19「解せぬ」
誰がこんな早くに更新すると予想できただろうか。
(作者自身こんな早く更新できるとは予想外)
その時だった。
教室の扉が開いたのは。
「私は、勝ちました!!」
いきなり入ってきて謎の勝利宣言をした女の人がそこには居た。
と言うか、前回見学に来たときに校長先生の後ろに居た先生だ。
凄く美人だと思ってみていたのを良く覚えている。
すると、先生はその長くて茶髪のウェーブが掛かった髪を揺らして、ルンルンと教卓へと。
その度揺れるのは犯罪的な胸、あのデかさ…僕が知る限りでは一番…いやでも、母さんの方が…うむ、どちらも負けてないな。
…母と教師をこんな目でみてる生徒とか、普通にガチ引き案件なんだけど…まぁ表に出してないのでセーフってことで、いいよね?答えは聞いてない。
すると、先生は、その整ったを顔をこちらに向けて、とろんと垂れている瞳をキラキラとさせる。
「先生は、勝ったんですよっ!!勝者です!ウィナーなのです!!」
先生は何故か拳を握り締めてこちらにドヤ顔を向けてくる。
良くわからないけど、先生が勝者ってのわかった、何に勝ったのかは皆目検討もつかないが、とりあえず僕が掛けるべき言葉は一つだけだろう。
「先生、落ち着いてください」
その後、僕に突然声を掛けられた先生は更にテンションを上げ、あたふたと、もじもじとしては数十分、やっと先生は落ち着いてくれた。
「では、自己紹介をします。
私の名前は、天塚 双葉、です!これから一年間、貴方達の担任となりました、担当教科は英語です!よろしくお願いします!」
と、天塚先生は元気良く挨拶した。
この人満面の笑みを絶やさないな、もう幸福オーラがこちらにも伝わってくる勢いだ。
「ちなみに、彼氏は居ません!募集中です!募集中ですよっ!?」
めちゃくちゃこっちを見てる。
うん、こう言うのはスルーが一番。
「今がチャンスですよ!?灰原くん!」
「そこで僕の苗字を上げるのはズルいと思います、天塚先生」
「はふっ!透き通った甘い声ぇ…灰原くん!先生と結婚しませんか!?養いますよ!贅沢させますよ!?」
「教師としての自覚を持ちましょうか!?」
「灰原くんと結婚出来るのなら、教師人生を蔑ろにする覚悟です」
「重い!けど、その場合さっき言ってた養うとかは無理かと…」
と、僕が先手を打とうとする。
「安心してください、貯金があります!」
「「「「「「そう言う問題じゃない!!!」」」」」」
バチコーン☆と先生がウィンクをすると、クラスの女子達が一斉にツッコミを入れていた。
チクショウ、先手を既に打たれていたか…そして、家のクラスはノリが良いと、一つ発見が出来た。
さて、とりあえず、話題変換をしよう。
今はそれで逃げる、この話題はまた次の機会と言うことで。
「天塚先生、自己紹介に戻りましょう」
僕が微笑んでそう言うと、先生はぷくぅっと頬を膨らます。
「チェ…いいですよーまだチャンスはありますもーん」
…かわいいと思ってしまった自分の守備範囲の広さ…いやでも、教師って言う立場と生徒の関係って、なんか萌えるよね?共感求む。
すると、天塚先生は顔をシャキッとさせて、生徒の名前を呼んで行く。
一人、二人、三人と、次々と自己紹介をして行く中、隣から、パタン、と言う音が聞こえたので、視線を向けてみる。
そこには、『草食系女子』ちゃん元い『ムッツリスケベ女子』ちゃんが本を閉じていた。
どうやら読み終わった様だ。
「ふぅ…」
と、確実に悦に浸っている息を漏らした。
教室で堂々と官能小説を読むと言うその大胆さに敬礼。
「はぁ~…濡れる」
今、小声で問題発言しましたよね?
「次、九重さん」
天塚先生が一人の生徒の名を呼び、その生徒が立ち上がる。
どうやら、九重、とはこのムッツリスケベ女子ちゃんの事らしい。
「私の名前は、九重 杏、です…よろしく、お願いします」
短く、簡潔にそう自己紹介をした九重さん。
すると、小さく疎らな拍手が起こった。
皆は特にこの子の事を気には止めてないみたいだけど、正直僕はこの子個性が強すぎて気になりっぱなしなんだよな…。
着席した九重さんは、ふぅ、とゆっくりと息を吐いた。
その時だった、やっと僕と彼女の目が合ったのは。
「っ!?!!!!?!?!」
その時の九重さんの顔を、僕は一生忘れる事はない…人って、あんな顔できるんだなぁ。
ちなみに余談なんだけど、この後の僕の自己紹介の番が何故か最後になり、皆から質問攻めを受けた。
後に、どうして僕の自己紹介だけ最後に廻したのか天塚先生に聞くとーー
「だって灰原くんを質問攻めにしたかったんだもん♡」
…解せぬ。
進まねぇ!!!