってきたと同時に足を挫き、目の前のお兄ちゃんにダイブ、そしてお姉ちゃんはお兄ちゃんとぶつかりそのまま倒れ、二人でお兄ちゃん胸板に触ると言う状態に。


言わゆる、ラッキースケベ、と言う物を私とお姉ちゃんは体験した。

けれど、男性の胸板に触れた!と言う喜びを凌駕するものがある、それはお兄ちゃんに嫌われることだ。


だからこそ、私とお姉ちゃんは喜ぶより先に恐怖が体を支配して全力で謝ったのだ。

けれど、お兄ちゃんが許してくれるはずなんてない。


お兄ちゃんは私達に、今世紀最大の罵倒の数々を披露した。

その罵倒を浴びせられ、私はと言うと…女でありながら男々しく泣きながら謝ってしまった。


けど、女の涙なんて物は男にとってはただただ情けなく見えるだけ、許してくれる何て言う希望はなかった。


それから、お兄ちゃんは『おい』『お前』すら言わなくなってしまい、無視される様になった。


ただ一つあるとすれば、冷たく睨まれるあの視線だけ。


あの目で睨まれる度に、私は昔のお兄ちゃんが頭に過る。


あの優しい瞳に満ちたあの人は、幼少の私に微笑んでくれたあの人は、もう何処にも居ない。


それを突き付けられている気がしてならない。


けど、それでも私は、お兄ちゃんの事を嫌いになれなかった。


そんなある日だ。

お兄ちゃんが倒れて入院したと母から聞いた。


心配になった私は、病院に行こうと、したんだ。

そうしたのだ、けれど、もしまた、あの視線を、冷徹な言葉を、もう一度聞いた時、私はきっと立ち直れない。


二度と、お兄ちゃんを見れない。


そんな恐怖が、私を病院へと行かせなかった。


そして、お兄ちゃんはの退院日が決まった。


それが今日、つまり家に行けばお兄ちゃんが居る。


私の足は重かった。

部活帰りのせいではないだろう、これは恐怖から来る足の重みだ。


家に帰ればきっとまたあの目で睨まれる。


きっと無視される…。


そしてまた一つ、私の心に傷が残される。


ーー帰りたくない


恐怖に呑まれた私の足は、家から逆方向へと進んだ。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄


side灰原時雨



「遅いなぁ…」


僕は今、晴の帰りを待っていた。

いつもならばそろそろ部活から帰ってくるのだが、今日に限っては一時間もその時間をオーバーしている。


ん~…これじゃ作戦が決行できないじゃないか、早く、早く帰って来るのだ僕の愛しの妹!


そんな事を考えながら更にーー


ー三十分ー


「おかしい…」


僕は頭を抱えた。

何故か晴がまだ帰ってこない、もう七時半だよ!?


明らかに可笑しいよ!

記憶によれば晴はこんな遅くまで遊びに行くことはなかった様だし。


も、もももももしかして事件とか!?

不味い!スマホ…って時雨君スマホ持ってないじゃん!!


どうする…?


どうすれば…クソ!


こうなったらーー


「探しに行くしかないよな!!」


僕は急いで玄関へと。


「ん?どっか行くのしぃちゃん?」


あ、やば、母さんだ。


「え、えっとちょっとコンビニ…」


「ダメだよこんな時間に男性が一人なんて!」


言われると思いました。


「だ、大丈夫だよ!近くだし」


「ダメだよ!それに、何か今のしぃちゃんは無防備すぎて心配と言うか…」


「大丈夫だって!自衛くらい出来るよ!僕だって男なんだから!」


「男の子だから危ないって言ってるの!」


あぁここに来てあべこべ世界のめんどくさい所発見しちゃったよもう!


今はこんな事してる場合じゃないんだ。


この世界に生まれ変わった僕の、たった一人の妹なんだ。

なりふり構ってらんないーー


「ゴメン母さん!」


「あ!しぃちゃーん!」


僕は玄関の扉を開け、走る。

最後に母さんの声が聞こえたが、今は耳を傾けていられない。


さて、晴は何処に居るのかな…。

頼りなのはこの世界の時雨君の記憶だけだ。


思い出せ、掘り返せ、何処かーー


「…あそこかも知れない」


僕は、走った。


きっとあの場所に居る。


僕と晴しか知らない、僕達だけが見つけたあの場所に。


よし、人もそんなに居ないから走り安いな。

流石に夜だと人も少ないから視線が少なくて助かる。


僕は段々と人通りが少ない方へ、そして一つの山に辿り着く。


ここは僕の家の近くにある小さな山だ。

昔はよく、ここで晴と遊んでいた。


僕は山を走って上って行く。


確か、山の中央辺り、ここら辺だったはずだ。


木々を抜けると、そこには木や草で守れたダンボールの家があった。


頼む晴、居てくれ。


僕は暖簾をどけーー


「晴!」


晴の名前を呼んだ。




「…お…兄ちゃん…?」



そこには、ボロボロに泣いている晴の姿があった。

そう簡単に妹と仲直りなんてさせないぜ…?

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