3「この世界に乗っ取ったリアクション」
なんかんやありまして、家に着きました。
車の中でまた膝枕をしてくれとお願いされ続けた僕は、苦笑いを浮かべるしかなかった。
この世界の膝枕の力は恐ろしいな…出来るだけ控えるようにしなきゃ。
「それじゃあ行きましょうか」
「うん」
僕は車から降り母さんの後ろに着いて行く。
僕の家は二階建ての一軒家だ。
記憶では住み心地はかなりいい。
母さんは扉を開けると「おかえり」と言って優しく微笑んだ。
「…ただいま」
きっと、これは僕が言っていい台詞ではないのだけれど、それでも嬉しい。
おかえり、なんて久し振りに言われたから。
「それじゃしぃちゃん、私は一回着替えてくるから自分の部屋で寛いでいて頂戴」
「うん、わかった」
僕は母さんに言われた通り自分の部屋へ向かう、僕の部屋は二階の奥にある。
はい、到着ー…なかなかに片付いている、てか殺風景だなぁ…あ、なるほど、時雨君はどうやら綺麗好きみたい、そこは僕と一緒だな。
「よいしょ、ふぅ…」
僕はベッドに横たわる。
さて、ここからが大変だぞ。
これから行うのは『時雨君の今までの行いを反省して仲良くして行こう』のコーナー。
簡単に言えば時雨君の尻拭い。
そしてその第一回としてやらなければいけないことは、晴と曇李姉さんに謝りに行く事。
この記憶によると、どうやら僕には妹と姉がいるのだ。
まず、妹の名前が、灰原 晴、中学二年生だ。
赤髪を二つに結んでいるのが特徴的な子である。
目鼻立ちがとても整っており、スタイルはスラッとしているロリスタイル、そこらのアイドルより可愛い。
記憶を頼りに思い出しているが、この子が僕の妹なのか…最高。
そして次に、灰原 曇李、大学に通っている僕の姉に当たる人物である。
黒髪のショートに、クールな美人と言う容姿を秘めている。
なんですか、クーデレ属性までいるとか最高すぎませんか?
て言うか…この家族皆容姿レベル九九かよ…これ僕の理性持つ?
三十路童貞にはこの空間はかなり勿体無い、いやま誰にも譲る気はないけどね。
そう言えば、何故僕が二人に謝まらなればいけないのか説明がまだでしたね。
…まぁ察してよ。
そう、この時雨君、昔にやらかしましてねぇ…二人に対してありとあらゆる罵倒の数々を放ったのですよ。
その理由が、たかが胸板を触られた程度で。
それ以来どうやら一度たりとも言葉を交わしていないようで。
はぁ…なんだろ、このこれから部下の尻拭いの為に上司に怒られに行くような気分。
まぁ作戦はもう決まっているけどね。
さぁーー二人が帰ってきた時が勝負だ。
「よし!やるぞぉー!」
僕は気合いを入れうでをうえに上げる。
それと同時に、きゅるるぅ~…と小さくお腹が鳴った。
「…何か食べよう」
ほらよく言うじゃん?腹が減っては戦は出来ぬってね。
果たしてこの尻拭いが戦と言えるのかは別として…。
それじゃ何か作りましょうかね。
実は僕は結構料理好きだったりする、なんせ独り暮らし歴が長かったのでね、自炊をする訳ですよ。
僕は腹を満たす為に階段を降りる。
リビングの位置はもう言わずもがな、時雨君の記憶でわかる。
リビングに到着。
さて、冷蔵庫の中身はーー
「oh…」
見事に空っぽだ…仕方ない、買いに行こうか。
どうせ仲直りの作戦の一つとして、後でスーパーには行く必要があったしね。
そうと決まれば早いとこ着替えちゃお。
僕は自分の部屋に戻り、一度来ていたTシャツを脱ぐ。
その時だった。
「しぃちゃーん!お昼は何を食べーー」
「あ、母さん」
「るぅ!!?!?」
母さんが部屋に入ってきた。
そして何故か顔を真っ赤にしながらこちらを凝視して固まっている。
ん?母さんどうし…あ、そゆことね。
そう言えば貞操観念逆転してますもね。
つまり母さんは今ラッキースケベと言う物を体験しているのか。
よし、ならばここは僕もこの世界に乗っ取ったリアクションを取るべきだ!
さぁーー僕の演技力に震えろ!
「キャーエッチー」
この時、僕が棒読みだった事は言うまでもないだろう。
おい!不定期投稿とか言っといてブクマや感想が貰えたからって調子にのって連続投稿してる奴は誰だ!?
あ、俺だ。