表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あべこべ転生!?~あべこべ世界での僕は新しい出会いに飢えている~  作者: あだち りる
第三章「未来ある小説家に出会いを求めて」
27/43

24「貴女が神か」

入学式を終えた後日。

僕はまだ着なれていない制服を来て外に出た。


駅へと向かい、電車に乗る。

勿論今回は男性専用車両である。

男性の人口が少ないせいか、男性専用車両はがら空きである。


見たところ乗っているのは僕を合わせてたったの五人だ。

そのお陰か、僕は角席を獲得する。


なんか電車の角席って不思議と凄い落ち着くよね。


そんな事を思いながら、電車に揺られ、目的の駅に到着した。

ホームの方へ歩いて行くと、そこには見知った顔が。


「九重さん、おはよ」


「ひぇ!あ、は、灰原くん…おはようござ…おはよ…」


うんうん、ちゃんと約束は忘れてない様で、関心関心。


けど、流石にまだぎこちないなぁ…まぁ仕方ないか…段々と慣れてくれればいいけど…そんでもって僕はーー


「うっわ!何あれ!超絶美男子!!!」

「ペロペロしたい、ていうかヤりたい」

「ピーーーーーーーーーしてやりたい」


この視線に慣れないと…て言うか最後の奴怖すぎでしょ!?もう色々アウトすぎて言葉に出来んわ!


「はぁ…」


どうやらこの世界は、今日も平常運転の様です。


「ど、どうしたの?灰原くん」


「なんでもないよ、それじゃ行こっか」


「う、うん」


さて、今日からが高校生活本番だ。

どんな部活に入ろうか、中学、高校、大学と勉強しかしてこなかった僕だけど、この世界では色んな事を経験しよう。


そんなことを胸に決意し、九重さんと雑談しながら学校に向かったのだった。


教室に到着。


「九重さん、先どうぞ」


「え?う、うん」


僕は九重さんを先に教室に入らせるように促す。


理由としては、まぁ見てればわかる。


ガララ、と九重さんは教室の扉を開けた。


次の瞬間ーー


「おおっとー!手が滑ったああああ!」


「へ!?」


「…やっぱり」


天塚先生が飛び込んできた。

そしてそのまま九重さんを下敷きにして倒れる。


予想通り、やはりこの人か…いやね?何か扉の向こうに影が見えてさ、よーく見たら、何か見覚えのあるお方だったのでね、行動なども予想できた訳なのですよ。


流石に、ここまで勢い良く飛び込んできたのは予想外だけど…。


「えっと…大丈夫?九重さん」


囮にしといてなんだけど。


「だ、だいじょばない…」


「だ、だよねぇ…えとその、ごめん」


涙目になっていた九重さんに、僕は深く謝罪をした。


皆、変態猪突猛進教師には気を付けよう!


「チッ…!社会的地位ですら犠牲にしたと言うのに」


おい、なに人生を左右しまくる物を賭けちゃってるだよ!?この教師マジでヤバイな…これぞ残念美人と言う奴か。


そんなこんなしている内に、チャイムガ鳴り、皆席につく。


まだブツブツと先生が何か言っていたが、どうやらやっと教師としての自覚が戻ってきたらしく、これから行うことを説明して行く。


「では、これから皆さんには体育館に移動して貰います。そこでは部活動紹介などを行う予定です。それでは皆さん、出席番号順で廊下に並んでくださーい!」


ちゃんと説明してくれて良かった…また変な茶番が入るものだと、どうやら取り越し苦労だった様だ。


一安心してから、僕は指示通り廊下へと。

やはり高校生にもなると、皆ちゃんと指示通りに動くものだなぁ…と、つい感心してしまう。


中学の頃だと、必ず誰かが騒いでは出発が遅れるケースが多々あったからなぁ…そう考えると、やはり高校生は大人の一歩手前なのだなと、改めて思う。


まぁ僕は三十路ですが。


すると、一同動き出す。

僕もその波に乗りながら体育館へと向かった。


到着すると、既に何クラスかは、揃っており、後もう少しで始まろうとしているのがわかった。


僕達も急いで整列し、先生の合図と共に座った。


お尻がひんやりとする。

この感覚が、つい懐かしく感じてしまう。

本当に今の自分は、また高校生をやっているのだと、改めて思った。


既に幕が上がったこの、高校生活と言う舞台に立たされた僕は、ただ期待に胸を膨らませた。


すると、トントン、と肩を誰かに叩かれ、後ろを振り返る。


そこには、カチューシャをつけて、綺麗なおでこを出している可愛らしい少女の姿が、彼女の事は知っている。


えっと、確かーー


「卯野原さん…でいいんだよね?」


「正解、卯野原うのはら 柚子ゆずだよ、よろしくね!」


「うん、よろしく卯野原さん」


可愛く頬笑む彼女に、僕も笑顔で返した。

この子は笑顔が似合うな、可愛い。


ん?て言うか出席番号順なのに何故『う』から始まる卯野原さんが僕の後ろに…?まぁいいや、細かいことはこの可愛い笑顔と共に流そう。


「でさでさ、灰原くんは部活とかもう決めてるの?」


「まだだよ、部活動紹介を見て決めようかなって思ってる、そういう卯野原さんは?」


「私はアニメーション研究会、通称アニ研!いわゆるオタクでございます」


「卯野原さん、これ、何に見える?」


僕は一本の指を立てて見せる。


さぁ卯野原さんの返答はーー


「数字の五」


その瞬間、僕は彼女と握手した。

まさかこんなにも早く同士が出来るとは、しかもこの問いに即座に返答してくるなんて、卯野原さんも相当出来るね。


熱い握手を交わした僕達は、手を離し、また雑談に戻る。


「いやぁ~まさか灰原くんがここまでのアニオタとは…人は見掛けによらないね~!ん~まさかこんなにも早く同士が出来るなんて!しかもそれが男の子!ある意味私ってば勝ち組!」


「そんな大袈裟だよ」


「大袈裟なものですかい、今じゃこの学年の女子ほぼ全員が灰原くんとお近づきになりたいと思ってるくらいなんだから」


「嘘だといってよ、卯野原さん」


「ぷっ!」


そんな僕の返答に、卯野原さんは堪えきれずに笑う。


「この台詞がわかるってことは、卯野原さん相当幅広いジャンルを見てるね」


「人生アニメに捧げましたから」


「その人生に賞賛」


楽しく会話をしていると、周りが暗くなり、ステージの幕が上がる。


「それでは!部活動紹介を始めたいと思います!」


そして、部活動紹介が始まった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

「さて、何処の部活に見学しに行こうかな」


一通り部活紹介が終わり、一度全員教室へと戻った。

その後、先生から、先程紹介された部活動をしている教室の場所やらが書いていた。


「はしゃぎすぎず、ゆっくり自分に合う部活を選んでね!帰宅部の人はこのまま帰って大丈夫です」


と、先生が行って皆が教室を出て行く。


「ねぇねぇ灰原くん!灰原くんはアニ研くるの!?」


卯野原さんがうきうきとそう聞いてくる。


「ん~…とりあえず他の所を見学してからかな」


「そっか!それじゃまたね!」


そう言うと、卯野原さんは教室を出てアニ研へと向かった。


さて、僕も行くかな。

まずはどの部活にーー


「灰原くん」


僕も教室を出ようとした瞬間、何故か天塚先生に止められてしまった。


「なんですか先生、茶番には付き合いませんよ?」


「違うよ!ちゃんと大事な話!」


もう、茶化さないでよ!と先生は頬をリスの様に膨らまして言う。


いつも茶化してる人が何を、とは言うまい。


「それで、大事な話とは?」


「うん!それなんだけどね、灰原くん、部活入れないから」


「………………………はい?」


「だから、灰原くんは部活動に参加出来ません」


「…え…ええええええええええ!?」


先生から発せられたその台詞に、僕は驚きを隠せない。


「理由としては、男の子がその部活に入ったら入部部員が殺到して収集つけられなくなるじゃない?それに灰原くんレベルの美少年となると…ねぇ?」


「え、てことは僕入れないの?」


「まぁそうなるかなぁ」


クソぅ!高校生活は部活で友達を作り、一喜一憂して青春を謳歌しようと思っていたのに、まさかあべこべ世界で、男に対してこんな不遇される事があるとは…予想外すぎる。


つまり僕は、この二度目の高校生活ですら帰宅部になると言う事だ。


うぅ…悲しいけど、仕方ないよなぁ…こればっかりは。


「帰ります」


僕は思いっきり猫背にして、教室を出ようとする。


「待って!」


そして何故か再び先生からストップが、そのせいでドナドナしていた僕の足が止まる。


「何ですか?帰宅部に何か様ですか?」


僕は嫌みったらしくそう言う。


すると、先生はニッコリと笑いながら僕に言った。


「一つだけあるよ、灰原くんが入れる部活」


「貴女が神か」


僕がそう言うと、調子に乗った先生が「崇めよ」とか言うから帰ろうとする。


「あぁごめん!すぐに案内するからぁ!」


まったく、初めからそうして欲しかったよ。


すると、先生が「着いてきて」と言って先導する。


「そこってなんの部なんですか?」


「ん?文芸部だよ」


おぉ~文芸部、いいね!

静かに本が読める空間ができると言うのは素晴らしい。

図書室などでは以外に周りがうるさかったりするのだ。


ん?てか文芸部なんて部活動紹介になかった気がーー


そんや疑問を抱いていると、到着した。

なんと、文芸部の部室が位置するのは、四階、一番右奥の教室…てか、部活動紹介の紙にはこの階にはなんの部活も乗ってない。


けれど、扉には文芸部と書かれてる壁紙が。


「先生…もしかしてですけど、ここって正式に部活動登録されてないんじゃーー」


「さて、それじゃあ案内も済んだし、私はもう行くね!ばいばい、私のダーリン!」


あ、逃げた。


「マジかよ…」


まぁでも確かに納得はした。

僕が騒ぎを起こさずに、部活動が出来るとしたら、こう言う場所でないとダメなのだろう。


えぇい!覚悟を決めろ。


そして、僕は文芸部の扉を開けた。


そこには、ただただ美しく、まるで雪の様な髪を靡かせた神々しき少女が居た。


て言うかーー


「氷室さん!?」


「へ!?ひゃ、ひゃいばらくん!?」


そこに居たのは、僕がよく知る人物、氷室氷柱さんが居た。

第三章が始まりました。

氷室さんやっと登場!!!ふぅ…長かったぜ。

ではまた次回!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ