表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あべこべ転生!?~あべこべ世界での僕は新しい出会いに飢えている~  作者: あだち りる
第一章「あべこべ世界に出会いを求めて」
2/43

2「三十路童貞男は美少年に生まれ変わった」

さて、まずはこの世界について説明しよう。

灰原時雨くんの記憶を借りると、ここはどうやらあべこべこ世界らしいのだ。


男女の貞操観念逆転、立場も逆転、などなど。

そして、何より違うのが、この世界の男は極端に少ないと言う事だ。


男女比で言えば女80の男20と言った具合だ。

この男の人口の少なさ故か一夫多妻制などが認められており、更に血縁関係のある親族との結婚すらも認められている。


人工受精などもあるそうだ。

ちなみに、僕の母さんもそうらしい。


更に更に、男はこの世界ではかなり重宝されており、国からお金が支給されたり、学費なども免除されると言うVIP待遇もされている。


そして、そんな立場を知れば勿論男達は調子に乗り始める訳で…世間の飢えた女性達を嫌悪し、ウザイ、死ね、などを女の子に向けて当たり前の様に言う世の中になったのだ。

なので、女の子達にとっては男と話せただけで一生ものの宝物と言えるらしい。


更に追い討ちをかける様で、僕も…と言うより、灰原時雨君も罵倒メンバーの一人だった様です。


はぁ…この記憶、思い出すだけで気分が悪くなるんだが。

時雨くんの記憶を掘り返すと、そこには家族や中学の女子達に暴言しか吐いていないのだ。


『ゴミ』


『死ね』


『消えろ』


女の子に対しての言葉のレパートリーがこれだけです、親族同様に。

あ、親族の場合は『おい』『お前』も増えるみたい、やったね!選択肢が増えたぞ!


クッソ…この男…美少年だからって調子に乗りおって…。


そう、この灰原時雨君、実は物凄い美少年なのです。


雪の様に白い白髪と肌、海色の瞳、シミ一つないこの美貌、全てが美しいと思う。


何この男バージョンのマリーアントワネット…いくらなんでもこれは…容姿にMP全振りでもしたの?


いや、この記憶によると時雨くんはどうやら頭もいいみたいだ、何だよこのチート君わ!


そしてどうやら、灰原時雨君としてこの僕、高坂拓斗は生まれ変わってしまったらしいのだ。


…うん、いやね?異世界転生、わかるよ。

けどさ、普通さ、零歳スタートじゃない?

何でいきなり十五歳?後もう少しで高校入学ですよはい。


て言うかどうせ異世界転生するならもっとファンタジー要素強めが良かったよ。

エルフとか冒険者とかスキルとか、そんな感じの異世界チーレムが良かったよ。


え?三十路童貞が何抜かしてるんだよって?

三十路童貞だってね、夢を見るんですよ。

三十路に入ってもアキバ系抜けない童貞が夢見るのは可笑しくない話なのです。


けど、考えようによってはこの世界も悪くないのではないか?と思ってきている。

男性に傾いたこの世界、新しい出会いをし放題ではないか!


更に言えばこの時雨くんの容姿…って、いやいや!僕は容姿で近付く様な節操なしと出会いたい訳じゃない!僕の内面を惚れてくれる、そんな人と、もかしかしたらこの世界で僕はやり直せるのかも知れない。


そうと決まれば、僕はこの世界で灰原時雨として生きて行く。

前世の高坂拓斗『草食拓斗』は捨てる。


新しい人生の幕開けである。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

僕は、すぐに退院した。

体にはなんの異常もないそうだ。

急に倒れて入院したそうだが、時雨くんは貧弱キャラなのか?いや記憶によると別に貧弱って程でもない、人並み程度だ。


まぁいいや。

もう関係のない事だしね。


「それじゃ行きましょうか、しぃちゃん」


僕にそう言葉をかけるのは、僕のこれからの母さん、灰原はいばら 雪枝ゆきえさん、見た目だけで言うならもう眼福と言って良いほどに美しい人である。


この美貌で三十八歳…Why…?この世界の女性達はどうなっているのかね。


「うん、母さん」


僕がニパっと笑ってそう呼ぶと、母さんは顔をボッと真っ赤にしてパタパタと手で扇ぎ始めた。


…可愛い…少しイタズラでもしよう。


「ねぇ母さん!」


「な、なにかなしぃちゃん!?」


「んっ!」


「へ!?」


僕は母さんの手を恋人繋ぎでぎゅっと握る。

更に上目使いで母さんを見上げ、言う。


「手を繋いで行こ?」


「しぃちゃんかわいすぎりゅううううううううううううう!!!!」


母さんはその場でそう叫ぶとへなっとその場で倒れ、鼻血を流していた。


「母さん!?」


僕は母さんの側へと。


「お、おーい、母さーん?」


き、気絶してるぅ…や、やり過ぎたかな…?

何処かで休ませてあげなきゃ…えっと、休める場所は…あ!あそこのベンチで休ませてあげよう。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄


side灰原雪枝



私には自慢の息子がいる。

名前は時雨、神が創造したが如く神々しきその美貌は本当に私の息子なのか疑わしいレベルなのである。


しかし、思春期に入ってから時雨は女性と言う存在を嫌うようになった。

成長していく時雨に対しての皆の視線が、性的なものへと変わっていくのは必然的な事で、時雨が女性を嫌いになるのも仕方ないと思った。


いつしか私の事も、家族の事も嫌うようになってしまった。

そんなある日、リビングに向かうとーー


「し、しぃちゃん!?」


しぃちゃんが倒れていたのだ。

私はすぐに病院に連絡した。


体に異常はないと知りほっとした。

けれど、何故かしぃちゃんはもう意識を失って三日、私はその間に毎日お見舞いに来ていた。


今日もしぃちゃんのお見舞いに来た。


「ねぇしぃちゃん、しぃちゃんがまた私の事をお母さんとして呼ぶのはいつになるのかな」


そんな事を呟きながら、しぃちゃんの寝顔を眺める。

ずっと見ていられる美しい寝顔…なんか…うとうとしてきた…眠い…ん…。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

「ん…?」


あれ?寝てたのかな、ん~…目が痒い…。


私はゆっくりと起き上がり、目を擦り目を開けた。


「お、おはようございます」


すると、突然その声が、いつも耳にしている、聞き慣れた声がした。

私はあまりの嬉しさにしぃちゃんに抱きついてしまった。


私はすぐに離れる。

すると、何故かしぃちゃんは少し寂しそうな顔をした。


しぃちゃんの体調を心配しながら、しぃちゃんと話していると、私の耳には有り得ない一言が聞こえた。


「母さん?」


「しぃ…ちゃん…今母さんって…」


「母さん、だよね?」


「…うん…うん!そうだよ!ママだよっ!」


私はあまりの嬉しさにまたしてもしぃちゃんに抱きついてしまう。

もう死ねとか言われてもどうでもいい!

今はとにかくしぃちゃんがまあ母さんと呼んでくれた事実が嬉しかった。


それからも、私はお見舞いを続けた。

私は違和感に気付いた、しぃちゃんか普通に私と接してくれているのだ。

それ所か、優しく笑顔まで浮かべてくれる。


「ど、どうしたのしぃちゃん?」


「なにが?」


「前と全然違うから…前なら私と話もしてくれなかったのに」


私が少し卑屈になりながら言うと、しぃちゃんは私に頬笑み言ってくれたのだ。


「今までの僕はさ、母さんや皆に酷いことを言ってきた…でも、それは自分から関係を断つような行為なんだよ…そんな馬鹿な事をしてきたって思うと、今更ながら後悔してるんだ。

だからこれからは、僕はちゃんと皆の事を愛して行こうと思う」


しぃちゃんのその言葉に、私は涙が出た。


「か、母さん!?え、なんで!?」


止まんない、止まんないよ。


涙が止まらない、幸せが収まらない。


愛しの息子が、私達を愛してくれると言った。


これ程嬉しいことはない。


今まで、望んでも、もう無理だと、諦め、挫けてきた願いなのだから。


きっと今、私は誰よりも幸せだろう。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄


side灰原時雨



「ん…?」


「あ、起きた」


僕はやっと意識を覚醒してくれた母さんに言う。


「あれ…わた…しっ!?え!?ここここここれ!?」


おっと、どうやら母さんは気付いた様だね。

今のこの状況に、今僕が母さんに対して何をしているかと言うと『膝枕』である。


この世界での男の膝枕と言うのは漫画やおとぎ話の中だけだと言われている程に信じられない、男性がとるはずのない行動らしい。


近くに丁度いいベンチがあったためそこでそれが本当なのか試しついでに休んでいるのだ。


そして、この反応を見るにーー


「どう?ゆっくり休めた?」


「しぃちゃん…好き…」


…効果抜群すぎたかな。

不定期とか言っときながらすぐに投稿するやつとか…あ、はい、自分の事です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ