4「僕とデートをしよっか?」
雪枝さんの年齢を三十五歳から三十八歳に変更しました。
ん?変更理由?あ、なんとなくです。
さて、どうした物か…。
母さんは、僕の棒読み演技が終わった後もずっと固まっている。
とりあえず、新しいTシャツに着替えよう。
パーカーも着てと「ハッ!!」あ、母さんの意識が戻った。
その瞬間だった。
母さんは一度綺麗な回転を見せるとそのままスライディングし、僕の前へと。
ーーこ、これは!!
母さんは僕に、綺麗な土下座をしていた。
スライディング土下座!僕の得意技じゃないか!
そして母さんのこの土下座…出来る…!?
鮮やかなスライディング、何一つ乱れのないこの完璧な土下座、すべてを許そうと思える謝罪の圧、完璧だ、完璧すぎる!今まで僕がやってきたスライディング土下座がまるで霞むじゃないかっ!
ふっ…こんな土下座を見せられたら、怒る気もなくなるよ、いやま元々怒ってはいないんだけどね。
僕は母さんの肩にポンと手を置く。
「母さん」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!本当にすみませんでした!!何でもします!だから嫌いにならないでぇ!!」
「大丈夫、嫌いにならないよ、だから顔を上げて、ね?」
「本当に…?」
「うん」
顔を上げた母さんに僕は優しく微笑んだ。
「うぅ~…しぃちぁぁぁぁあん!!」
「ちょ!」
すると涙を一杯に溜めた母さんが僕に抱き付き、そのまま床に倒れる。
「しぃちゃんしぃちゃんしぃちゃん!!」
母さんはすりすりと僕の胸に顔を擦る。
物凄いデジャブ…母さんは抱き癖でもあるのだろうか?
いやま、可愛いからいいんだけどね、御馳走様です。
てかさっきから鼻息がすごーー
「はぁ…しぃちゃん…すぅ…はぁ…しぃちゃん…い、いい匂いぃ…んん~…」
下を見ると、目を血走らせ、鼻息を荒くしている僕の母さん、元い、変態がいた。
…そろそろ退いてもらおうかな。
この後、身の危険を感じた僕は退いてもらおうと説得するのに三十分掛かったのだった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
 ̄
「本当に一人で大丈夫!?」
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ、人通りが多い道を選ぶし、すぐに帰ってくるよ母さん」
靴を履きながら蒼白な顔をさせる母さんに心配は無用と伝える。
「本当に本当に本当!?」
「大丈夫だって」
苦笑いで僕は答える。
いくらなんでも心配しすぎだよ…いくらこの世界の男が性犯罪の被害者になる確率が高いとは言え、まだ昼間だし、ん~…あ!そうだ、良いこと思い付いた。
「うぅ~…心配だよぉ…」
「それなら母さん!」
靴を履き終わり、母さんの方へ顔を向け、僕は一言。
「僕とデートをしよっか?」
「ふぇ…?い、今なんて…」
「デートをします!」
「…ふぇぇぇえええええ!?」
てことで、母さんと僕の初デート、行ってみよう!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
 ̄
side灰原雪枝
ど、どうも皆さんこんにちわ、灰原雪枝と申します。
突然ですが、今日私は、死ぬかもしれません。
「それじゃ母さん手、出して?」
「は、はい…」
「えいっと!」
「な、なななななな!?」
「恋人繋ぎ~!それじゃあ行こっか」
萌え死にしそうです、或いは幸せ死。
なんと、私は現在しぃちゃんとデートしてます。
え?何言ってるかわからないって?私自身もよくわからない…そもそもこれは現実なのでしょうか?もしかしたら夢…
私は、一度しぃちゃんの方を見る。
「ん?どうしたの?」
「っ!!な、何でもないよ…」
この上目使いの破壊力は間違いなく現実ぅ!
まさかしぃちゃんとデートを出来る日が来るなんて…もう私は死んでもいい。
て言うか周りの視線が凄いなぁ…。
流石私のしぃちゃんだなぁ…もしかなしくても今の私ってすごい幸せな女かも。
私が目を瞑り幸せを噛み締めていると、しぃちゃんが手を引っ張る。
「ねぇ母さん、あれやろう!」
そう言って、しぃちゃんが指差したのはーー
「プリクラ?」
「そう!僕撮った事ないんだよね」
「で、でもプリクラって男の子同士で撮る物じゃない?そ、それと恋人同士とか…」
「母さんは僕と撮るのは嫌かな?」
「さぁ撮りましょうか」
しぃちゃんの上目使いは最強です。
プリクラ機の周りは布で隠れており、読モの男の子達が写っている。
やはりしぃちゃんと比べると…なんだかなぁ…やっぱりしぃちゃん以上に綺麗な男の子は居ないよね!
ちなみに、何故かしぃちゃんは布の男の子達を見て微妙な顔をしていた。
「それじゃ撮ろっか」
しぃちゃんは私の手を引っ張ってくれる。
うぅ…何て夢のシチュエーション…こんなの少年漫画でしか知らないよぉ…。
そんな事を考えている内に、しぃちゃんが色々といじり、写真を撮る準備に入る。
『もっと近づけや!!恋人見たいに!!』
な、何て指示を!?
プリクラから放たれた指示に、しぃちゃんも少しビックリしていた。
すると、しぃちゃんが突然ーー
「よっと」
「し、ししししししぃちゃん!?!?」
しぃちゃんが私の腕に絡み付いてきた。
「恋人見たい、でしょ?」
しぃちゃんはイタズラか成功した様に笑う、その微笑みはあまりに美しく、きっと私でなければ襲っていただろう。
もうしぃちゃん…可愛すぎるよっ!!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
 ̄
side灰原時雨
ふぅ…買い物終わりぃ。
僕は母さんとの初デートを満喫した後、買い物をすぐに終わらせ、帰宅している。
てか、プリクラ機の周りがメンズ達で固めてるのはどうかと…しかもそこまでイケメンじゃなかったし…プリクラ機の音声ですらあべこべだったしね。
まぁ楽しかったからよしとしよう!
ちなみに母さんはと言うと、プリクラの後からずっとプリクラで撮った写真を見てはニヘラァ…っと笑ったり、泣きそうになったりと、百面相をしていた。
うん…まぁ喜んでくれた様でなによりだよ。
そして、家に着き、僕はすぐにリビングに向かった。
今から作るのは、自分の昼飯だけど、簡単に丼物で行こうと思う。
お手軽な上に腹に溜まるからね。
作るのは親子丼である、あ、別に変な意味とかないよ?ただ好きなだけだから。
「それじゃ作るぞー!」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
 ̄
「完成!」
なかなかにいい出来になった。
僕は完成した親子丼をリビングのテーブルに二つ置く。
二つ作った理由は勿論、母さんに食べて貰う為だ。
母さんに先程僕がご飯を作ると言ったしね。
その時の表情が凄く可愛かったなぁ…もう満面の笑み、母さんは本当に可愛い人だ。
あれで三十八歳って言うんだから本当に信じられないよ。
さて、母さんを呼びに行こうかな。
「母さーん!ご飯だよー!」
ドタバタっバン!ーパリン!
「で、出来たの!?」
「う、うん…」
明らかに今、ガラスが割れる音がしたような…気のせいかな。
気を取り直しまして、僕と母さんは席に着き手を合わせ、いただきます、と同時に言う。
僕は箸をまだ掴まない。
何故、と聞かれれば母さんが食べるのを待っているからだ。
実は、自分が作った料理を誰かに食べて貰うのは初めてなのだ。
だから少し緊張する…正直かなり自分好みの出来だし…。
そんな事を考えていると、母さんは箸を掴み、ゆっくりと僕が作った親子丼を口に運ばせる。
ゴクリ…僕は唾を飲み込んだ。
それと同時に、母さんもゴクリと喉を鳴らす。
さて、感想はーー
「しぃちゃん、私と結婚しよう」
…胃袋は掴めたのかな?
おい!不定期とか言っときながら以下略。
流石にもういいよね、てかまだ家族会メンバー母しか出てないとかどういう事だよ!普通もう二、三話には妹や姉が登場するだろ!?あべこべのセオリー守れよ!(あべこべのセオリーってなんだろ)




